第44話
よろしくです!!!
公都の中に入るがいつものような活気が街にはなく、商店などもほとんどの店が閉まっている。
何がどうなっているかわからなかったが、取り敢えず門前広場で解散してから屋敷に向かって一直線で帰る。
屋敷は特に問題は無いが敷地内に大量の薬莢が落ちていることから俺がいない間何があったのか想像に難しく無い。
俺と腕輪状になっているシル、フェルを抱えているリルル、リュカの4人(シルを1人とカウントしたら)と1匹で屋敷の扉を開けて中に入る。
『『おかえりなさいませご主人様』』
メイド達が一斉に頭を下げてくる。
やっぱりなれない……
俺はフェルをリルルから預かりリビングに向かう。
リルルとリュカは身支度を整えてから来るそうだ。
ドアを開けるとそこには寛いでいるティアとせっせとお世話しているクレア、マイペースに筋トレしているイリスが目に入って来た。
「あ、おかえり〜お義兄ちゃん。ん?その動物何?……もしかして魔物?」
「ああ、魔物だが超〜可愛い魔物だから危険じゃないよ」
「危険じゃない魔物?そんなものがいるんですか?」
これはクレアが出した疑問だ。
「現にこうしているじゃないか。まぁ、俺が改良したから危険じゃないのであって最初はとても危険だったんだがな」
「最初は何ていう魔物だったの?」
「フェンリル」
「へ?」
「フェンリルだよ」
「フェンリルってあのフェンリル?A級指定されているあの?」
「ああ」
「フェンリルの子供の時ってこんなに可愛いんですね」
「本当にそれ思うよな…世界一可愛いと言っても過言じゃないよな」
「私よりもですか?」
背筋が凍るような声を後ろからかけられ肩に手を置かれ……肩が粉砕骨折した。
俺はティアやクレア、イリスに助けを視線で求めたがみんなに目を逸らされ、ギギギギと効果音がつきそうな首の動きで振り返る。
「や、やあリルル。早かったね……」
「そりゃあ着替えるだけなので早いのも当然です………話逸らさないでくれます?」
「あ、いや、そのだな……勿論1番可愛いくて綺麗なのはリルルだが、一般的に見たらフェルも可愛いかなぁと…」
「もう、いいです」
そう言ってプイッとそっぽを向いて閉まった。
はぁ……そういえば聞きたいことがあったんだ。
「ティア。質問なんだが、なんでこんなに街の活気がなくなっているんだ?」
「ああ、それですか。隣の帝国が侵略戦争を仕掛けて来たんですよ」
「じゃあ、住民は疎開したということか?」
「そうです」
「俺の領地はどうしたんだ?というより、ここは帝国と接してないだろ?」
「お義兄ちゃんの領地は迂回してるから通っていないんだよ。それから、隣の帝国と接している子爵領が落とされちゃったから今、公都は帝国と接していることになってる」
「え!?子爵領が落とされたのか?そんな情報は入ってこなかったが…」
「お義兄ちゃん達って迷宮都市にいたんだよね?」
「ああ」
「じゃあ、知らないのもしょうがないよ。迷宮都市は情報が入りづらいからね」
子爵領が落とされたって情報も入ってこないのかよ……結構重要だよね…?
俺は肩に治癒魔術をかけながらユノの部屋に向かう。
コンコンコン
「ユノ〜、いるか?」
ノックしてからユノに声をかける。
「ちょ、ちょっと待って」
ガサガサ、ゴトゴト。
「どうぞ」
ユノは俺を部屋の中に招き入れる。
俺は近くにあった椅子に座ってユノはその対面に座る。
「なんか用事?」
「ああ、帝国軍がこの街に迫っていることは知っているだろう?その詳細を知りたいんだ」
「そんなことか。最初から簡単に説明すると、帝国の皇帝が代替わりしたんだよ。だけど、その新皇帝がおかしな奴で代替わりした瞬間に兵をかき集めてメテラユ王国に進軍。侵略戦争を仕掛けて来たんだよね。あとはお兄ちゃんも知ってると思うけどお兄ちゃんの領地を迂回して子爵領を落としてここに進軍中ってわけ」
「後どれくらいでここに着く?それから帝国軍の数は?」
「後1ヶ月後くらいかなぁ。数は騎馬2万、歩兵30万、魔術師7万8千、竜騎兵2千の合計40万程。途中で減るかもしれないし増えるかもしれないけどね」
「ありがとう」
俺はそれだけ告げてユノの部屋を出る。
次は自分の研究室に向かい、ホムンクルスを量産する。
1ヶ月か…ここにある培養器をフル活動させて300体作れるかどうかだな…
しかし、300体でどうにかなるのか?40万なんて大軍を…いや、やるしかないのか…
亜空間へ手を突っ込み、鬼から採取した血液を取り出し、血液中にある鬼の遺伝子構造をなどを解析してホムンクルスの胎児に解析した情報を改良したもの、を打ち込み3週間放置する。
リビングに戻りクレア、イリス、アイリス、ティア、白鳥さん、ユノの6人を俺のまだ一度も使ったことのない執務室に呼ぶようにリュカに伝えて、俺は一足先に執務室に向かう。
