第32話「システム復旧」
地下の保守管理区画。
一体のロボットが端末の前に立っている。
画面には、
【システム復旧中】
という文字が表示されていた。
ジェイクが金属棒を構えたまま、ロボットを見る。
「……復旧って、何を?」
ミリアが端末を確認する。
「分からない。でも、このロボット自身が起動したわけじゃない」
「じゃあ、誰かが起動させた?」
「それも違うと思う」
ルーカスが尋ねる。
「どうして?」
「この部屋のシステムが、自動的に復旧処理を始めてる」
ミリアが画面を拡大する。
複数の機器が順番に起動していく。
カチッ。
ウィーン……。
部屋の奥で、古い機械が動き始めた。
ジェイクが周囲を見る。
「どんどん動いてるぞ」
「まだロボットは動いてない」
ミリアが答える。
「システムだけが復旧してる」
ルーカスは部屋を見回した。
壁際には、何台ものロボットが並んでいる。
どれも停止したままだ。
「こいつらも復旧したら?」
「分からない」
ミリアは端末を操作する。
「でも、復旧処理を止めることはできそう」
「止めよう」
「分かった」
ミリアが操作を始める。
しかし、画面に警告が表示された。
【復旧処理を停止できません】
「……駄目」
ジェイクが顔をしかめる。
「じゃあ、どうする?」
「このシステム、外部から操作されてる」
ルーカスが画面を見る。
「誰かが遠隔で動かしてる?」
「可能性はある」
その瞬間。
部屋の照明が一斉に点灯した。
パッ。
地下全体が明るくなる。
そして――
壁に設置された大型モニターが起動した。
ジェイクが身構える。
「何だ?」
画面には工場内部の映像が映し出された。
正面入口。
搬送ゲート。
製造区画。
そして、地上にいるロボットたち。
ルーカスが画面を見る。
「監視映像か」
ミリアが驚く。
「この地下から工場全体を監視できる」
映像が切り替わる。
今度は、街の映像だった。
暴走したロボットが道路を歩いている。
建物の前で停止している機体。
そして、ロボットから逃げる車。
ジェイクが拳を握る。
「……まだ街でも暴れてる」
ルーカスは画面を見つめる。
「この工場だけじゃない」
ミリアが頷く。
「工場から出荷されたロボットが、各地にいる」
すると、画面の隅に別の表示が現れた。
【通信状態】
その下に、複数の機体番号が並んでいる。
ミリアが目を見開く。
「これ……」
「何?」
「ロボットとの通信状況」
「通信?」
「ええ。工場から外にあるロボットへ、何らかの信号を送ってる」
ルーカスが画面を見る。
「今も?」
「今も」
ジェイクが眉をひそめる。
「じゃあ、この工場が暴走ロボットを動かしてるのか?」
ミリアは首を横に振る。
「まだそこまでは分からない」
「でも通信はしてるんだろ?」
「そう。でも、どんな命令なのかは分からない」
その時。
画面に表示されていた機体番号が一つずつ消えていく。
「……?」
ミリアが操作する。
「通信が切れてる」
「全部?」
「一部だけ」
ルーカスがモニターを見る。
通信が切れた機体の映像に切り替わる。
そこには、一体のロボットが立っていた。
そして――
そのロボットが、ゆっくりと頭を上げる。
赤い目が光る。
ジェイクが構える。
「こいつ……」
画面の中のロボットが、突然走り出した。
ミリアが息を呑む。
「どこへ行くの?」
映像が切り替わる。
ロボットが向かっている先には、人のいる避難場所があった。
ルーカスの表情が変わる。
「……まずい」
ジェイクが一歩前へ出る。
「どうする?」
ルーカスはモニターを見つめる。
「この地下から、何かできないか?」
ミリアはすぐに端末を操作し始めた。
「調べる!」
第32話 完




