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メタル・アポカリプス  作者: 石蒜
第1章「崩壊する日常編」
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21/51

第21話「少年の証言」

第七自動化工場へ向かう道。


ルーカスたちは、先ほど助けた少年と一緒に歩いていた。


少年は何度も後ろを振り返っている。


「大丈夫か?」


ルーカスが声をかける。


「……うん」


少年は小さく頷いた。


ジェイクが隣を歩く。


「名前は?」


「……ノア」


「ノアか。俺はジェイク。こっちはルーカスとミリア」


ノアは二人を見る。


「さっき……助けてくれてありがとう」


「礼はいらないって」


ジェイクが笑う。


ルーカスは前方を見る。


「それより、工場から来たって言ってたよな」


ノアの表情が曇った。


「……うん」


「中にいたのか?」


「少しだけ」


ミリアが尋ねる。


「どうして工場に?」


「父さんと一緒に逃げてたんだ」


「お父さんは?」


ノアは黙り込んだ。


しばらくして、俯いたまま答える。


「……工場の中にいる」


ルーカスたちは足を止めた。


「まだ生きてるのか?」


「分からない」


ノアは唇を噛む。


「ロボットが急に襲ってきて……父さんが俺を逃がした」


ジェイクの表情が変わる。


「それで一人で逃げてきたのか」


「うん」


ノアは工場の方を見る。


「父さんは、工場の中に人がいるって言ってた」


ミリアが反応する。


「人が?」


「うん。でも……普通の人じゃないって」


ルーカスが聞き返す。


「どういう意味?」


「分からない」


ノアは首を振る。


「父さんが言ってたんだ。『あそこには、まだ人間を守ろうとしている奴らがいる』って」


三人は顔を見合わせる。


暴走ロボットがいる。


しかし、工場の中には人間も残っている。


しかも、ロボットに味方する人間だけとは限らない。


「その人たちは、ロボットと戦ってたのか?」


「……たぶん」


「たぶん?」


「遠くから見ただけだから」


ノアは続ける。


「一人だけ、ロボットを止めてる人がいた」


「人間が?」


ジェイクが驚く。


「うん」


「どんな奴だった?」


「分からない。でも……」


ノアは少し考える。


「腕が、普通じゃなかった」


ルーカスが眉をひそめる。


「腕?」


「機械みたいだった」


ミリアの表情が変わる。


「サイボーグ……?」


ノアはその言葉を知らないのか、首を傾げる。


「分からない」


ルーカスは工場の方を見る。


この事件には、暴走ロボットだけではない。


ロボットに協力する人間。


そして、ロボットから人間を守る人間。


さらに、身体の一部を機械化した存在。


知らないものが増えていく。


ジェイクが口を開く。


「だったら、工場に行けば分かることが増えそうだな」


ミリアが頷く。


「ええ」


ノアが不安そうにルーカスを見る。


「……工場に行くの?」


「行く」


ルーカスは答えた。


「でも、無理に一緒に来なくていい」


ノアは少し迷う。


「父さんを……助けたい」


「なら、まず安全な場所を探そう」


ルーカスが言う。


「俺たちは工場を調べる」


ジェイクも頷く。


「その間、ノアは安全な場所にいてもらおう」


ミリアが周囲を確認する。


「近くに使われていない建物がある。そこなら一時的に隠れられる」


四人は建物へ向かう。


だが、その途中。


ルーカスが足を止めた。


「……待って」


「どうした?」


ジェイクも止まる。


ルーカスは工場の方を見る。


遠くに見える巨大な建物。


その上空で、何かが点滅している。


赤い光。


一度。


二度。


三度。


ミリアが端末を確認する。


「通信信号が強くなってる」


「工場から?」


「そう」


ルーカスは拳を握る。


工場の中で、何かが動いている。


「……急いだ方がいい」


三人はノアを安全な建物へ送り届ける。


ノアが振り返る。


「気をつけて」


ジェイクが笑う。


「任せろ」


ルーカスも頷く。


「お父さんを探してくる」


そして三人は再び工場へ向かって歩き始めた。


まだ工場の内部には入らない。


その前に、周囲の状況を確認する必要がある。


ルーカスたちは慎重に歩を進める。


やがて――


巨大なフェンスが見えてきた。


その向こうに、第七自動化工場が姿を現した。


第21話 完

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