The Man Who Noticed
帰宅したボブはスマホに届いてた通知、動画サイトにある棗のチャンネルの更新に気が付きデスクのノート型パソコンの電源をいれた。
不出来な娘だと認識していた彼女のチャンネルでは棗がどこかの森の中に立っていた。
動画サイトのAIでの自動翻訳によると棗は異世界に転移したとまるでジャパニメーションのストーリーのようなことを言い始め、薄汚れたモンスターを画面に映し出す。
ボブの退役軍人仲間である悪友たちの影響か、ジュニアスクールだった頃から比べると随分とガラが悪く汚い言葉を使い、そしてやや・・・・・・いや、かなり下品になり皮肉交じりの他人を見下すような口調になっていた。
だが、そんな粗暴な口調と裏腹に当時の聡明さは失ってない、以前に勉強はさっぱりだと棗の恋人が教えてくれたが頭のキレなどはそのままだという。
勘も鋭く、芯を持ちタフネスも兼ね備えた棗は、アメリカ国籍があり男であればぜひMMAに通ったりOCSに通いマリーンに来て欲しいほどの人材だが戦争屋になって欲しくなくもあった。
恋人二人と笑い合い、リスナーをこき下ろしながらも自虐ネタなどを挟み不快にさせず愉快そうに笑う棗。
少々手ほどきをした銃の基礎もサバイバル技術も、腐らせることをせず平和な日本でも磨かれていた。
その中には木の繊維でスリングを作るなんてものあったが、まさかこうして異世界で使うとは思っても居なかった。
会話の所々でボブの事を口にし、敬意などを感じさせボブはやや目頭が熱くなり歳をとったなと感じていた。
自分を高潔な兵士だと棗は口にしたが、ボブはそんなたいそうな物じゃないと、ただの人殺しだと棗に言いたかった。
確かに国の為、平和のために戦った。だがその中には一般人に言えないような行いも含まれている。
正義だったかと聞かれれば国の為だとしか言えない汚れ仕事も行っている。決して棗が語るようなムービーに居る正義の兵士ではなかった。
ウィスキーを飲み夕飯の冷めてチーズの固まったピザを胃に流し込みながら12時間に及ぶ異世界転移一日目の配信をボブは優し気な目で見つめていた。
だが棗達が夕飯を食べたあたりからボブの表情は険しくなる。
棗は同じく異世界に迷い込んだ同胞、日本人を足手まといだと見捨てたと口にした。
確かにボブの教えたドクトリンの中にはそういった冷徹な物も含まれている。
だが転移直後から、足手まといだと決めつけ見捨てた棗にボブは何故だと問いかけたい気持ちになった。
翌日の配信では、相変わらず思想が強く、物事断定してしまう癖もある棗だが危なげなくモンスターを撃ち無事に集落にまでたどりついたことでボブは深く息を吐く。
数か月前にテキサスに来た棗と今の棗、同じ棗のはずなのにどうしてかボブには同じ人物には見えなかった。
どこが違うのかと問われたら答えることはできない、変わってないように見えるが何故かどこか引っかかるものがあった。
2章最後に当たりますがこの時点では1章最後までの視点のボブです
理由は特にないですが1章の終わりが物語が始まる前のボブ視点だったのでずらしてますが結果ずらしてよかったとおもってます
なぜなら章の最後でアンサー出されたら詰まらないから。
MMAやOCS
MMA(マリーン ミリタリー アカデミー)はテキサス州ハーリンジェンにあるアメリカ海兵隊の伝統や規律を取り入れた私立の軍事式寄宿学校です。
ただし、海兵隊が直接運営する正式な軍人養成学校ではなく男性のみの入学です
OCS Officer Candidates School/士官候補生学校
こちらは女性でも入れる学校になりますが、
アメリカ市民権を持っていること
原則として大学卒業、または大学在学中で所定の条件を満たすこと
年齢・身体能力・健康状態などの基準を満たすこと
士官選抜の審査に合格すること
など、厳しい条件があります。




