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A Fragile Equation

 マコと華音が.22口径のライフルを手にした後、棗は持ち前のオカルトじみた勘とOps-Coreの集音性能や3Dオーディオ技術、近距離磁界誘導(NFMI)等で索敵と、華音とマコへの指揮に専念していた。

 華音もマコもサバゲー経験者であり、何度かテキサスに行きボブの訓練を受けているが、棗程の戦術スキルを持っているわけではない。

 その為、今日まで異世界でモンスターとの戦闘時は棗の指示を頼りに戦闘をしている。

 銃には堅牢さ、確実性を求める棗の性格ならば本来、堅牢さに定評のある3M Peltor ComTacをチョイスするはずだが繊細なOps-Core AMPを使用する理由がいち早く気づくことを優先した結果だった。


 「そろそろ今日の目的地が近くなってきたみたいだな。ゴブリンとのエンカウントが多くなってきたぜ。」


 小休憩を取り、棗は煙草をふかしながらポーチに入れたペットボトルの水を口に含み吐き捨てた。

 棗は今までの戦闘がギリギリの綱渡りによるものだというのを理解している。

 戦闘での一方的な蹂躙だけを見れば余裕があると誰もが思うだろう。

 現に当事者である華音もマコも、それを今日までみている汐路やグレッグ達もそう感じていた。


 だが棗だけは、今まではただ運よく噛みあってきているだけだということを理解している。

 それはマコの資質と装備のチグハグさ、そして棗自身の火力偏重主義によるところだ。


 マコの微妙なトロさとレバーアクションライフルやレバーアクションショットガンの組み合わせは最悪の部類だ。

 装弾数の少なさでどうしても再装填の回数が多くなり、チューブマガジンにより素早い装填もできない。そしてそのどれもが近距離から中距離での戦闘向けということだった。

 棗の考えるマコの最適な装備は装弾数の多いPDWなどによる面制圧とその慎重なサイティングによる6.5CM(クリードモア)などのフラットに飛ぶライフルでの遠距離からの狙撃だった。


 現在オークへの対抗手段として棗は7.62mmのバトルライフルを使用している。これは丁度棗の火力偏重主義とかみ合ってはいるがM1Aの1マガジンの装弾数は5.56mmの30発と比べ20発と少々少ない。たかが10発だが、予備マガジンまで含めると1マガジン分は確実に少なくなる。それを補うためのハンドガンが10mmオートのシングルカラムの1911モデルという装弾数の少ない物を選んでいる点それが棗の自身の言う『装弾数こそ正義』という言葉と矛盾している現実だった。

 

 これが棗が極力自分たちを主力に考えるなと念を押していた理由の一つだ。

 オークなどのタフさのあるモンスターを棗がその単発火力で倒し、華音が5.56mmの速射性でオークやゴブリンの両方をバランスよく倒し、マコが.410や.357マグナムでゴブリンを排除していく。このスタイルの欠点はマコが処理しきれない量のゴブリンが現れたとき、棗や華音だけではさばききれないタフなモンスターが現れたときに破綻してしまう。


 どちらにせよ3人では対応できる数は限られている、その対策がアウトレンジからの一方的な蹂躙だ。

 そしてそのアウトレンジからの一方的な蹂躙を行うのに適しているのがマコの精密射撃と6.5CMというフラットに飛び風の影響をあまり受けない弾薬だった。


 「ど、どうしたのなっちゃん。難しい顔して。」


 マコが何か失敗をしたのだろうかと不安げに棗に身を寄せる。


 「あん? そんな顔してたか? 気にすんなアタシもちょっと緊張してるだけだ。 マコ、華音。先に言っておくぜ。

 さばききれない量の敵がいれば即時撤退だ。グレッグ達を見捨てることになってもアタシはお前ら二人の安全を優先する。」


 グレッグ達を目の前にしてそう口にする棗だがグレッグ達からは非難の声は上がらない。


 グレッグ達はモンスターを金を貰い討伐する傭兵だ。

 それに対し棗は『異世界からの部外者だが開拓村に拠点を置かせてもらっている。』という配慮の元手伝っているに過ぎない。

 開拓村に確かにある程度の要求はしているが、それは棗達が拠点を離れる間の防衛力の低下を懸念し哲平の装備を整えるための金銭や後日請求の使用した弾薬代のみで棗達の戦闘に加わる報酬というのは含まれていない。