執務室に入り、まず最初に棚からメテラユ王国の正確な地図を取り出して公都のある場所に印を付けて扉を開ける。
扉の前にはちょうどリュカがみんなを連れてノックしようとしていたようで腕を上げたまま固まっているが、俺はリュカをリルルのところに戻し呼んだ人達を部屋に入るように言う。
「さて、これからしようとしていることはわかるな?」
「帝国軍を止めるんでしょ」
俺の問いにユノが答えてくれるがちょっと惜しい。
半分正解で半分間違いだ。
「止めるんじゃなくて、殲滅だよ」
俺がそう答えるとユノ以外はそんなことできるのか?と言う目を俺に向けてくるが俺が威風堂々としていると何故かわからないが納得したようだった。
「それで今回集めたのは殲滅作戦を立てるために集めた。早速意見を聞かせてくれ」
「帝国軍の戦力とこちら側の戦力を教えて頂けますか?」
アイリスが質問して来たので素直に答える。
「帝国軍が全て合わせて約40万。こちら側は全て合わせて約300」
これにもユノ以外が反応を示した。
いや、反応すらできてなく、絶句していた。
「…………冗談ですよね?」
俺とユノ以外がフリーズしている中で1番最初にフリーズから抜け出したティアが俺を上目遣いに見ながら聞いて来たし、隠す必要もなかったので正直に話す。
「本当だ。しかし、ただの兵ではない。俺が作ったホムンクルスだ」
「ホムンクルスですか?」
「ん?ティアは知らないのか?結構有名だと思ったんだがな…」
「知ってますけど…それは古代遺産として今では失われた技術なんですよ。お義兄ちゃんって何者なんですか?」
「何者と言われてもな………とにかく、俺が作ったホムンクルスだから一騎当千と考えてもらって構わない」
「なら普通の戦力に換算してみると30万………6体ずつの小隊に分ければ作戦は組めます。しかし、それは絶対に一体一体が千に対抗できてこその作戦ですがよろしいですか?」
さすがは元騎士団副団長のアイリスだ。
この一瞬で作戦ができたと言う。
「それでいい。この地図に書き込んでくれ」
俺はアイリスにそう頼んで書き込んでもらう。
アイリスの作戦は接近戦がメインなの白鳥さんに少々手を加えてもらう。
ホムンクルス達に持たせる武器は銃だからね。
作戦が決まり次第俺に伝えてくれと言って研究室に引きこもる。
今の時刻は午後5時ごろなのでメイドの1人に夕飯になったら呼んでくれと頼んむ。
さて、武器を作るのだが……一小隊が六千を相手取ることが可能になる武器…………オリジナルで作るしかないかな…
紙を取り出し設計図を書こうとした手が止まる。
アイディアが全く思いつかないのだ。
その時タイミングよくメイドが夕食に呼びにくる。
時計を見てみると研究室にこもってから既に1時間が経過していた。
食堂に入ると既に料理が並んでおり、いつでも食べられる状態になっていたが、何時もと違うのは俺とリルルの分しかないのだ。
「他のみんなは?」
呼びに来たメイドに問うと、俺の執務室で作戦を考えながら食べているとのことだった。
俺の許可もなしで………まあ、いいんだが。
食器が空になったのを確認してからリルルが話しかけてくる。
「何か考えことですか?私でよければ聞きますよ?」
「リルルには隠し事できないな…実はーー」
リルルに全ての事情を説明し意見を求める。
「空からの攻撃とかはどうでしょうか?相手は多分竜騎兵くらいしか航空戦力はないと思うので」
「空か……空、空…………あっ!!」
俺はリルルにありがとうと感謝の意を伝えてから研究室に向かう。
見落としていたよ…航空戦力か…武器だけにこだわるものじゃないな
早速、紙を取り出し、設計図を書いていく。
ふふふふふふ…楽しみだぜ!!
そして3週間後……
今俺たちは出陣の準備をしている最中だ。
出陣は明後日、子爵領に流れている川を間に挟み迎え撃つつもりだ。
こちら側の数は301。帝国軍は子爵領に歩兵五万を置いて来て実際に戦うのは35万。
圧倒的にこちらが不利に感じるがそうでもない。
帝国軍側の戦力は騎馬2万、歩兵25万、魔術師7万8千、竜騎兵2千。しかし、こちらは6人で全てを管理できるようにしたガンシップを20用意し、狙撃兵が180人、オリジナル対空ミサイル3発、そして俺だ。
ガンシップは魔術無効化の結界を張っているので魔術による攻撃は受けず矢は届かない場所から空爆してもらうので落ちる心配はなし。
竜騎兵2千はオリジナル対空ミサイル2発で掃討できるだろう。1発は予備だ。
まあ、そんな感じて過剰戦力だろう…
しかし、竜騎兵を掃討した後にガンシップ投入予定なのでガンシップが到着するまで俺と狙撃兵だけで35万を抑えなければならない。
抑える時間は約3分。正直言ってかなりきついだろう。
とにかく今は戦うことだけに集中する。




