第46話
よろしくです!!!
かなり苦戦すると思ったが抑えるだけだったので意外と簡単に抑えられた。
いや、全方位に向かって攻撃を仕掛けて来たから楽なのか……
そう、全方位に戦力を分散させる事は俺に対しては悪手だった。
他の人達だったら数の差で押し切れただろうが、数より質という事を可能にした俺の軍には一点を一撃離脱方式で休む事なく攻める方が良かったのだ。
まあ、今更言っても仕方ないし、何より、敵に味方の情報を与える程お人好し、いや、馬鹿ではない。
そのまま俺達有利に戦いが進んでいき、遠くからジェットエンジンの音が聞こえてくる。
お、来た来た!
俺は思念で打ち合わせ通りの場所(例の場所)に敵兵全てを誘導するように命令を出し、自分も敵兵のみに作用するよう広範囲に『精神干渉』をかけて例の場所に自ら行ってもらう。
ジェットエンジンの音が徐々に近づいて来て衝突防止灯、航空灯が見える。
かなり低空飛行をしているが魔術や矢が届かない位置なので心配はいらない。
望遠鏡の魔導具で見てみると、左側面からいくつもの銃口が見えており既に戦闘態勢が整っていることがわかる。
また、全てが一列に並んでいるので作戦としては左旋回して円を描きながらぶっ放すつもりなのだろう。
今回ガンシップに搭載したのは俺オリジナルのガトリングガンのみである。
毎分5000発。オーバーヒート無し。弾詰まりの危険性0.0000000000000001%。暴発の危険性無し。
こんな化け物みたいなガトリングガンを1つのガンシップに6門設置しており、そのガンシップが20機。
単純計算で毎分60万発の弾丸が撃ち出される。
ちなみに、今回用意したガンシップは完全自動運転可能なので事故る危険性は皆無と言っていい。
そんな帝国軍の命を刈り取る死神が今上空で旋回を始める。
帝国軍兵はガンシップの事を知らないので鉄の竜だとかなんだとか、騒ぎ立てているが関係ない。
《ザッ、こちら航空隊隊長。あと10秒後に射撃開始をしますので攻撃範囲もしくは攻撃範囲周辺にいる方は直ちに撤退してください。10…9…ーー》
死神のカウントダウンが始まる。
《3…2…1…掃射!》
1秒間に1万発も撃たれているので銃声を聞いているこちらとしては1つの繋がった騒音にしか聞こえない。
攻撃範囲ないのものは破壊され、地を抉られ、眼下では地獄としか言い表せない光景が広がっている。
鉛の弾丸は、人の肉体を……金属の鎧を……盾を……この世の物全てを嘲笑うかのように蹂躙し、一方的な等しい死をもたらす。
ガンシップからの掃射が開始されてから1分が経過しただろう……
攻撃範囲ないに残っているものは人の死体と思しき物…かつては形ある物であっただろう道具…
立っているものはいない…
死者34万9995人。重傷者5人。
俺は生き残った重傷者5名に対して治癒魔術『コピー』をかけて、この惨状を知らせるようにと逃す。
さて、死体処理どうしますかね……
ガンシップ俺の魔術で整地した場所に着陸してもらいホムンクルス達を全員乗せて帰ってもらってから魔術を行使する。
しかし、整地した時に魔術をしたせいで残りの魔力が少なくなっていたのでリュカから強引に魔力を分けてもらってから、改めて魔術を行使する。
火と浄化系統の魔術を組み合わせた魔術、『弔いの炎』を俺中心に広範囲にわたって行使する。
青白い炎が広がっていき、死者だけを燃やし尽くす。
いきている者が触っても何も感じない。(アンデットには効く)
燃やし尽くした身体から魂が抜けていくのが見えた気がした。
俺は最後にちょっとだけ残った魔力で転移魔術を発動して屋敷のリビングに姿をあらわす。
魔力枯渇のためかリュカはソファの上で寝ており、俺も魔力枯渇のため物凄い倦怠感が身体を襲う。
「ごめん………寝る…」
最後にそう言って明け方近くなのに珍しく起きて来たリルルにそのまま寄り掛かかるように倒れこむ。
結局、起きたのは昼前だった。
俺が上半身を起こして寝ぼけ眼で辺りを見渡しているとリルルが話しかけて来た。
「あ、起きましたか。ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」
「じゃあ、リルル」
俺がそう答えるとリルルは目に見えて動揺し始めた。
自分からからかって来たのに……まぁいいや
「冗談だよ。汗臭いと思うから先に風呂入るわ」
脱衣所に行き、服を脱ぐ。
「なんじゃこりゃ!?」
思わず声に出してしまった……
身体にはいくつもの赤い斑点?痣?みたいな物があるのだ。
「リルル!これなんだと思う!?」
「え?そ、それは…その……マークです」
「? 最後の方が聞こえなかったんだが」
「キスマークです!」
「…………………全身?」
たっぷり時間を置いた後、状況を把握するためにリルルに問いかける。
「……はい。ダメでしたか?」
リルルは上目遣いで俺を見て来た。
ぐっ!攻撃力高すぎじゃないですかねぇ!
