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メタル・アポカリプス  作者: 石蒜
第1章「崩壊する日常編」
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第2話「生き残るための選択」

街は、地獄と化していた。

昨日まで人々を助けていたロボット。


その存在が、今は人間を追い詰めている。


「走れ!!」

ジェイクの叫び声。


ルーカスは必死に足を動かしていた。


後ろから聞こえる機械音。


ガシャン。


ガシャン。


暴走した警備ロボットが、二人を追ってくる。


「なんで……」

ルーカスは息を切らしながら呟く。

「なんで急にこんなことになったんだよ……」

ジェイクは答えられない。

誰にも分からない。


原因も。

目的も。


ただ分かることは一つ。

今まで味方だった機械が、敵になった。

二人は路地へ入り、建物の陰に隠れる。


「……行ったか?」

ジェイクが息を整える。

ルーカスは壁にもたれかかる。

足が震えていた。


怖い。

本当に怖い。

「俺……何もできなかった」


学校でロボットが暴れた時、逃げることしかできなかった。


「当たり前だろ」

ジェイクが言う。

「相手は機械だぞ?俺達は高校生だ…戦えるわけない」

その言葉に、ルーカスは黙る。

確かにそうだった。

映画や物語の主人公みたいに、突然強くなるわけじゃない。


目の前で命の危険が迫れば、逃げたくなる。

それが普通だった。


「でも……」

ルーカスは街を見る。


遠くで、ロボットから逃げる人々。

助けを求める声。


「このまま逃げ続けるしかないのか?」

ジェイクは答えられなかった。


その時。

近くの建物から音が聞こえた。


ガタン。


二人は身構える。

「ロボットか……?」


ゆっくり扉が開く。


そこから出てきたのは――

一人の女性だった。

「君達……学生?」

20代前半くらい。

手には工具。

「生きてる人間がいた……」

女性は安堵した表情を見せる。

「私はミリア!!機械整備の仕事をしている」

ルーカスは女性の持つ工具を見る。

「整備士……?」

ミリアは頷く。

「そう、だから分かる」

彼女は街を見る。


「これは故障じゃない、ロボット自身が、何かに書き換えられている」


ルーカスの表情が変わる。

「書き換え……?」


「何者かが、ロボットだけに届く信号を送った可能性がある」


ジェイクが驚く。

「じゃあ……誰かがロボットを操ってるってことか?」


ミリアは首を振る。

「まだ分からない。でも、一つだけ確かなことがある。このまま逃げていたら、いつか捕まる」


沈黙。


ルーカスは拳を握る。

でも、まだ怖い。


戦う覚悟なんてない。


その時。


遠くから巨大な音が響いた。


ドォォォン!!


大型ロボットが建物を破壊している。


その姿を見て、ルーカスは息を飲む。


あれは知っているロボットだった。


数年前。


街の災害現場で活躍した救助ロボット。


多くの人を助けた英雄。


しかし今は――


人間を襲う怪物になっていた。


「……あいつ…人を助けてたのに」

ルーカスの胸が苦しくなる。


ミリアが言う。

「ロボットが悪いわけじゃない!何かが、そうさせている」


その言葉を聞いた瞬間。

ルーカスの頭に父親の言葉が蘇る。


『もし機械が間違った道へ進んだ時』


『止める人間が必要になる』


「父さん……」

ルーカスは呟く。


もしかしたら。

父親はこの未来を知っていたのではないか。



その夜、


ルーカス達は安全な場所を探しながら移動する。


しかし、街の全てが敵になった今。


逃げ場所など、どこにもなかった。


そしてルーカスはまだ知らない。


自宅の地下深く。


10年間眠っていた父親の研究施設が、


異常信号を検知して起動していることを。


第2話 完

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