第31話「地下への侵入」
地下から聞こえていた金属音が、少しずつ近づいてくる。
カン……。
カン……。
ジェイクが金属棒を構える。
「来るぞ」
ルーカスも拳を握る。
「下がって」
ミリアが一歩後ろへ下がる。
三人は階段の上で身構えた。
暗闇の中から、何かが姿を現す。
小型のロボットだった。
しかし、これまで見たものとは違う。
四本の脚。
低い姿勢。
頭部には小さなライトが一つだけ付いている。
ジェイクが首を傾げる。
「……何だ、こいつ?」
ロボットは三人を見る。
ライトが赤く点滅した。
ミリアが端末を向ける。
「待って」
「何?」
「攻撃してこない」
ロボットはその場で停止した。
ルーカスが慎重に一歩近づく。
すると、ロボットが後ろへ下がった。
「……逃げる?」
ジェイクが驚く。
ロボットは階段を下り、地下へ戻っていく。
ルーカスが追おうとする。
「待って!」
ミリアが止める。
「罠かもしれない」
ルーカスは足を止める。
「でも、あいつは地下から来た」
「だからこそ慎重に」
ジェイクが地下を見る。
「このまま逃がすのも気になるな」
ミリアが端末を確認する。
「このロボット、工場の製造記録にある機体と少し違う」
「違う?」
「一般的な作業用じゃない。探索用に近い」
ルーカスが考える。
「じゃあ、地下を調べるためのロボットか」
「可能性は高い」
三人は階段を下り始める。
一段。
また一段。
地下へ進むにつれて、工場の音が遠ざかっていく。
やがて、階段の先に小さな通路が現れた。
壁には古い配管が並んでいる。
床にはロボットの足跡が残っていた。
ジェイクが足跡を見る。
「さっきのやつだな」
ミリアが頷く。
「この先へ行ってる」
ルーカスがライトを向ける。
通路の奥には、いくつもの扉が並んでいる。
その一つに文字が書かれていた。
【保守管理区画】
「ここだ」
ルーカスが扉へ近づく。
だが、扉は閉じている。
ミリアが操作盤を確認する。
「電源は生きてる」
「開けられる?」
「試してみる」
ミリアが端末を接続する。
すると――
ピッ。
扉のロックが解除された。
ギィィ……。
ゆっくりと扉が開く。
中は広い空間になっていた。
壁際には工具。
大型の整備機器。
そして、何台ものロボットが置かれている。
ジェイクが驚く。
「こんなところに……」
ミリアが一体のロボットを確認する。
「全部停止してる」
ルーカスは周囲を見る。
「でも、ここはまだ工場の一部だ」
ミリアが頷く。
「地下にこんな設備があるとは、研究施設の資料にも詳しく書かれてなかった」
その時。
部屋の奥で――
カチッ。
小さな音がした。
三人が振り向く。
停止していたロボットの一体が、ゆっくりと顔を上げた。
赤い光が灯る。
ジェイクが構える。
「またかよ……!」
ルーカスが前へ出る。
しかし、そのロボットは攻撃してこなかった。
代わりに、部屋の奥へ向かって歩き始める。
そして一つの端末の前で停止した。
画面が点灯する。
そこに表示されたのは――
【システム復旧中】
だった。
第31話 完




