第22話「工場の外」
第七自動化工場。
巨大なフェンスの前で、ルーカスたちは足を止めた。
工場の敷地はかなり広い。
建物の周囲には複数の搬入口。
高い煙突。
そして、いくつもの監視カメラが設置されている。
ジェイクが周囲を見回す。
「……思ったよりデカいな」
「ここで大量のロボットを作っていたみたいだから」
ミリアは端末を確認する。
「工場全体に電力が供給されている」
ルーカスがフェンスを見る。
「誰かが管理してるってことか?」
「可能性はある」
ミリアがカメラの位置を確認する。
「監視カメラも動いてる」
ジェイクが顔をしかめる。
「ってことは、俺たちが来たのもバレてるかもしれないな」
その瞬間。
カメラがゆっくりと三人の方へ向いた。
「……あ」
ジェイクが固まる。
ルーカスもカメラを見る。
「完全に見られてるな」
ミリアが端末を操作する。
「待って。カメラの映像を確認する」
画面に工場周辺の映像が映る。
しかし、映像の一部にノイズが走っている。
「変ね」
「何が?」
「監視カメラは動いているのに、録画データがほとんど残ってない」
ジェイクが首を傾げる。
「どういうことだ?」
「誰かが消している可能性がある」
ルーカスはフェンスの向こうを見る。
「工場の中で、何か隠してるのかもしれない」
三人は入口へ向かう。
正門には大きなゲートがある。
だが、完全に閉じられている。
ジェイクが押してみる。
「無理だ」
ルーカスも確認する。
「鍵がかかってる」
ミリアが端末を接続する。
「電子ロックね」
「開けられる?」
「少し時間をちょうだい」
ミリアが作業を始める。
ルーカスとジェイクは周囲を警戒する。
静かだ。
あまりにも静かだった。
「……ロボット、いないな」
ジェイクが小声で言う。
「工場の中にはいるはず」
ミリアが答える。
「でも、外には一体もいない」
ルーカスは工場を見る。
「まるで……」
「何?」
「俺たちが来るのを待ってるみたいだ」
ジェイクが黙る。
その時。
ガチャッ。
「開いた!」
ミリアが顔を上げる。
ゲートのロックが解除された。
しかし、扉は開かない。
「電力が足りないのかも」
ジェイクが手をかける。
「なら、俺がやる」
「待って!」
ミリアが止める。
「不用意に触らない方がいい」
「でも開けないと――」
その瞬間。
ウィィィン……
ゲートがひとりでに開き始めた。
三人が身構える。
「……勝手に開いた?」
ミリアが端末を見る。
「私が操作したんじゃない」
ゲートが完全に開く。
その向こうには、工場へ続く広い道路。
しかし、誰もいない。
ルーカスはブレイカーを装着する。
「罠かもしれない」
ジェイクも工具を握る。
「だろうな」
ミリアは端末を確認する。
「でも、工場内部からの通信はまだ続いてる」
ルーカスが一歩前へ出る。
「行こう」
三人が敷地内へ入る。
その瞬間。
背後で――
ガシャン!
ゲートが閉まった。
「!」
ジェイクが振り返る。
「閉じ込められた?」
ミリアがゲートを確認する。
「ロックされてる」
ルーカスは前を見る。
工場の巨大な入口。
その上に設置された監視カメラが、三人を追っている。
そして。
工場の奥から、小さな機械音が聞こえた。
ウィーン……。
一つ。
二つ。
三つ。
徐々に音が増えていく。
ジェイクが構える。
「来るぞ」
ルーカスは拳を握る。
「……ああ」
工場の入口が、ゆっくりと開き始める。
その暗闇の奥に、無数の光が浮かんだ。
赤い光。
ロボットの目だった。
第22話 完




