第25話「監視される者たち」
工場の裏手から離れたルーカスたちは、建物の陰を歩いていた。
さっき確認した搬送ゲート。
そして、残された車。
工場が今も稼働していることは間違いない。
ジェイクが振り返る。
「なあ、さっきから気になってるんだけど」
「何?」
「俺たち、本当に誰にも見つかってないのか?」
ミリアが端末を確認する。
「分からない」
「分からない?」
「工場の監視設備が生きてる。でも、どこまで監視されているのか判断できない」
ルーカスは周囲を見る。
「なら、見られている前提で動こう」
三人は慎重に進む。
その時、ミリアが足を止めた。
「待って」
「どうした?」
ミリアは工場の壁を指差す。
そこには小さな監視カメラが設置されていた。
「これ……」
ジェイクが見る。
「さっきのやつと同じか?」
「ええ」
ルーカスがカメラを見る。
「俺たちを追ってる?」
カメラがゆっくりと動く。
三人の方へ向いた。
ジェイクが身構える。
「……完全に見られてるな」
ミリアが端末を操作する。
「映像信号を調べる」
しばらくすると、画面に工場周辺の地図が表示された。
「監視カメラ同士が繋がってる」
「全部?」
「少なくとも外周にあるものは」
ルーカスが考える。
「じゃあ、カメラを壊したら?」
「一台壊すだけなら、逆に警戒される」
ジェイクが苦笑する。
「じゃあどうする?」
ミリアは少し考えた。
「監視されていることを利用する」
「利用?」
「監視カメラが何を見ているのか確認する」
ミリアは端末を操作する。
画面にカメラの映像が表示された。
そこには、工場の裏手が映っている。
そして――。
先ほど三人が調べていた車も映っていた。
「これ……」
ルーカスが画面を見る。
車の映像だけではない。
少し離れた場所にある搬送ゲート。
その周辺。
さらに工場正面の映像まで表示されている。
ジェイクが呟く。
「外は全部見られてるのか」
「そうみたい」
ルーカスは画面を見る。
正面入口の映像には、先ほどの赤い光が映っている。
まだロボットたちは動いていない。
「……あのロボット」
「どうした?」
「入口を守ってるわけじゃないのかもしれない」
ミリアがルーカスを見る。
「どういうこと?」
「俺たちが近づいた時も動かなかった」
ジェイクも思い出す。
「確かに」
「もし本当に侵入者を排除するなら、あの時点で襲ってきてもおかしくない」
ミリアが考える。
「じゃあ、あのロボットたちは何のために?」
ルーカスは答えない。
まだ分からない。
ただ一つ。
正面から入る必要はない。
「搬送ゲートをもう一度調べよう」
三人は再び工場裏手へ向かった。
搬送ゲートの前。
ミリアが操作パネルを確認する。
「電源は入ってる」
ジェイクが周囲を見る。
「開けられそうか?」
「開けるだけなら簡単。でも……」
「何?」
「開けた瞬間、工場側に通知がいく可能性がある」
ルーカスが考える。
「今は開けない」
ジェイクが頷く。
「じゃあ、どうする?」
ルーカスはゲートの横を見る。
そこには小さな通用口があった。
「……あれは?」
ミリアが確認する。
「従業員用の出入口みたい」
「鍵は?」
「電子ロック」
「開けられる?」
「試してみる」
ミリアが端末を接続する。
数秒後。
ピッ。
画面に表示が出た。
【認証要求】
ミリアが眉をひそめる。
「簡単にはいかない」
ジェイクが笑う。
「まあ、そうだよな」
その時。
通用口の向こうから――
カチャ。
小さな音がした。
三人が固まる。
誰かが中にいる。
ルーカスが静かに拳を構えた。
ジェイクも金属棒を握る。
ミリアは息を殺す。
そして――
通用口の取っ手が、ゆっくりと動いた。
第25話 完




