第10話「鋼鉄の拳」
『排除を開始します。』
四体の暴走ロボットが一斉に動き出した。
ガシャン!!
先頭の一体がルーカスへ一直線に突っ込んでくる。
「ルーカス!!」
ジェイクが叫ぶ。
しかし、ルーカスは逃げなかった。
右拳を握り、正面から迎え撃つ。
「うおおおぉぉ!!」
ドゴォォン!!
拳と鋼鉄の拳が激突する。
凄まじい衝撃が研究室を揺らした。
「ぐっ……!」
ルーカスは数メートル吹き飛ばされ、床を転がる。
「ルーカス!」
ミリアが駆け寄ろうとする。
ルーカスは立ち上がった。
右腕は痺れている。
「くそっ……。」
「思ったより硬い……!」
その時、ブレイカーから電子音が鳴る。
【衝撃データ取得】
【敵装甲を解析中】
「解析……?」
意味は分からない。
だが考える暇はなかった。
二体目が横から襲い掛かる。
ルーカスはとっさに身をひねる。
拳が頬をかすめる。
「危なっ!」
その勢いのままロボットの腹部へ拳を打ち込む。
ガンッ!!
鈍い音が響く。
しかし、大きなダメージにはならない。
『攻撃を確認。』
『損傷軽微。』
「効いてない!」
ジェイクが顔をしかめる。
三体目、四体目も迫る。
四方を囲まれた。
「終わりだ……!」
ジェイクが思わず声を上げる。
その瞬間。
ブレイカーが再び光る。
【敵装甲解析完了】
【関節部への攻撃を推奨】
【推奨部位:首・肩・膝】
「関節……!」
ルーカスは目を見開く。
「硬い装甲じゃなくて、動く部分を狙えば!」
一体目が拳を振り下ろす。
ルーカスは前へ踏み込んだ。
「そこだ!」
ドゴッ!!
右拳がロボットの膝関節へ命中する。
バキィッ!!
金属が砕ける音。
ロボットの片膝が壊れ、その場で体勢を崩した。
「壊れた!」
ミリアが叫ぶ。
ルーカスはすぐに追撃する。
「はあぁぁっ!!」
倒れたロボットの首関節へ渾身の一撃。
ゴガァァン!!
頭部が外れ、赤いセンサーの光が消えた。
『……システム……停止……』
ドサッ。
暴走ロボットが動かなくなる。
「倒した……!」
ジェイクが思わず笑みを浮かべる。
しかし、その直後。
残る三体がルーカスを取り囲んだ。
『脅威レベル上昇。』
『対象を優先排除します。』
「まだ三体もいるのか……!」
ルーカスは息を切らす。
一体倒しただけで腕が重い。
ブレイカーの負担は想像以上だった。
【装着者の身体負荷上昇】
【筋疲労を検知】
【連続使用に注意】
「まだ……終われない。」
ルーカスは汗をぬぐい、拳を構える。
研究室の奥でジェイクが鉄パイプを握り直す。
「ルーカス一人には任せられねぇ。」
ミリアも近くの工具を手に取る。
「私たちも援護する!」
ルーカスは小さく笑う。
「ありがとう。」
三人は初めて肩を並べた。
暴走ロボットとの、本当の戦いが始まる。
第10話 完




