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Opening Volley

 目的地であるゴブリンたちの巣を前に物影に身を潜め屈んだ棗達一行は、襲撃の最終確認をおこなっていた。

 既に汐路は華音のセーフハウスに避難し棗達は.22口径ライフルからいつもの武器に持ち替えている。


 「グレッグ、あのみすぼらしい枝を組み合わせたのがゴブリンの巣か? それとも奥に見える洞窟が拠点なのか?」


 大規模な拠点というわりにはあまりにもみすぼらしく12ゲージの散弾を打ち込めば簡単に破壊できそうな巣に棗は疑問を投げかける。


 「ああ、あの外の奴らはいわゆる雑用だな。ゴブリンの中でもひときわ貧相な身体をした奴隷扱いの奴らだ。

 そして最悪なことにこの拠点の主はオークだ。ゴブリンを監視しているオークが三匹もいるってことはあの洞窟内にはもっと多くのオークがいるはずだ。 棗、オークをさばききれるか?」


 グレッグの懸念に棗はチラリと華音とマコに顔を向ける。

 7.62mmの火力だけでは対応できないかもしれない。が、5.56mmの速射性や小口径とはいえショットセルの.410スラグ弾は十分オークに対応できるストッピングパワーを有している。そして棗に関してはサブの1911も10mmオートと火力の高いものだ。

 もちろんマコの持つH6 mare's leg pistolもピストルの名を関してはいるが、レバーアクションライフルのストックとバレルを切り詰めた所謂ランダルスタイルでありバレル長は10インチを越え射程距離もハンドガンよりも長い100mほどだ。

 不安定な要素を除外すれば十分対応可能だった。


 そして洞窟という住処は棗達現代兵器を操る者にとってプラスになる要素も多い。

 暗闇に隠れ潜もうがナイトビジョンやサーマルを搭載したオプティクスはくっきりとその姿が見て取れるし銃の欠点である発砲音は洞窟内で反響し確実に中に潜むモンスターの三半規管をゆさぶりダメージを与える。

 最悪まともに戦わず洞窟内に有毒ガスの硫化水素を流し込んだりなど人によっては鬼畜だと感じる手段もとれた。


 「ま、なんとかなるだろうし、ならねぇようならケツまくって逃げるだけだ。 アタシらとグレッグ達じゃ交戦距離が違う。戦術も戦略も別モンだしアタシらは剣や槍なんかで近接戦をする奴らとの連携なんつうもんは想定してねぇからそんなトレーニングもしたことないしそんなドクトリンも存在してねぇ。」


 そこまで言うと棗はスッと指を伸ばし隠れ潜むところから100mは離れた地点を指さした。


 「グレッグはあそこら辺まで隠れて移動しそこから突撃する。アタシらはグレッグ達に気が付き気を取られているところを横から攻撃する。

 数が多くてもあの貧相な身体つきのゴブリンどもだグレッグ達の相手じゃねぇはずだ。 ある程度は間引くがアタシらはゴブリンよりもオークを攻撃することを優先させる。それで大丈夫か?」


 「ああ、ゴブリンだけなら30匹いても俺たちだけで十分対処可能だしな。」


 「おいおい、ゴブリンは100匹はいるって話だろ?せめて半数は相手しろ。30匹で仕事してますみてぇなツラすんじゃぁねぇよ。 あくまでもアタシらは手伝いなんだからよ。」


 「わかってるよ。ただ どうしてもそっちに向かうゴブリンも出てくるだろ? オークも馬鹿じゃない俺たちよりも棗を脅威と感じる知能くらいはあるからな、ゴブリンに棗達を襲うように命令する。 それを考慮すると離れた位置から攻める俺たちが相手にするのはそのくらいまで減る可能性があるってことだ。」


 「そういうことならしかたねぇか。んじゃさっさと終わらしまおうぜ。」


 棗の言葉にグレッグ達は身を潜め棗達に背を向け離れていく。


 「さてと あとはコッチだな。華音、マコ。アタシらは基本的にはオーク狙いだ。が、こっちに来るゴブリンも居るだろう。

 アタシが7.62mmや10mmオートの火力でオークの処理を、華音は5.56mmの速射性と装弾数の多さでオークとゴブリンをその場に応じてだ。

 マコは向かってくるゴブリンを中心にアタシらがリロードするときだけ援護する。今回はアタシも指揮してる余裕はねぇ。

 が、今までサバーゲ―やトレーニング、この世界での実戦で培った経験がある。華音やマコならやれるはずだ。」


 そこまで言うとちらりと棗はグレッグ達に目を向け、身を潜め突入を開始し始めたのを確認した。


 「グレッグ達も突入した。プレスチェックはOKか? ……Let’s ruin someone’s day《ぶっ潰しに行こうぜ》。」


 離れた位置でミアの魔法が炸裂し、グレッグ達が突入を開始する。

 オークやゴブリンが襲撃に気がつくが棗はまだ動かなかった。


 多いとは言えないが数匹のゴブリンがグレッグ達に切り伏せられ大量のゴブリンと、数匹のオークが棗達に気が付かずグレッグ達に向かい始めたその瞬間、棗は隠れ潜んだままライフルをオークへ向けるとトリガーを引いた。

