第62話
遅くなりました!!よろしくです!!
異世界時間 4月1日
「トゥデイ イズ エイプリルフール!」
寝室を出てそうそうに俺は叫んだ。
隣にいるリルルは、ギョッとした目を向けてくるが気にしない。
「えいぷりるふーるってなんですか?それと、その言語は?」
「エイプリルフールというのは、嘘をついてもいい日ってこと。英語だね」
英語という単語に聞き覚えがなく、リルルは首をコテンと傾げる。
それも当然のこと、この世界には地球にある言語は存在しないのだから。
ここで立ち止まっていてもしょうがないので、俺は、リルルの手を取り、食堂に向かう。
食堂では既にティア、クリス、イリスの3人組と、大型犬サイズにまで成長したフェルの3人と1匹がちょっとはやい朝食を取っていた。
「おはよ〜」
「おはようございます」
「あ、ども」
「ガウッ」
四者四様、いや、三者一匹四様?の挨拶をしてきたので、それに俺とリルルは返事を返しながら自分の席と化している椅子に2人揃って座る。
すると、朝食を取り終えたフェルが俺と、リルルの膝に乗っかり、リルルのお腹を舐め始めた。
リルルのお腹は順調に大きくなっており、産婦さんが言うには、とてもいい傾向だということだ。
フェルに負けないくらいにリルルのお腹を撫でていると、気配を極力消したリュカが朝食を運んできた。
「どうした?そんなに気配消して……?」
「雰囲気を壊さない方がいいと思いまして……」
「そんなこと気にしなくてもいいのに」
そう言って、朝特有の匂いと朝食の匂いをお腹いっぱいに吸い込んだ俺はリュカから朝食を受け取り、リルルの前に置く。リュカはもう1つの朝食を俺の前に置き、去っていった。
そのまま朝食を食べ終えた俺は、リュカとフェルの2人と1匹で王立魔術学校に向かう。
何故、フェルもつれていくかと言うと、一度、学校にフェルを連れていったら、そのままマスコットキャラ見たいのになっちゃったからだ。
また、新学期に入り、リルルは退学した。別に退学する必要なんて無かったのだが……リルルが退学を断固として譲らなかったので、しょうがなくだ。
学校に着くと、雰囲気がいつもと違う。それもそうだろう。今日は始業式の日でもあるし、入学式……新入生が入ってくる日でもあるのだ。
しかし、それだけではこんなにも浮き足立たない。ならば、なぜかと言うと、直ぐにわかるだろう。
前方から家臣を何十人も連れたクロディアさんと、ユフィアさんが歩いて来たからだ。いや、お義父さん、お義母さんと呼んだ方がいいかな?
そんなことを考えていると、俺の前、あと数歩のところで止まる。
そう、今回の始業式と入学式には国王と王妃が参列するからだ。王立魔術学校創立以来だと言う。
目的は絶対に別にあるだろうが……
そして、案の定と言うべきか、クロディアさんとユフィアさんが放った第一声はこの学校のことではなくて、
「「孫はどこだ(です)!?」」
「焦ってますね……まだ産まれてもいないんですよ?」
俺の不遜な態度に眉を寄せる周りに付きまとうゴミ共(一部良い人)。しかし、その反応を俺は空気だろ?という視線を向けてから再度問う様にクロディアさんとユフィアさんに視線を向ける。
そうすると、2人とも笑い、「そうだったそうだった」とてもいう様な表情をした。
あの後、周りから奇功の視線を集めながら話し、始業式が始まる場所に案内してから、現在進行系で入学式が行われている。
入学式に参加しているのは、新入生と、その親御さん方、クライク公爵領の重鎮、国王夫妻、国王夫妻にひっつくごみ虫、そして、在校生10名だ。
在校生10名というのは、序列10番以内ということだ。
なんとも実力主義な学校である。こんなことを思ったことは今回が初めてだが……こんな面倒くさい出席しなきゃならんのなら序列落とそうかな?とも考えるほど入学式は面倒くさかった。
遂に、遂に終わった!!と、思い立ち上がり帰路に着く。
屋敷に着くと、既に屋敷の馬車置き場には国王夫妻専用の馬車が止まっており、屋敷の玄関扉を開けると、緊張に顔を強張らせた使用人達が見えた。
「だーいじょーぶ」
軽くそんなことを言って緊張を解きながら、リビングに向かう。
リビングの扉の前に立つと、中から声が聞こえて来る。
「こんにちはでちゅー、じいじだよ〜」
「ばあばですよ〜」
そんな声を聞きながら中に入ると、案の定、クロディアさんとユフィアさんは大きくなって来ているリルルのお腹に向けて一生懸命に話しかけていた。
しかし、クロディアさんはともかく、ユフィアさんは未だ外見は20代後半。そんなユフィアさんがばあばですよぉ〜とか言っていた……。
リルルに視線を向けてみると、頬を引き攣らせて苦笑いをしていた。
俺がリビングに来たことに今更ながら気付いた3人は満面の笑みを浮かべながら近づいて来た。
「リルル、動かなくて良いときに動かなくても良いんだよ」
「でも、動かなきゃ落ち着かないんですもん」
「落ち着かないんですもんじゃない」
そう言い、俺はリルルを抱っこする。俗に言う、お姫様だっとこ言うやつだ。
小さな悲鳴をあげるも、直ぐに俺の首に手を回して来て、安心した様な表情になった。
その光景をちょっと離れた場所から国王夫妻が昔の自分たちでも見るような視線を向けて来ていたが、気にしない。
その日は親子水入らずの時間を過ごし、俺はずっと研究室にこもっていた。
特に何して過ごしたと言うわけでもなく、適当に過ごしていた。




