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メタル・アポカリプス  作者: 石蒜
第1章「崩壊する日常編」
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第20話「出発」

翌朝。


地下研究施設。


ルーカスはバッグを背負い、最後にブレイカーの状態を確認していた。


「問題なし」


ジェイクも準備を終えている。


「こっちも大丈夫だ」


ミリアは端末を確認する。


「工場までのルートはこれで行ける」


画面には街の地図が表示されている。


「なるべく大きな道路は避けるわ。ロボットと遭遇する可能性が高いから」


「分かった」


三人は地下研究施設を出る。


地上へ続く階段を上がる。


扉の前でルーカスが立ち止まった。


「……行くか」


ジェイクが頷く。


「おう」


扉を開ける。


ギィィ……


朝の街が目の前に広がった。


しかし、そこには以前の光景はなかった。


道路には放置された車。


割れた窓。


倒れた信号機。


店のシャッターは閉まり、街には人の姿がほとんどない。


ルーカスは黙って周囲を見る。


「……昨日まで、普通だったのにな」


ジェイクも黙り込む。


ミリアが小さく息を吐く。


「ロボットの暴走が始まってから、街全体が止まってしまったみたい」


三人は歩き始める。


しばらく進んだところで、遠くから音が聞こえてきた。


ガシャン。


ジェイクが足を止める。


「今の……」


「ロボットかもしれない」


三人は近くの建物の陰へ隠れる。


道路の向こうから、一体のロボットが歩いてくる。


人間を助けるために作られたはずの機械。


しかし今は、腕に血が付いている。


ジェイクが拳を握る。


「……あいつ、何をしたんだ」


ルーカスが小声で答える。


「分からない。でも、見つからない方がいい」


ロボットは周囲を確認している。


三人は息を潜める。


やがてロボットは別の通りへ進んでいった。


足音が遠ざかる。


ジェイクが息を吐く。


「行ったな」


「今のうちに進もう」


三人は再び歩き出す。


だが、少し進んだところでミリアが立ち止まった。


「待って」


「どうした?」


「この先……通信信号が強くなってる」


ルーカスが工場の方向を見る。


「近づいてるってことか」


「そう」


ジェイクが周囲を見る。


「じゃあ、工場が近いんだな」


三人は歩く速度を少し上げる。


すると、前方から声が聞こえた。


「誰かいる!」


ルーカスたちが振り返る。


道路の先。


建物の陰から、一人の少年が走ってくる。


その後ろには――


二体のロボット。


「助けて!」


少年が叫ぶ。


ジェイクが動こうとする。


「ルーカス!」


ルーカスは一瞬、足を止めた。


昨日までなら、逃げていた。


ロボットに襲われるのが怖かった。


今だって怖い。


それでも――


ルーカスは拳を握る。


「……ジェイク」


「分かってる」


ジェイクが走り出す。


ルーカスもブレイカーを起動する。


カチッ。


青い光が腕を包む。


ミリアは少年の方へ走る。


「こっち!」


少年がミリアのもとへ駆け込む。


ロボットがこちらへ向きを変えた。


一体が腕を振り上げる。


ルーカスが前へ出る。


「させるか!」


拳を叩き込む。


ドゴン!


ロボットの腕が弾かれる。


しかし、もう一体が横から迫る。


ジェイクが飛び込む。


「こっちは俺がやる!」


ジェイクが金属棒を振る。


ガンッ!


ロボットの頭部に当たる。


だが、ロボットは倒れない。


「硬すぎるだろ!」


ルーカスが振り返る。


「ジェイク、離れろ!」


「分かった!」


ジェイクが後ろへ下がる。


ルーカスはロボットの動きを見る。


昨日の訓練を思い出す。


相手だけを見るな。


周囲の動きを感じる。


ロボットが腕を振る。


ルーカスは横へ避ける。


そのまま懐へ入り込む。


「ここだ!」


拳を叩き込む。


ドゴォン!


ロボットの胸部が大きくへこむ。


動きが止まる。


もう一体が迫る。


ルーカスは振り返る。


「今度は……!」


しかし、そのロボットの動きが突然止まった。


「……?」


ミリアが端末を見る。


「待って!」


ロボットの身体から、小さな電子音が鳴る。


ピッ……ピッ……


そして――


二体とも、突然こちらに背を向けた。


「逃げる?」


ジェイクが驚く。


ロボットはそのまま走り去っていく。


ルーカスは拳を下ろす。


「何だったんだ……?」


ミリアは端末を確認する。


「通信信号が変わった」


「工場から?」


「ええ」


三人はロボットが去っていった方向を見る。


少年が震えながら口を開く。


「……あいつら、あの工場の方から来た」


ルーカスたちは顔を見合わせる。


第七自動化工場。


その内部で何かが起きている。


そして、その何かは街のロボットたちにも影響を与えている。


ルーカスは工場の方角を見る。


「急ごう」


三人は再び歩き始めた。


第七自動化工場は、もう遠くない。


第20話 完

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