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残念令嬢はしつこい公爵令息を地上に出てこれないように地下深く沈めて上げました  作者: ふぁぶにーる


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10/10

第10話 そして残念令嬢は・・・

あの勝負から一月ほど経った。

卒業まであと一月と言う中で残念令息は学園を退学された。

今は市井の土方業で働いているらしい。


被害者女性への慰謝料を配り終わり、父親に事業を邪魔された迷惑料として金貨1000枚渡し、残りをスパイダ様の慰謝料に渡そうとした。


「要りませんわ」


お茶会のなか、渡そうとしたが断られてしまった。

いや、それよりも、今日は二人でお茶会のはずが何故か第一王子も座っていた。


「既に報酬は頂いておりますの。ですので、これ以上の報酬は頂けませんわ。そちらはラストさんが好きに使われて構いませんわ」


スパイダ様の視線が第一王子へと向けられた。

第一王子がスパイダ様の手を握り出すとスパイダ様の頬が赤く染まる。


「まさか・・・」


「まだ、正式には発表していないが学園卒業と共に婚約を結ぶ事となっている」


まさかスパイダ様が第一王子と・・・

いや、それよりも何時から・・・


「私とスパイダは幼馴染みでね。昔から良く遊んでいたり悩み事なんかも色々と相談を受けていたんだ。世間では完璧令嬢と言われているみたいだけど、私の前では普通の可愛らしく美しい令嬢だけでしかなかったよ」


「・・・」


「あら?ラストさん、祝福してくれませんの?」


「・・・いえ、スパイダ様が婚約された事は素晴らしく祝福したいのですが・・・」


二人が幼馴染みだとは知らなかった。

私達の計画も第一王子に相談していたらしい。

そう考えると、あの最後の勝負は王子の助けがあってこそだ。


それにしても、目の前にいるスパイダ様は学園で会う完璧令嬢とは思えない表情をされて、同じ人物とは到底思えなかった。


「今のスパイダ様の幸せそうな顔が今まで見たことがないので驚いてしまいました」


「そうね・・・他の方の前では決して気を緩める事が出来ませんでした。そう考えますと、ハルマゲ様の気持ちも解るかもしれません」


「スパイダ様とは全然違いますよ」


「いいえ、わまくしも彼も周りから『完璧』を求められるプレッシャーを抱え過ぎておりましたわ。わたくしは初めて会った時に解りました『この方は危うい』と、ですが私では助ける事が出来ないのです。私が何を申しましても彼にとっては嫌悪としかなりませんから。わたくしが殿下という安らぎを得られたように彼にもその存在が必要でした。それが平民の子だったのでしょう。

ですが、安らぎだけでしたら良かったのですが、男女の関係を持つことになり、子ができ最終的に平民の子と破局したことにより、彼の完璧と安らぎは歪んでしまったのかもしれません。わたくしも殿下が去ってしまっていましたら彼と同じだったかもしれませんから」


私にとっては完璧令嬢のスパイダ様が残念令息のようになるとは思えなかった。

だって、そうなればスパイダ様も残念令嬢と私と同じという事になってしまうから。


「ところで、ラストさんにお願いがありますの?」


「私にですか?」


「ええ、殿下と婚約を結びましたら王城で過ごす事になるのですが、貴女に専属侍女として一緒に来て頂きたいの」


「私にですか?」


「ええ、今度は王妃として、より一層完璧を求められますわ。殿下も当事者となればわたくしの味方ばかりとは出来なくなるでしょう。ですから、わたくしの『癒し』として貴女に一緒に来て欲しいの」


「私にですか・・・」


「直ぐに答えを出さなくてもいいですわ。この後、ダイ令息とお会いされるのでしょ」


「どうして知っているのですか?」


「ふふふ、どうしてかしら?」


「???、スパイダ様の言われる通りで、今日、ダイと麻雀牌の取り分について話をする事になっているんです。難しい話は無理だから好きにしていいって言ったのですが、どうしても会って相談したいと言うので今日待ち合わせする事にしたのです」


「あら、そういう事にしたのですね。ダイ令息も頑張りませんと」


「何をです?あー、でも話し合っても私ではダイを納得させる割合なんて思い付かないのに」


「まあ、割らない方法もあるがな」


「割らない方法・・・」


「殿下、駄目ですわ。そこから先はお二人に任せませんと」


「おっと、すまない」


「???」


「それはそうと、残りの金貨の使い道決まりまして?」


「ええ、それでしたら───」


「!!」


「どうされたのですか?」


「いえ、流石はラストさんですわ。だからこそ、わたくしは貴女を侍女として向かいたいのですわ」


「そんな私など・・・って、すみません、そろそろダイとの待ち合わせ時間なので失礼します」


ラストは慌てて去って行く姿を二人は暖かい視線で見送っていた。


「上手くいくといいですわね」


「ああ、彼女には私達のように幸せになって欲しいものだ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ダイとの待ち合わせ馬車へ向かう馬車の中でラストは麻雀牌の利益配分について考えていた。

適当な割合を言ってもダイの事だから頷いてくれないと解っているため、根拠ある割合を示さなくてはならない。

だが、残念令嬢であるラストに根拠を求めるなど無理な話であった。

だからラストは考える。

第一王子が言った『割らない方法』を。


「あっ!」


良い方法を思いつき思わず声が出てしまった。

だが、この方法なら難しい根拠など必要ないと一気に気分が晴れ早く待ち合わせ馬車に付かないかと感じていた。


「お待たせー」


「お、おお」


待ち合わせ馬車にはダイが正装して待っていた。

いくら契約の打ち合わせだからといって少し堅すぎるのでは?


