第47話
よろしくです!!!
執務室は静寂に包まれていた。
コンコン
静寂はメイドのノックにより破られた。
「何だ?」
「帝国軍に忍ばせた密偵からの連絡が届きました」
「入れ」
メイドはドアを開けて一礼してから国王に小さな紙切れを渡した。
国王の顔はだんだんと青くなり、最後には死人のような肌になってしまった。
「どうしたんですか?」
俺がそう問うと国王は手に持っていた紙切れを渡して来たので、受け取り見る。
「っ!?」
そこには、援軍の数だけが書いてあったのだが、その援軍の数が問題だった。
その数、約60万………メテラユ王国侵略戦争に注ぎ込んだ兵数は合計100万ということになる。
また、帝国は人口1900万人の大国でその約1割が軍人という軍事国家だ。
おいおい…軍の半分以上を戦争に注ぎ込むって馬鹿なのか?他の国からの攻撃とか大丈夫なのかよ…
ていうか、今の皇帝はどんなやつだよ…
「馬鹿ですね」
「? 何故だ?65万もの大群で押されたらこの王国はお先真っ暗だぞ?」
「何言ってるんですか。私がいるじゃないですか」
「で、でも、流石に65万は…」
「メテラユ王国はどうなんですか?」
俺は意図的に話を変えて国王に訪ねる。
「何がだ?」
「軍事力ですよ…」
呆れを混ぜた声で応えるとやっと理解したように羞恥で顔を赤くしてから答える。
おっさんの恥ずかしがるとこなんて見たくないんですけど…
「竜騎兵6000、騎兵10万、歩兵22万、魔術師2万4000の合計35万だ」
約30万の差か……これだったら65万なんて兵数は絶望しか見えてこないだろうな……しかも、実際に戦闘に出せる兵士も限られてくるしな。
「では、お願いしたいことがあるんですが」
「何だ?」
俺は亜空間からホムンクルスを作る際に使う培養器を取り出して国王に見せる。
「これは?」
「詳しくは教えられないんですが、これをとにかく沢山作って下さい。そうですね、2週間後にまた来ますのでそれまでにお願いします」
今援軍を要請したとすれば絶対に1ヶ月はかかるはずなので、2週間とにかく作ってもらうことにしたのだ。
「こちらにメリットはあるのか?」
「何言ってるんですか?これで、この国が救われるんですよ?」
俺は質問に質問で返してからソファから立ち上がり、リルルをお姫様抱っこする。
「では、2週間後に…」
そう言って執務室から出て、せっかく王城に来たのだから挨拶するためにユフィアさんの部屋に向かう。
コンコンコン
ノックをしてから声をかける。
「お義母さん、リュウトです。今大丈夫ですか?」
「もちろんよ。さあ、入ってちょうだい」
ユフィアさんはドアを開けてお姫様抱っこされているリルルを見て一瞬驚いたような顔をしたがそのすぐ後には表情を綻ばせた。
俺はユフィアさんに勧められて中にあるソファに腰掛けリルルを膝枕で寝かす。
「相変わらずラブラブね」
「それ、お義父さんにも言われました」
苦笑いしているとメイドさんが茶菓子と紅茶を淹れてくれたのでお礼を言ってから一口飲む。
その後は途中で起きたリルルと一緒に世間話をしてお暇することにした。
「では、もうそろそろ待ち合わせ時間なので帰りますね」
「泊まっていけばいいのに」
「やることがいっぱいあるんで…すみません。今度また来た時にでも」
ユフィアさんに見送られながらリルルと腕を組み噴水広場に向かう。
噴水広場には5分前にもかかわらず全員が揃っていたので、そのまま転移して屋敷の前に出る。
「じゃあ、おやすみ。明日もよろしくね」
俺は使用人達にそう言ってから屋敷の中に入る。
ちなみに、使用人とは以前買った奴隷達だけであって、リュカや白鳥さんは入らない。
屋敷に帰り最初は女性陣、次に男性陣という順番で風呂に入り風呂から上がったティアに話しかける。
「ティア、そう言えば学校って今は休校中だけどいつから再開かわかるか?」
「わからないけど、手紙が届くんじゃない?今ここにいるのは私達と領主だけだもん」
「そうか……ありがと」
その後はもう遅いので(この世界では)リルルと一緒に寝室へ向かう。
1ヶ月と1週間後くらいに攻めてくるであろう帝国軍対策として、明日から大量の武器を作るためにさっさと寝る。
しかし、そう簡単には寝させてくれなかった……
結局7時間もプレイしてからシャワーを浴びてリルルを抱き枕にしながらベットに潜り込む。
起きたのは朝?9時ごろ。3時間しか眠れずかなり寝不足。リルルは幸せそうに寝ていたので額にキスしてから、一階のリビングに向かう。
「おはよ〜」
「おはようございます。ご主人様」
「おはよ〜、お義兄ちゃん」
リビングにいたのはリュカとティアの2人だけで他の人達はまだ寝ているという。
朝がダメなユノはいいとして、クレアやイリスが寝坊するとは珍しいな…
俺はリュカに朝食の準備を頼み気分的にランニングしたくなったので、外に出て準備体操をしてからランニングに出掛ける。
いつもは見かける人達も全くおらず、ゴーストタウン化している。
滅茶苦茶怖いんですけど……生活感溢れている街並みなのに、生活音や人の気配は全くせず。って感じで本当に怖い。
多分こんな世界に1人で放り出されたら1ヶ月くらいで発狂する自信あるぞ…
適当に20分くらい走ってから屋敷に戻り、シャワーを浴びてから朝食を食べる。
「うん。今日も美味しいよ」
「ありがとうございます」
リュカの作った料理はとても美味しいのだ。
お世辞ではないぞ?
