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第56話

短いかもしれません!

俺と組んだ人物は、義理の妹となるであろうティアだった。


「え!?お義兄ちゃん!?なんで!?」


「いや、なんでと聞かれても……序列2位だからじゃない?」


「そうじゃなくて!なんで1位じゃないのかってこと!」


「そりゃ、今の今までこの学校に序列制度があるなんて知らなかったしな」


「そ、それなのに2位なんだ……まぁ、納得できたからいいや。それで、話は変わるけどさ、今から何やるか聞いてる?だいたい予想はつくけど」


「俺も聞いてないぞ。予想はつくがな」


そんな話をしていると壇上に上がっていた女の人が再びマイクらしき魔導具を手に話し始める。


「同序列の方とペアを組んだ方からみなさんから見て右斜め前方の森の中に入ってもらいます。最近魔物が増えてしまって学生の手も借りようということですので頑張ってください。ノルマはどんな魔物でもいいので最低10匹。報酬も出ます」


最後の報酬までは皆げんなりとした表情をしていたが、金が手に入ると聞いた途端にそこかしこから雄叫びやはしゃぐ声が聞こえる。

もちろん、隣のティアも例外でない。


最後に女の人が「質問はないですか?」と言ったが、気づいたのは俺の他に数人だけだろう。

しかし、この次に発せられた「早い者勝ちですよ〜」という言葉は誰1人聴き漏らさずに一斉に走り出す。


ティアも走り出したが、俺が腕を掴み、不思議そうな顔をしている前で首を横に振ってから小声で話す。


「あんな激戦区行く意味なんてないだろう。あの女の人は魔物を倒すことと、右斜め前方の森と指定した。この意味わかるか?」


そう問うも、ティアはコテッという音がつきそうな風に首を傾げる。


何この生き物……可愛いんですけど……リルルの妹だから当たり前か?


脱線した思考を振りかぶり、訂正してから説明を再開する。


「とにかく、魔物を右斜め前方の森で倒せばいいだけだ」


「そうすると、あの激戦区になっちゃうけど?」


ティアの質問はもっともだが、落とし穴がある。


「“俺たちから見て”これでわからないか?」


質問に質問で返すと、ティアは左斜め前方に見える森を右斜め前方に見える位置に体を持っていった。


気づいたみたいだな


「よっしゃああ!!狩に行くぞ!!」


「お義兄ちゃんってたまにすっごいズル賢い思考回路になるけど、最高だよ!」


「ひでぇ……!けど、許す!!」


そんな軽口を叩きながらみんなとは正反対の森に進む。


森の中は普通の森………………じゃない!!!


森の浅いところは普通の森なのだが、50メートル位歩いたところで、ガラリの印象が変わる。


太陽の光は木々に囲まれ余り届かず、極め付けは、全てがトレントということだろう。


今は、魔術の結界でなんとか集中攻撃を凌いでいるが、長くは持たないだろう。

俺が適当に力を出せばここら一帯は一瞬で焼け野原に出来るだろうが、隣にはティアがいるため力の行使が限定されてくる。

また、ティアも一応は戦えるが、この攻撃密度を交わし切れるかと言うと、正直、きついだろう。


ならばどうするか……ひとつだけあるが、多分、脳が焼き切れるだろう。記憶をなくすかもしれない。

しかし、ここで俺の魔力が尽きて2人とも死んでしまうよりかはいいのではないか?

いくら亜神だからと言っても死なないわけではない。そして、ここで俺が死んでしまったら、その眷属であるリルルとリュカの2人も同時に死んでしまうだろう。

死ぬよりかは、一時的に記憶を失った方がいいのではないか?


もっと他の方法を考えるが、全く良い案など頭の中に浮かんでこない。


仕方ないかな……


「ティア、ちょっとびっくりするかもだけど我慢してね」


「え!?お義兄ちゃん何するつもり!?」


「まあ、見てなって」


こんなことで使うのもって感じだが、出し惜しみして死んでは元も子もない。


脳が焼き切れないようにするため、『神格化』を実行する。


俺の周りに魔力の嵐が吹き荒れる。


髪色は黒から白に、瞳の色も瞳孔も変わり、完全なる神の姿へと移行する。


「さてさて、掃討始めますかっ!」


そう叫ぶとティアの足元に小規模な、しかし、幾何学式がびっしりと詰め込まれた魔法陣が浮かび上がり、高速回転を始める。


神魔術『封印』


封印の魔術の効果は、外側、及び内側からの干渉が不可能で、どんな攻撃も通さない。また、この封印の期限は、込められた魔力量によって左右するので、決まっていない。


今回込めた魔力量は極少量。封印が解けるまでは10分必要ないだろう。


そして、封印維持のために結界を解き、次の魔術を行使する。いや、付与するといった方が適切だろうか……


「神崎一刀流『千手千眼』に『火炎蛇』付与版」


そう唱えると背後から一千に及ぶ赤い魔法陣が空中に突如浮かび上がり、その中から炎の蛇を纏った刀が姿を現わす。


「さあ、各自好きなように暴れろ!」


命令すると、炎の蛇を纏った刀は独立して動き、次々と命を刈り取って行く。


《ご主人様!これ以上脳に負荷をかけたら、焼き切れてしまいます!》


「大丈夫だ。あと数秒で終わる」


《しかし!》


「大丈夫だっていっーー」


意識が途切れた。




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