 7.62mmの轟音と重い木製ストックでも殺しきれない、街角で不意に人にぶつかるほどの強烈なリコイルが棗の肩をたたく。

 それでも棗の鍛え抜かれた身体と磨き抜かれたコントロールにより5.56mmのような軽快な連射とまではいかないが一定のリズムを刻む。


 そして華音も棗の一射目と同時にライフルを構え発砲。

 オークには少々パワー不足の対人用の5.56mmだが、装弾数の多さと速射性をいかしオークの一体を仕留めた。


 「パーパワン クリア。」


 棗は事前にオークを豚と評しフォネティックコードのPを割り当てていた。

 

 一方マコは二人とは違い、深く深呼吸をしH6を構えてはいるが発砲を控えていた。

 けっしてサボっているわけでも委縮し発砲できないわけでもない。

 H6に着けたオプティクスをゆっくりと狙うべきターゲットに向けている。

 棗と華音の狙撃に気が付いたオークがゴブリンに咆哮をあげ命令を下し、ゴブリンが姿を隠す棗達を探し始め接近を開始する。

 その時マコがようやく、射程距離にはいったゴブリンにむけ.357マグナムを叩き込んだ。


 身長は130cmほど体重は20kg程度の矮躯のゴブリンの胸に叩き込まれた.357マグナム フラットノーズが面の弾頭で胸部を破壊し暴力的な運動エネルギーを叩き込んだ。

 華音もマコもそして棗もトレーニングでは3タップを基本としているが、ことゴブリンに関しては.357マグナムでも一発で戦闘不能に陥らせることができるためマコは一発胸に叩き込むと素早くリロードしトドメを加えるよりも次の目標を狙い始める。


 戦闘時間の経過により弾の消費が増えていく。

 一番余裕がないのが華音だ。装弾数は多くてもタフなオーク相手にフルのマガジンでも2匹しか倒せず、リロードが増え3つ目の予備マガジンに手を伸ばす。

 逆に余裕があるのがマコだ。装弾も少なくチューブマガジンへの装填に時間はかかるがいくら数が多くても一発で戦闘不能になるゴブリンを相手にしていた。


 そして棗、装弾数が少なくタフなオークを相手にしているが5.56mmよりも火力の高い7.62mmは予備マガジンを2本残している。


 だがいくら100匹を超えるゴブリンとそれを支配するオークも無尽蔵にいるわけでもゲームのようにポップしてくるわけでもない。

 きちんとした生態系をもつ生命体だ。

 森の中にある大きな拠点と言えどその数には限りがある。華音の5.56mmが尽きるより早くゴブリンよりも数の少ないオークが戦場を見渡す3人の目から消えた。


 「パーパ オールクリア。」


 華音が最後のオークを倒しながら声をあげる。


 「あとは動くマンターゲットへのシューティング。洞窟は外を掃討したあと整えてから突入だ。」


 棗の指示に華音は立ち上がりその姿をゴブリンに晒すと残り少ない5.56mmを使い切るとライフルを背に回し腰から9mmを解き放った。

 ゴブリンも多いとはいえ残り20匹もいない状態だった。


 棗も立ち上がり腰をやや低くし膝を曲げた姿勢のままM1Aを構え、突入を開始する。

 

 常に銃を身体の正面に向けアイアンサイトを覗き込み足さばきで身体の向きを変え移動とターゲッティングを同時に行うスムーズなムーブ&シューティング。ジュニアハイのころから悪乗りしたボブやその友人の退役軍人たちに仕込まれた身を守るためではなく敵を倒すための技術。


 シューターとしては才能があるマコが最も苦手とし、なんでもそつなくこなせる華音もまだ達していない領域にあるそれは長い年月を費やし身に着けた棗の最も得意とするものだった。

 警戒移動からの接敵でも0.38秒で初弾を叩き込むまでにいたった兵士と変わらない……否、新兵では不可能なハイレベルな流れるようなムーブ&シューティングだった。

Let’s ruin someone’s day《ぶっ潰しに行こうぜ》

南部っぽいスラングですね。直訳は誰かの今日を台無しにしようぜ です。

テキサス育ち+退役軍人に育てられた という棗の過去から此のくらいは口にしそうだなと思い

発言させてます。

ルビに10文字の制限があるのは不便ですね


フラットノーズ

弾頭の先端が平らになってる弾ですね。

これはマコがH6のようなチューブマガジンを使用してることが主な要因です。

チューブ内に並ぶ弾の雷管を弾頭が叩かないようにするためです


フォネティックコード 

無線での聞き間違いなどを避けるために使用されるものです

Aならアルファ Bならブラボー Cならチャーリーといった感じでフォネティックコードを知らない人でも耳にしたことはあると思います

ちなみに一部軍人スラングでもこのフォネティックコードが使用されます


走れ!動け!と叱咤するときのON the Move は頭文字のフォネティックコードでオスカー・マイク!と言われたりします。


最後までお読みいただきありがとうございます。

『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、作品への応援お願いいたします!

正直な感想や好きな銃や出演させてほしい銃などコメントを頂けると嬉しいです

また、ブックマークもしていただけると嬉ションしながら1911を握りしめます。

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