第3話「帰るべき場所」
夜。
街は暗闇に包まれていた。
以前なら、夜でも多くのロボットが動いていた。
道路清掃。
警備。
配送。
しかし今。
街を歩くのは、人間ではなく暴走した機械だけだった。
「……静かすぎるな」
ジェイクが窓の外を見る。
三人は閉鎖された整備工場で身を隠していた。
ルーカス。
ジェイク。
そして整備士のミリア。
ミリアは壊れた通信機を調べていた。
「やっぱり……」
「何か分かったのか?」
ルーカスが聞く。
ミリアは画面を見せる。
「ロボット達は故障したわけじゃない、外部から何かを受信して、内部の判断システムを書き換えられている」
ジェイクが驚く。
「そんなこと可能なのか?」
ミリアは首を振る。
「普通なら不可能、だから問題なの」
ルーカスは黙って拳を握る。
昨日まで。
普通に生活していた。
学校へ行って。
友達と話して。
ロボットが働く街を歩いていた。
それが一日で全部壊れた。
「……父さん」
ルーカスが小さく呟く。
「父さんなら……何か知っていたかもしれない」
ジェイクが見る。
「お前の父親?」
ルーカスは頷く。
「昔、変なことを言ってた」
『もし機械が間違った方向へ進んだ時』
『止める人間が必要になる』
「子供の頃は意味が分からなかった……でも……」
ルーカスは街を見る。
「今なら分かる気がする」
ミリアが尋ねる。
「あなたのお父さんは、ロボット研究者だったのよね?」
「はい」
「もしかしたら、この事件について何か残しているかもしれない」
その言葉で、ルーカスは決意する。
「家に戻る」
ジェイクが驚く。
「今から?危険だぞ」
「分かってる」
ルーカスは答える。
「でも、このまま逃げていても何も変わらない!!父さんが何か知っていたなら、調べたい」
ミリアも頷く。
「私も行く!!原因を突き止めない限り、この状況は終わらない」
三人は準備を始める。
最低限の食料。
工具。
懐中電灯。
そして、外へ出る。
街には暴走ロボットが徘徊している。
三人は物陰を使いながら進む。
途中。
以前は人を助けていた救助ロボットがいた。
今は道路を破壊しながら歩いている。
ルーカスは足を止める。
「あいつ……」
ジェイクを見る。
「昔、火事から人を助けたロボットだ」
ミリアが静かに言う。
「だからこそ怖いの……人を救うために作られた力が、今は人を傷つけている」
ルーカスは拳を握る。
「……絶対に原因を見つける」
数時間後。
三人はルーカスの家へ到着した。
外から見る限り、何も変わっていない。
しかし。
ルーカスには分かっていた。
この家には。
父親が残した何かがある。
玄関を開ける。
「ただいま……」
返事はない。
静まり返った家。
ルーカスは父親の部屋を見る。
10年間、触れることができなかった場所。
その扉の向こうに。
父親が隠していた真実が眠っている。
第3話 完