 それにアウトレンジから一方的に蹂躙を行う棗達が撤退を考える状況、それは近接戦闘を行うグレッグ達は既に撤退を決意し行動を起こしているか……もしくは既にその屍を晒しているかの状況だった。

 そもそも本来ならばグレッグ達5人では足りない状況であれば追加の傭兵を雇うべきなのだ。

 棗達の圧倒的な戦力を当てにし、予想される敵戦力ならば対処可能であることを前提に行動しているに過ぎなかった。


 「できれば俺たちの撤退もサポートしてもらえると嬉しいんだがな。」


 「甘えるな……と、言いてぇところだがな。状況にもよるがてめぇらが状況判断を誤らねぇかぎり見捨てたりはしねぇよ。こう見えてもアタシはお前らを結構気に入ってんだぜ?──ところでラスティ、ゴブリンつぅのは罠を仕掛けたりしてくるのか?」


 眉間にしわを寄せ何か思うところがあるのか棗がラスティに問いかけた。

 

 「うん。落とし穴程度だけどそのくらいの知能はあるよ。」


 ラスティの返答を聞いた瞬間、棗の表情がわずかに変わる。

 煙を吐き出しながら、ゆっくりと顎で前方を指した。


 「……なら、あの辺り。踏むなよ。」


 「え、どこ?」


 「その倒木の手前。土が妙に柔らけぇ。……気がする。」


 言い切らない。

 だが、その声音には妙な確信が混じっていた。


 「うわっ……またそれ? なっちゃんの野生の勘。」


 華音が肩をすくめる。


 「当たるのはいいんだけどさ、それ経験則ってわけでもないし……ほんと何なのそれ。」


 「さぁな。」


 棗は短く答えると、煙草を踏み消した。


 「気づいたらそうなってた。テキサスにいた頃からだ。理由なんざ知らねぇし、知る気もねぇよ。」


 軽く言い捨てる。


 だがその目だけは、すでに次の危険を探していた。

 

■ 電子イヤーマフについて

3M Peltor ComTac

3M Peltor ComTac と Ops-Core AMP は、どちらも特殊部隊で採用される代表的な電子イヤーマフです。

AMPは多機能かつ統合性に優れた繊細なモデルですが、ComTacはより堅牢な作りが特徴です。

他にも、MSA Sordin Supreme Pro-X のように防水性能に優れた全天候型モデルも存在し、実際の現場では環境や任務に応じて使い分けられています。


「どれが一番優れているか」というよりも、用途に応じた最適解を選ぶ装備だと私は考えています。


なお、AMPやComTacの一部モデルはITAR(国際武器取引規則)の対象となっており、入手には制限があります。


■ 近距離磁界誘導(NFMI)について


近距離磁界誘導(NFMI) は、戦場のような大音響環境で使用される通信技術です。

銃声や爆発音が飛び交う状況では、通常「ヘッドセット」と「耳栓」を併用するダブルプラグ(二重遮音)が必要になります。

しかし、一般的な耳栓では無線や周囲の音まで遮断されてしまいます。


NFMIでは、ヘッドセットが発生させる微弱な磁界を利用し、耳の中に装着した専用イヤープラグへ直接音声を伝達します。


Bluetoothのような電波ではなく「磁界」を用いるため、混信に強い、妨害されにくい、盗聴が極めて困難

といった特性を持っています。


■ PDW(Personal Defense Weapon)について


PDW(Personal Defense Weapon)は、1990年代に登場した火器のカテゴリです。

短機関銃のようなコンパクトさと、ライフルに近い貫通力を両立することを目的として設計されています。

代表的な例としては、FN P90 などが挙げられます。

ただし、この「PDW」という分類には明確な定義があるわけではありません。

MP5やMP7をPDWとする人

同じものをサブマシンガンと分類する人

P90をサブマシンガンと呼ぶ人

など、見解は分かれています。

実際、メーカーであるFN HerstalもP90をサブマシンガンとして扱っています。


そのため、PDWという言葉は厳密な分類というよりも概念的な呼称と考えた方が近いでしょう。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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