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第50話

遅くなりました!

しかも、短いかもしれません。

帝国軍が立て籠もっている子爵領の街に着くと、一瞬で臨戦状態に”持ち込まれた“。


(なんだ?これはなんかの魔術か?)


この魔術はこの世界の魔術かどうかすらわからない。


俺はこの魔術に抵抗するために古代魔術『次元切断』を使用する。

時空魔術でも同じようなことが可能だが、何故か嫌な予感がしたので古代魔術を選択した。


『次元切断』を使用すると文字通り三次元の世界をある一定の範囲だけ四次元に飛ばし、身を守ることが可能な物だ。


俺の魔術が発動すると一瞬相手の魔術と拮抗したが力押しで吹き飛ばし、無理矢理、全軍を四次元に飛ばす。

四次元に飛ばすと同時に魔術の効果が切れたのかざわめき出す。


「みんな落ち着いて!これは俺の魔術でこうなってるから警戒しなくても大丈夫!それと今から身体が光ると思うけど気にしなくていいよ!」


俺が風魔術を併用して全軍に聞こえるように話した後、無属性魔術『魔術抵抗』を使用して相手の魔術に対抗できるようにしてから『次元切断』を解く。


元の場所に戻って来たと同時にまた同じような魔術を使用して来たが、レジストされる。


俺は術者を探るために魔術の発動元を探るが見当たらない。

俺が発動元を探っていたのがバレたのか、魔術の行使を途中でやめてしまった。


(チッ!)


心の中だけで舌打ちをして、全軍に命令を下す。


「弓兵と魔術師は壁の向こう側に向かって攻撃を開始!歩兵部隊は持って来た攻城兵器を使い、門を討ち破れ!」


すぐさま攻撃が開始された。


しかし、おかしな点が1つだけある。

全く反撃して来ないのだ。


その理由に気付くのはもうちょっと先の話。


おかしな点を棚上げにして、攻撃の様子を見守る。


攻城兵器によって門が開かれこちら側の兵が雪崩れ込むが、悲鳴も怒声も雄叫びも全く聞こえない。


不思議に思いのぞいて見ると、地獄の光景が広がっていた。


帝国軍の兵がアンデット化しており、さらには先程入っていったこちら側の兵もアンデット化していた。

街の壁を乗り越えて入って来る矢や魔術は街に入った瞬間に散り散りになって消えていく。


(何が起こっている!?)


いや、わかっていた。最初見た瞬間からわかっていたのだが、信じられなかったのだ。

こんなことをする人がいるのか……と


これは闇魔術の『死者の領域』と言われるもので、指定範囲に入るとあらゆるものを朽ちさせ、命を持っていたものはアンデット化するという禁術指定の魔術だ。


(誰がこんなことをしている!?)


周りを見渡したり、魔力を手掛かりとして探して見るも既に近くにいないのか、一切反応がなかった。


(はぁ、やっぱり見つからないか……とにかく、これ以上被害を出さないようにしないとな)


「全軍停止。近づくなよ」


体内に宿る全ての魔力を使い、『魔術抵抗』を街全体に掛ける。

その際、大量の魔力が俺から放たれた為に、半径5メートル以内にいた兵は気絶。半径10メートル以内にいた兵の殆どが嘔吐した。


街全体に『魔術抵抗』を掛けた瞬間に闇魔術の反応は消え去ったがアンデット化してしまった者は消え去らないので、ゾンビには噛まれないように細心の注意を払って掃討戦を開始するように伝える。


俺は魔力枯渇を起こしているので、リュカから魔力を生き抜こうとしたがリュカも魔力がなかった。


疑問に思ったものの、物凄い倦怠感に襲われたので、馬車の中に入り、そのまま死んだように眠る。


起きると自分の魔力は全て回復していた。

現在、公都への帰還の最中だった。


気まぐれでリュカの魔力量を確認してみると、極少量しか回復していなかった。


(寝ていないということか?)


あんな倦怠感に襲われながらも寝られない何かがあったということだろう。


嫌な予感がした俺は、クライク公爵に抜けることを伝え、一足先に屋敷に戻る。


屋敷の前には大量のアンデットが群がっており、そのアンデットはクレア、イリス、ティア、リルル、アイリスの結界に行く手を阻まれていた。

その屋敷に群がっているゾンビ達を警備担当の者達が予備のガトリングガンをぶちかまし、2度目の死を与える。

また、リュカはというと、弾幕と結界を通り抜けたゾンビ達を龍の姿で蹴散らしている。


(加勢するかな…)


ここで観戦しているのもまたいいのだが、自分の身内が当事者となると話は変わってくる。

俺は治癒魔術の浄化系統と火魔術を組み合わせた『弔いの炎』を発動して、ここにいる全てのゾンビを灰に変える。


リュカに魔力を渡してから、いきなりゾンビ達が灰になったことに驚いているみんなに声を掛ける。


「リュウトさん!」


「大変だったね。みんな大丈夫?怪我はない?」


俺をみるなりおもいっきり抱きついて来たリルルを受け止めながらみんなに問いかけるが誰一人怪我をしていないのか声をあげる者はいない。


「怪我はないようだね。しかし、誰がこんなことしたんだ?」


「わかりません。門が無理矢理開かれたと思って外を見に出て見たら、既にたくさんのゾンビがいたんです」


俺の疑問にリルルが素早く返してくれる。


外を見たらゾンビがいた?

気づかなかった……のか?でも、魔術の発動兆候くらいわかるはずだ。


「リュカがいてこんなことになったのか?」


「すみません。私が付いていながら」


「いや、責めてるわけじゃないんだ。当時のことをもっと詳しく教えてくれないか?」


「はい」


短くリュカが返事を返すと話し始めた。


「それは夕焼けが綺麗な時でした。ですが今考えてみると少しおかしかったです。やけに日が沈むのが早かったんです。時間は午後4時前でしょうか…そんな黄昏時に大きな破壊音が聞こえたんです。魔術の発動兆候も全くなかったので、最初は新しい兵器の訓練中なのかと思ったのですが、警備の人達が発砲したので何事かと外に出てみれば大量のゾンビがいて交戦。その後にご主人様が助けに来てくださって今に至ります」


ふむ……


「警備をしていた者に聞きたいのだが、ゾンビは突然現れたのか?」


俺がそう問うと警備のリーダーっぽい人物が口を開く。


「はい。私達が目を離した隙にいきなり現れたのです。全員が一瞬目を離した隙に現れたので、どうやって現れたのかはわかりませんが……」


「いや、十分だ」


なにかヤバイ匂いがするな……

さっさと蹴りをつけた方が良さそうだ。



俺は夕食を食べた後、1人研究室にこもり、新しい兵器の開発に勤しむ。


今度作るのは武器ではなく弾薬だ。


アンデットに対抗出来る弾薬を。


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