本当に料理なんてやったこともなかった龍なのか疑わしくなるほどだった。
そんなとても美味しい朝食を終えてから自分の研究室にこもり武器の開発を進める。
今回作るのは、攻城兵器を投入してくるであろう帝国軍対策として、オートマチックグレネードランチャーやパンツァーファウストを俺なりに改良したやつだ。
元々化け物見たいな奴らだが、もっと化け物化してやる。
「ふふっ」
思わず笑い声が漏れ出てしまった。
それも仕方ないだろう。今は理想を書いており、マジでおかしくなっている。
しかし、理想なので実際にできるかどうかは設計図を書いて見ないとわからない。
ちなみに理想は、オートマチックグレネードランチャーの弾の爆発力を高めて、さらには持ち運びやすさ、連射性、扱いやすさを追求し、パンツァーファウストは軽量化、攻撃力、連射性を高める。
設計図を書いていくと絶対に無理なことが出て来た。
それは、パンツァーファウストの連射だった。だが、戦場で弾を込め直すことが出来るくらいには込め直すのを簡単には出来た。ま、俺にかかればこんなもん当然だろうな…
外見はかなりRPGに近い。
また、軽量化の方だが、2キロにまで抑えることが出来た。(設計上)
オートマチックグレネードランチャーの方は実現可能で爆発力は手榴弾の2倍。連射性は毎分600発。扱いやすさはちょっと楽になったかな?程度だ。(設計上)
実際に作らないと設計通りに行くかわからないので、まずは材料集めから始める。
まあ、材料集めと言っても魔術で全てなんとかなるので研究室からは出ないが……
そんなわけで、魔力枯渇寸前まで材料を出したら次に必要な部品を作るのだが、魔力が既に無いに等しいし、リュカから無理矢理とるのも可哀想なので今日のところは終わりとする。
「リュカ〜、今何時だ?」
俺はリビングがある方向に向かってリュカに声をかけると後ろから返事が返って来た。
「午後5時でございます」
「うわっ……!って、午後5時!?」
「左様でございます」
マジかよ………設計図書いてるだけでこんなに時間使うもんなんだな…ビックリだぜ
「そういえば、リルルって何時に起きた?」
「未だに睡眠中でございます」
えっ……?なんか驚いてばかりだな…っていうかまだ寝てるのかよ……そんなに寝れるって逆に凄くない?
俺はリルルを起こすために寝室へ向かう。
「リルル起きて。もう夕方だよ」
「うん?りゅうとさん?おはようございます……」
「こんばんわかな」
リルルは上半身を起こし寝ぼけ眼であたりを見渡し、俺が持っていた服を見て両手をあげる。
「着せてってことかな?」
コクコクと首を縦に振ったので服を着せてやる。
その後は、そのまま食堂へ行き、みんなで夕食を食べる。リルルは朝ご飯感覚だけどな…
夕食を済ませた俺はホムンクルスを調整するために1人で自分の研究室に向かおうとするが、リルルが腕にしがみついて離れようとしないためリルルも連れて行く。
研究室を経由して隣の培養器が置かれている部屋に入ると培養器の中に入ったホムンクルスが目に入る。
今からすることは、ホムンクルスの調整だ。いや、改造と言った方がいいかもしれない……
どんなことをするのかというと、死なない兵にするのだ。
即死しなければどんなに致命傷を負っても一瞬で回復するというプログラムを打ち込んでいき、Enterキーを押す。
バンッ
どうしてもEnterキーを強く押してしまう……よくあるよね。
すぐに変化が起こり始めた…
具体的には、赤黒く発光する刺青みたいなのが全身に刻み込まれていき……一瞬にして消えた。
文字通り消えたのだ…
俺は、他に変化がないかホムンクルスの身体を調べていき、以前とは違うところが見られた…
爪の色が真っ黒になっていたのだ…
黒い爪の正体を探るために一旦、培養器から取り出し、爪切りで爪の一部を採取すると、切られた爪が伸び始め元の長さに戻った。
これが今回プログラミングした成果だと思い、ホムンクルスを培養器に戻した後、精密検査機に黒い爪を入れて30分程待つ。
待っている間は他の武器の設計図も書いていき時間を潰した後、精密検査機が出した結果を見て行くと、ここで鬼が出た…
どんな物でも一刀両断でき、自由自在に形を変えられる剣となる。
この使い道はかなり色々あって、例えば腹の大きな剣にして縦にしたり、爪を戦闘中に伸ばしたり縮めたりして相手の隙を作るとか、色々だ。
俺は全く同じプログラムをすべてのホムンクルスにインストールしてから時計を見ると既に10時を過ぎていたので、リルルと一緒にリビングに戻り、紅茶を飲みながら何もすることなく過ごしていく。
ちなみに、リルルはずっと俺の研究室でフェルと遊んでいた。
そんなこんなで2週間が過ぎたので、王都に向かい、培養器を受け取りに行く。




