第30話「開かない扉」
管理用の小さな建物。
ルーカスたちは、先ほど見つけた資料を確認していた。
ミリアが紙を机の上に並べる。
「やっぱり間違いない」
ジェイクが覗き込む。
「何が?」
「この工場のロボットには、暴走事件が起きる前に通信機能の変更が加えられてる」
ルーカスが腕を組む。
「研究施設で見つけた情報とも一致するな」
「ええ」
ミリアは資料を指差す。
「しかも、この変更を行った人物の名前が記録されていない」
ジェイクが眉をひそめる。
「誰がやったか分からないってことか」
「そう」
ルーカスは見取り図を見る。
「地下設備も気になる」
ミリアが頷く。
「保守管理区域から地下へ続く通路がある」
「行ってみよう」
三人は管理棟を出る。
工場の外周を進み、先ほど見つけた保守管理区域の扉まで戻る。
ルーカスが扉を確認する。
「鍵は?」
ジェイクが拾ってきたカードを見せる。
「これじゃ開かない」
ミリアが扉の鍵穴を確認する。
「これはカードじゃなくて、物理キーが必要みたい」
ジェイクが周囲を見る。
「じゃあ、鍵を探すしかないな」
ミリアが管理棟で見つけた資料を確認する。
「待って」
「どうした?」
「鍵の保管場所が書いてある」
三人が資料を見る。
そこには、工場の外にある設備倉庫の番号が記されていた。
「設備倉庫?」
「保守用の鍵や工具を保管していた場所みたい」
ルーカスが頷く。
「そこへ行こう」
三人は設備倉庫へ向かった。
倉庫は工場の裏側にあった。
扉を開けると、中には工具や古い部品が並んでいる。
ジェイクが棚を確認する。
「鍵が多すぎるな」
ミリアが資料を見る。
「保守管理区域の鍵は……これ」
一つの鍵を見つけた。
ルーカスが手に取る。
「これだな」
三人は保守管理区域へ戻る。
ルーカスが鍵を差し込む。
カチッ。
鍵が回った。
「開く」
扉を押す。
しかし――。
ガンッ。
扉は途中で止まった。
ジェイクが押す。
「……何か引っかかってる」
ルーカスも力を込める。
「せーの!」
二人で押す。
ギギギ……。
扉が少しずつ開いていく。
その隙間から、冷たい空気が流れてきた。
ミリアが端末を確認する。
「地下へ続く階段がある」
ルーカスが中を見る。
暗い階段が下へ伸びている。
「照明は?」
「電源が落ちてる」
ジェイクがライトを取り出す。
「これなら見える」
ライトを点ける。
階段の先は暗闇に包まれている。
ルーカスが一歩踏み出そうとする。
その時。
ミリアが腕を掴んだ。
「待って」
「何?」
ミリアが床を見る。
階段の入口付近に、何かが落ちていた。
小さな金属製の部品。
ミリアが拾い上げる。
「これ……」
ルーカスが見る。
「ロボットの部品か?」
「たぶん」
ジェイクが周囲を見る。
「ってことは、ここをロボットが通った?」
ミリアは部品を確認する。
「最近落ちたものかもしれない」
ルーカスは階段の下を見る。
「……いるかもしれないな」
三人は警戒しながら階段を見つめる。
その時。
地下から――
カン。
小さな金属音が響いた。
三人が固まる。
続いて。
カン……カン……
何かが階段を上ってくるような音。
ジェイクが構える。
「来るぞ」
ルーカスも拳を構える。
階段の暗闇の奥で、何かが動いた。
第30話 完