「どうしたの、そんなビシッとした服きて」


「ああ、この後、ちょっとな」


「ふーん?、そうだ、ねぇ聞いて。さっきスパイダ様から専属侍女にならないかって誘われちゃった。残念令嬢の私がよ、驚きじゃない?」


「ああ、知っている」


「えっ、何でダイが知っているの?私、さっき言われたのに」


「ああ・・・」


「・・・変なの」


いつもと違い会話が弾まない。

ダイの雰囲気がいつもと違っていた。

そんなに麻雀牌の利益配分が重要だと思っているのだろうか?

確かに、あの件以来、ハードン領には麻雀牌の受注が多く届いているらしい。

そこまで悩むなら私とダイの仲なのだから利益配分などなしでも構わないのだけど、真面目なダイの事だから受け入れられないのでしょう。


「ラスト、話があるんだ」


「麻雀牌の利益配分の事でしょ」


「いや、それも大事だけど・・・」


「ねぇ聞いて、私いい事思い付いたの」


「いい事?」


「そう、ねぇダイ、私と結婚しない?」


「はぁ!?」


ダイが呆気にとられ大口を開けたまま閉じる事が出来なくなっていた。

私は構わず話を続きをする。


「ほら、結婚したら麻雀牌の利益配分を考える必要ないでしょ。私、ダイの事嫌いじゃないし、それどころか好きな方かも」


「好き・・・」


「ええ。さっきスパイダ様と会っていたって言ったでしょ。その時のスパイダ様の幸せそうな話を聞いていたら私はダイだなぁって思って。私にとって安らぎはダイなんだけど駄目?」


ダイが項垂れている。

額に手をあて溜め息までついている。

それほど、私の提案にショックを受けたのだろうか?

頭の中に『断れる』という言葉が浮かぶと目尻が熱くなった。

すると、ダイが懐から小さな箱を取り出すと箱の中には指輪が入っていた。


「どんな言葉で告白しようかと思っていたのに・・・まさかラストの方から言われるとは・・・」


「ごめん」


「ふっ、何か残念令嬢らしいな。俺達のプロポーズならこんな感じもありか、情けなくて悪いが受け取って貰えるか?」


答えは勿論1つしかない。

ダイから受け取った婚約指輪をはめる。

サイズが合っていないが、ブカブカな婚約指輪をはめてダイに見せて上げた。

私の満身の笑みにダイが背けて顔を赤らめた。







【後日談】


○ハルマゲ旧公爵令息

土方業で仕事をするようになった彼だが、張り詰めていたものが取れ、生き生きと仕事をしていた。

そんな彼の元に二つの知らせが届く。

1つ目は匿名で彼宛に金貨500枚が振り込まれ手紙を手渡された。

手紙には『今度こそまともになりやがれ残念令息』とだけ書かれていた。

2つ目は幼い子供を連れた女性が彼の元に訪れ彼はその幼い子供を抱上げた。


○スパイダ旧侯爵令嬢

王太子妃となった彼女は『完璧な王太子妃』と世間から言われている。

そんな彼女は夫と専属侍女の三人で麻雀をするのが安らぎとなっていた。

彼女はたまに『真面目に積もるのも楽しいけどたまには鳴くことも大事ですわね』と呟いていた。


○ダイ・ハードン小子爵

ラスト令嬢と無事に結婚。

領地は父親に任せ麻雀の普及活動のため、夫婦で王都に留まっていた。

その活動が実り麻雀ブームが到来。

功績を称えられハードン男爵が子爵へと陞爵する事となった。

尚、妻に金貨について聞くが『内緒♪』と教えて貰えない。

だが、『孤児院に○イガーマスクという名で金貨何1000枚も寄付』というニュースで世間が騒いでいるだけでなく、ハルマゲ令息からも感謝の手紙が届いていた事で金貨の流れを知っているのだが、妻には知っているの事を内緒にしていた。


○ラスト・ハードン婦人

王城でスパイダ王太子妃の侍女として働くが今は長期休養中。

スパイダ様には全額を寄付した事に驚かれ、『ラスタさんは要りませんの』と問われたため『私は何時でも稼げますので』と告げた。

言葉の通り、夜な夜な麻雀で荒稼ぎをしていた。

今も、大きなお腹を擦りながら『ロン』と叫ぶ彼女の声が聞こえる。

言葉が拙いですが完結致しました。


えっ?何ですか?タイトル詐欺?


いえいえ、ちゃんと公爵令息の点棒を地下深くまでマイナ

スに沈めて差し上げました。


ちゃんとタイトル通りですよ。


と、言うのは冗談で最初は『残念令嬢ですが、運命を掴むため踠く事にしました』や『残念令嬢の運命の掴み方』とラストメインのタイトルを考えていたのですが、作品が出来上がると何か残念令息の事もタイトルに加えたくなり今のタイトルになりました。


騙すようなタイトルにしてしまいスミマセン。

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