Negligence Kills
壁にはガンラックが取り付けられ、今や使われなくなったホムセンショットガンのスティーブンス320セキュリティやネタとして買われたAXORのFS-PRO、他にも棗や華音、マコの趣味で購入したライフルやショットガン、ハンドガンがズラリと飾られたガンルームの真っ赤なソファーに座った棗は1911の分解図のプリントされたマットの上にマグネットの付いたパーツトレイや工具、メンテナンスの溶剤やオイル等を並べていく。
「さてと、まずはアタシのTAC ULTRAからバラすとすっかねぇ。 とは言えコイツは最新アップデートされた様な近代的1911だ。1911である以上こまめなメンテを欠かせない繊細さなどがある。今まで配信では見せてねぇがアタシはコイツを結構バラしてメンテをしている。だから、ブレイクインが終わるまではジャムの多いといわれるコイツでもさほどジャムを発生させていねぇ。」
:そのTAC ULTRAってあまり良くないの?
「悪くはねぇ。トリガーもキレがあるし最高の射撃体験を約束してくれると思うぜ?それに同クラスの1911モデル。 そうだなスプリングフィールドアーモリーの1911DS prodigyと比べたら300ドルは安い。元々1911モデルってのはブレイクインを終わらすまでは何かと不調がでる設計の古い銃だ。だがな、ブレイクインを経て手に馴染ませた1911モデルってのはシューターとしての歴史を共に歩んだ相棒とも言えるぜ。コイツの欠点はまず重い。1911モデルの中でも重い部類だ。そして表面の仕上げ処理があまりよかねぇ。パーカライズ仕上げがイマイチだ。あとはフルレングス・ガイドロッドってやつのせいで分解時に専用のピンでスプリングを固定しながらバラさなきゃならねぇ。慣れりゃどうってことねぇが、通常の1911に慣れた人間にはちょっと面倒な構造だな。」
そうリスナーに語りながら慣れた手つきでマガジンをリリースしスライドを引きチェンバーから装填されていた弾を取り出した。
「当たり前だがフィールドストリップする時、まずは弾が装填されていないことを確実にしておけ。アタシらはモンスターのいる世界にいるからな絶対にフルで装填しているしチェンバーにも弾が装填されている状態だ。コイツを怠りゃぁ最悪隣や近くにいる仲間や恋人に暴発した弾が当たり怪我をさせたり死なせちまったりすっからな。」
棗はマガジンとチェンバーから取り出した弾をテーブルに並べるとスライドを後退させ露出したスプリングガイドに安全のためのピンを差し込んだあとスライドロックのピンを抜き取りスライドを前方に押し出し引き抜いた。
RIAのTAC ULTRAシリーズの数少ない不満点はこの安全ピンをつかいリコイルスプリングを固定しながら分解しなくてはならないところだった。
「ま、この辺りは慣れが必要だ。メンテナンス性を考えるならコイツは選ばねぇ方がいいな。 それこそグロックや、グロッククローンなんかの最近の主流の銃を勧めるぜ。300ドル程度のグロックGen3のクローンにカスタムトリガーを組み込んだり実売400ドルのRXMあたりを買ったほうが良いだろうな。グロックやPSAダガーのトリガーはヌチゃってしていて気持ちわりぃしウォールまでが長かったりイマイチだ。だがルガーのグロックgen3クローン RXMはフラットなトリガーだし最初からトリチウムサイトやオプティクスの為のカットが入ってる。FCUのモジュラー構造ってのもカスタム派の人間にゃぁ喜ばれるだろうな。」
: カスタムって素人でもできるもんなん?
: 部品の交換はそう難しくはないが銃の知識は必須だな。
「そうだな。因みにGLOCK信者がGLOCK is PERFECTっていうのはそもそもアメリカの銃文化がカスタム前提の文化ってのもある。 アタシや華音、マコは割とパッケージで使うことが多いが異世界でわざわざ相性を調べたりその都度調整をしてる暇がねぇってのもあるな。 マコのH6なんかはクイーバーやら取り付けてカスタムはしてるが内部メカやバレルは変えてねえし、華音のDDM4V7もイジっちゃいねぇ。」
: 意外だな棗はカスタムしまくっているかと思ってた。
「アタシらは一定水準の銃をあつかってるからな。GLOCKみてぇなカスタム前提のベースの銃じゃないからってのもあるぞ。このTAC ULTRA FSだってこのままUSPSA競技に出しても恥ずかしくねぇ性能してる。」
リスナーと会話をしながらも棗の手は慣れた手つきであっという間にスライド、バレル、リコイルスプリングと分解していき溶剤を垂らしトリガーシステム周りのカーボンやスラッジを洗い流しウエスで拭き取るとガンオイルを一滴可動部に垂らしてひと拭きし伸ばしていく。
「たまーにバレルに熱湯を流し込んでクリーニングするアフガンゲリラとか居るが、ありゃ溶剤が手に入らねぇ状況の最終手段だからな?」
: そういえば棗はWD-40とかは使わないの?
「おめぇ わかってんな。ありゃメーカーの推奨するぼったくり価格のガンオイルよりだいぶ安い。マルチに使えるオイルだ。アタシもスティーブンス320セキュリティあたりならアレでメンテするし金に余裕がねぇときはDDM4V7やM1AだってWD-40を使うときもある。だが、今の状況それなりに余裕があってパトロンもいる状況だ。そして雑魚とはいえ100匹はこえるモンスターの居る巣に向かう前に使うなんてこたぁねぇよ。」
あっという間にメンテを終わらせ組み直した棗はカチャカチャとスライドを動かし動作を確かめ空撃ちしトリガーを確かめた。
「さ、次は華音やマコの番だな。あたりまえだが、マコと華音と自分の扱う銃のメンテは自分でできるぞ。フィールドストリッピングは基礎の基礎だからな銃に興味あるやつは好きな銃は出来るようになっておけ。」
スプリングフィールドアーモリーの1911DS 1911はコルトガバメントのみということではなく各社がおのおの1911モデルを販売しています。スプリングフィールドアーモリーの1911DSもそのうちの一つでスタンダードな1911といわゆる2k11とタイプの現代改修型の1911DSを販売しています。価格は1911モデルが900ドルに付近に対し1911DSは1500から1700ドルといった具合です。
グロッククローン こちらも特許の切れた古いグロック GEN3が各社から販売されています
1911モデルがスチールフレームの重く古臭い競技向けのスタンダードとするならグロッククローンは軽いポリマーフレームの現代スタンダード。
1911モデルのトリガーの切れ、楽しい射撃体験よりも『どんな状況下でも確実に作動する信頼性』や『日常的にキャリーのしやすさ』などを重視しています。
なのでグロックをキャリーし使用するアメリカのシューターの多くはトリガーシステムを交換したりし結局安くない金額をグロックにつぎ込むことが多いです。
WD-40 言わずと知れた防錆万能マルチオイル
あくまでも専用の物ではないマルチに雑に使うオイルなのでDDM4V7や高価な限定モデルのM1Aのメンテに使用するようなものではないです。
ホムセン銃のスティーブンスやハイポイントのような安かろう悪かろうの銃に使用する程度のものです。
日本のクレー射撃を楽しむ方や狩猟を行う方の中にはWD-40で十分と割り切るかたも少なくないです。
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