「いや、ダメではないが……いっしょに風呂、入るか?」
「はい!」
キスマークを消す魔術などないのでそのままリルルと一緒に風呂に入り背中を流してもらう。
雰囲気が物凄くいい感じになったがまだ昼間だということもあり夜にお預けとなった。
「ふぅ、さっぱりした!昼御飯は誰か作ってくれてるかな…?」
「わかりません」
俺はちょうど通りかかったメイドに昼ご飯の事を聞くと今日はまだ作ってないらしかったので2人でどっちが作るか話し合って、最初はリルルが作ると言ってくれたのだがリルルの料理は即死レベルの毒なので結局俺が作ることになった。
屋敷にある材料は大根、牛の肉、牛乳、ジャガイモ、バター、人参、キャベツ………のみ!
これで何作れってんだよ!?
買い出しに行こうかと思ったがほとんどの店が今は閉店しており、仕方がないので今日の昼ご飯は、蒸したジャガイモにバターを乗っけたジャガバターを全員分作り、軽く済ませた。
軽くと言っても野球ボールより一回り大きいサイズのジャガイモだったので満足できた。
そのあとはティア達と一緒に訓練したりリルルとイチャついたりしながら過ごしていき、夜になる。
今日の夜はみんなで王都に転移。夜の10時に噴水広場待ち合わせを言い渡してから自由行動を開始した。
リルルと王都の露店で買い物をしていく。
「こんにちは〜」
俺はリルルが寄りたいと言い出した露店に近づき声をかける。
「いらっしゃい!」
店を出していたのは二十代前半と思われるいい感じに日焼けしたお姉さんだった。
「このバレッタ、いいですね…」
リルルが気に入ったのは楕円形の形をした金属や木製など様々なバレッタで、中心には綺麗な彫刻が施されている。
リルルが手に取ったのは木製のバレッタでちょっと地味目な感じのだ。
「可愛いです」
「だろ?ちょっとつけて見なよ」
お姉さんがそう促し、リルルはストレートに伸ばした髪につけた。
どうにも似合わんな……
俺は銀で出来たやつも手に取りリルルに合わせてみるがなかなかいいのが見当たらない…
俺は店にあるバレッタを全てリルルの金色ベースちょっとピンクが入った髪に合わせていき納得できるものを見つける。
リルルの髪色に銀が混ざった感じのつや消しされた物が1番にあったのでそれを1つ購入する。
また、最初にリルルが気に入った木製のやつも購入する。
「これとこれを下さい」
「まいどあり!木製が大銅貨1枚、もう1つのが銀貨3枚だがいいものを見せてもらったからおまけして銀貨3枚でいいよ!」
「もうちょっと!」
「銀貨2枚、大銅貨9枚」
「もう一声!」
「銀貨2枚、大銅貨8枚!これ以上は無理だ」
「ありがと!お姉さん!」
「おう!フィアンセを泣かせんなよ!」
俺は銀貨3枚渡し、お釣りを貰ってから金属製のバレッタをリルルにつけてやりながら鑑定すると本物の銀と金が使われていることがわかった。
あのお姉さん、絶対赤字だよな……
俺は露店に引き返して相場の3倍の金をお姉さんに渡して「頑張ってくれ」と一声かけてからリルルと一緒に食堂にいく。
食堂でリルルと食事をとっていると話し声が聞こえて来た。
「そういえばトナティウ公爵軍どうなったんだろうな」
「さすがに40万を相手にするのは無理だろ」
「黒様が率いてるんだよ?負けるわけがないじゃない」
あ、ヤッベ。報告するの忘れてた……
俺はリルルと飲みまくり、リルルが酔いつぶれたところでリルルを背負いながら王城に向かう。
門番に身分証を提示して国王の元に案内してもらい執務室の前まで案内された。
コンコン
「リュウトです。報告に来ました」
「おお!リュウト君か!待っておったぞ!!とりあえず入ってくれ」
俺はリルルを背負いながら執務室の中に入りソファに腰掛け、靴を脱がせてからリルルを膝枕で寝かす。
国王が向かい側のソファに座ったのを確認してから口を開く。
「夜遅くに申し訳ありません」
「いや、気にしないでくれていいよ。それよりラブラブだねぇ」
「はい。それより本題に入りたいのですが…」
「おお、そうだったそうだった。報告を聞こうか」
「はい。帝国軍は5万を子爵領に残して35万で攻めて来ました。そのうち死者は34万9995名。重傷者5名。完膚無きまでに叩きのめしました」
この報告を聞いた国王は若干引き気味だったがさすが王と言うべきか直ぐに真剣な表情になる。
「と言うことは、残るは子爵領に残っている5万の兵のみかな?」
「そう言うことになりますが、重傷者5名は治療を施して報告に向かわせたため帝国領に引き返したか、援軍を要請しているでしょう。私の予想からいうと援軍を要請し、子爵領に残っている兵士は捨て駒にされると思われます」
「根拠は?」
「2つありまして…1つ目は、せっかく占領したところを放棄してまで撤退するとは考えにくい。
2つ目は、こちらの戦力の把握でしょう」
「戦力の把握?」
国王はそのまま問い返してくる。
「はい、戦力の把握です。何せ35万もの大群を戦闘時間20分にも満たな時間で壊滅させたのですから」
俺がサラッと言った言葉に国王の目が見開かれる。




