第17話「人間の敵」
地下研究施設。
武装した男たちが一斉にルーカスたちへ向かってくる。
ルーカスはブレイカーを構えた。
「来い!」
先頭の男が距離を詰める。
ルーカスが拳を振り抜く。
しかし、男は横へ飛んでかわした。
「速い!」
そのまま男がルーカスの腕を掴む。
「うっ!」
ルーカスは引き倒されそうになる。
だが、ジェイクが横から飛び込んだ。
「ルーカス!」
ドンッ!
ジェイクが男へ体当たりする。
男がよろめいた。
「今だ!」
ルーカスは腕を振りほどき、拳を叩き込む。
ドゴッ!
男は後ろへ吹き飛び、床を転がった。
「やった!」
しかし、別の男がジェイクへ迫っていた。
「ジェイク、後ろ!」
ジェイクが振り返る。
間に合わない。
その瞬間、ミリアが近くの机を蹴った。
ガタン!
机が男の足にぶつかる。
「うわっ!」
男の動きが止まった。
ジェイクはすぐに距離を取る。
「助かった!」
「油断しないで!」
ミリアが叫ぶ。
敵はロボットとは違う。
単純に突っ込んでくるわけではない。
互いに距離を取り、仲間と連携しながら攻撃してくる。
ルーカスは拳を構え直す。
「こいつら……戦い慣れてる」
「当然だ」
先ほど吹き飛ばされた男が立ち上がる。
「お前たちとは違う」
男は再び構えた。
「俺たちは、最初から戦うために訓練されている」
ルーカスは歯を食いしばる。
「だったら……!」
男が突っ込んでくる。
ルーカスも前へ出る。
拳を振る。
男はかわす。
さらに一発。
それもかわされる。
「くそっ!」
ロボットならブレイカーの解析で動きを読める。
だが、人間は違う。
相手の動きが予測しにくい。
ブレイカーにも表示が出ない。
【動作解析中】
【データ不足】
「まだ解析できないのか!」
男がルーカスの懐へ入り込む。
ドンッ!
腹に拳が入った。
「ぐっ!」
ルーカスが後ろへ下がる。
「ルーカス!」
ジェイクが駆け寄る。
だが、別の男がジェイクの前に立ちはだかった。
「お前の相手は俺だ」
「……上等だ!」
ジェイクが拳を握る。
二人が向かい合う。
ジェイクは一歩踏み込む。
男も同時に動く。
拳がぶつかる。
ドン!
ジェイクの顔が歪む。
「ぐっ……!」
それでも下がらない。
「ルーカスには……負けられねぇんだよ!」
もう一度拳を振る。
今度は男の頬を捉えた。
「ぐっ!」
男がよろめく。
ジェイクは追撃する。
「これでどうだ!」
ドン!
男が倒れる。
ジェイクは息を切らしながら拳を下ろした。
「……やった」
その一方。
ルーカスはまだ敵と向かい合っていた。
男が素早く距離を詰める。
ルーカスは拳を構える。
今度は力任せに振らない。
相手の動きを見る。
右足が前。
肩が少し下がっている。
「……来る」
男が拳を繰り出した。
ルーカスは紙一重でかわす。
そして腹部へ拳を叩き込む。
ドゴッ!
男が後ろへ下がった。
「なに……!」
ルーカスはさらに踏み込む。
ドン!
胸部。
ドン!
肩。
最後に足を払う。
男が床へ倒れた。
「はぁ……はぁ……」
ブレイカーが反応する。
【戦闘データ更新】
【人間の戦闘動作を記録】
ルーカスは画面を見る。
「少しずつ……読めるようになってきた」
その時。
部屋の奥から、先ほどの男が声を上げた。
「全員、撤退するぞ!」
「え?」
武装集団が一斉に距離を取る。
ルーカスたちが警戒する。
「逃げるのか?」
ジェイクが言う。
先頭の男は地下施設の出口へ向かう。
そして振り返った。
「今日はデータだけで十分だ」
ルーカスの表情が変わる。
「データ?」
「お前がブレイカーを使うところを確認できた」
男はルーカスを見る。
「アレン・レインの息子……」
ルーカスが息を呑む。
「父さんを知ってるのか!」
男は答えない。
「お前が何者なのか……これで確信した」
男たちは撤退していく。
ルーカスは追おうとする。
「待て!」
しかしジェイクが腕を掴んだ。
「やめろ!」
「でも!」
「今追ったら、こっちが危ない!」
ルーカスは足を止める。
武装集団の姿が消えていく。
研究室に静寂が戻った。
ミリアが倒れた男たちの残した装備を調べる。
「……この人たち、普通の傭兵じゃない」
「何か分かった?」
「所属を示すものが何もない」
ミリアは一つの小型端末を拾う。
「でも、この端末だけ妙なの」
「何が?」
「さっきのロボットと同じ通信規格が使われてる」
ルーカスの表情が変わる。
「じゃあ、あいつらは……」
「ロボットと関係している可能性がある」
ジェイクが倒れた椅子を起こす。
「人間までロボット側についてるってことか?」
ミリアは端末を見つめる。
「まだ断定はできない」
ルーカスは拳を握る。
「でも、俺たちの敵がロボットだけじゃないことは分かった」
そして彼は、男が最後に残した言葉を思い出す。
アレン・レインの息子。
父親を知る人間たち。
その存在は、ルーカスたちの前に新たな謎を残していった。
第17話 完




