第43話
よろしくです!!!
コツン…コツン…
2つの階段を降りる音がする。
暗闇に包まれた迷宮都市の最深部、100層。
俺達が100層へと続く階段を降り切ると一本の奥に続く道があり、左右に立てかけてあった松明が何本も奥に向かってひとりでに灯っていく。
うおぉぉ……超ラスボス感漂ってますよ!!
俺とリュカはそのまま進んでいき、500メートル地点で扉があったので立ち止まる。
扉にはとても凝った装飾が施されており、古代文字的なものも書いてあるが亜神の俺でも読めなかった…
俺が読めないってことはあのお爺さんが意図的にしたことだろう…首を突っ込まない方がいいな。
「リュカ、攻略しにいくぞ…!!」
「はい!!!精一杯出来ることを致します!!」
扉を手で押し開けて中を覗き込むが真っ暗な部屋で何も見えなかった……が、いきなりサイコキネシスみたいな力で俺とリュカは引っ張られ部屋の中央と思われる場所に着いたところで力の作用は終わる。
バタンッ!!
扉が大きな音を立ててしまった。
何だ?
しまってから数十秒だっただろうか…?
いきなり壁や床、天井が青白く光りだし、
ズドンッ!!
何も無い天井から一人?落ちて来た。
赤の長髪、額に二本の角、黒の瞳。
二枚目の鬼だ。
「よくぞここまで辿り着いた。褒めてやる。しかし、ここでおしまいだ。俺には勝てん」
「やってみなきゃわからんだろ?」
「ははっ、面白い……やれるもんならやってみろ」
リュカには下がっているように伝え、シルに命じる。
《シル、自動式拳銃のガンナイフでいくぞ。もちろん2丁頼む》
《わかりました!!》
俺はシルが拳銃になるのを待ってから構えをとる。
白銀に輝く2つの銃口が鬼に向けられ装弾されたファントムバレットが撃ち出される。
照準補正された弾丸は鬼の心臓部に吸い込まれていき………貫く。
しかし、服は破れるが血は流れない。
ファントムバレットは直接精神に干渉し、痛みだけを与える弾のことだ。
殺したく無いからね!
鬼はというと予想外の痛さに撃たれた所を手で押さえて痛みに耐えている。
「な、何をしたっ!!だが、こんなもの効くか!!!」
「え〜?そんなのもわからないの?だっさーい!ハハハハハ!!」
俺は挑発してから2丁の拳銃を鬼に向けて遠慮なく発砲する
ズドンッズガンッズドドドドッズバンッズドンッ!
「飛び道具とは卑怯だぞッ!」
ズバンッズドドドドドドンッズガンッズドンッズバババンッ!
「グッ!はぁはぁ、こちらも参る!」
ズドンッズバンッズガガガガンッズガンッズバンッズドンッズドドドドンッズバババンッ!
「わ、わかった!俺の負けだ!も、もうやめてくれ!」
ズバババンッズドンッズガガガガンッズドンッズバンッズドドドドンッ!
ばたり…
痛みに耐えきれず気絶してしまった。
おいおい……もっと楽しませてくれよ…
俺は鬼を縛り上げ、引きずりながら地上に戻る。
地上に着いたらまず換金と迷宮を突破したことを伝え、宿の部屋に転移する。
「リュウトさん、お帰りなさい。突破したみたいですね」
「ああ………って、何でもう知ってるの?」
「クラリスの諜報能力を侮ってはいけませんよ」
ここまでとは……ユノの弟子になったらもっと優秀な諜報員になるな…帰ったらユノに相談するか。
「ところで、今日は何処かに行ったのか?」
「はい、クラリスと一緒にお買い物に行って来ました!新しいお洋服買って来たので後で見てくださいね?」
「わかった。後、これからの予定なんだがこの鬼を連れてフェンリルがよく出没する草原に行ってくるからちょっと夕食が遅くなるかもしれない」
「その鬼は?と、聞きたいところですが、今はいいです。後で説明していただければ。それと、夕食の件ですがあまり遅くならないでくださいね?」
「わかってるよ。じゃあ、ちょっくら行ってくる。リュカは残っていてくれ」
「わかりました」
そう言って俺はフェンリルがよく出没する草原に転移する。
転移すると同時にフェンリルの顎門が襲いかかって来たので軽く殴り飛ばし、亜空間から注射器を取り出す。
鬼の血管などどこにあるか知らないので適当に首元辺りにぶっ刺して血液を採取する。
注射器をぶっ刺した際に鬼が起きてしまったが特に問題はないのでそのままにしておく。
「フェンリルちゃ〜〜ん!!!餌だよ〜!」
「おい!餌とは俺のことか!?」
よくわからないことをほざいて来たので事実を端的に答える。
「そうだけど?何か問題?」
「問題大有りだわ!!!何でそんなことする!?」
「え?ただ単にフェンリルが希少性の高い鬼を喰ったらどうなるか知りたかっただけだから」
「そんな理由で!?俺の命軽くない!?」
俺はこれ以上の問答を繰り返しても意味がないと判断して先程殴り飛ばしたフェンリルの調教に入る。
殺気と威圧感をフェンリルだけにぶつけて命令する。
「お座り」
「クゥ〜〜ン」
犬みたいな鳴き声をしてちゃんとお座りをする。
よしよし。手応えあり!
30分で一通りの調教を終わらして鬼を褒美としてあげると、何の迷いも見せずに喰いちぎりながら食べていき、数十秒で平らげた。
なかなかの食いっぷりですねぇ〜
かなりグロイけど……笑
そして最後に俺は大量の魔力をフェンリルに流し込む。
「グァ!グガァァァアアア!」
フェンリルは身体に走る痛みに耐えながら進化を遂げた。
体毛が白銀から黒色へ、
額には黒曜石に金のレリーフが彫刻されているような角が一本。
おお!かっこいいな!
ペットにしちゃおうかな…
と、いうわけで、ペットにしちゃいます。
しかし、フェンリル進化版を連れ回すとかなり目立ってしまうので姿を変えてしまおう。
俺はフェンリル進化版に時空魔術『逆再生』をかけて進化版のまま子供の姿にする。
フェンリル進化版の身体が発光しだして……
「キャン!キャンキャン!」
そう鳴きながら俺に頭を擦り付けてくる。
うおおぉぉぉぉ!!!メッチャかわええぇぇぇええ!!
何なの!?この生き物は!?魔物なんですか!?
フェンリル進化版と呼ぶのはなんかかわいそうな気がして来たので俺は名前をつけることにした。
フェンリルだから………フェルでいいかな?なんか可愛いからこれでいいや!
「お前の名前は今日からフェルだ。そして、今日から俺のペットだ!よろしくな」
「キャン!」
いい返事だ
こんなに可愛いのにさっきまで鬼を喰ってたなんて信じられないよな…
まあ、可愛いからそんなの関係ないよね!
俺はフェルを抱いてから転移を使い一旦宿に帰る。
この宿は動物禁止なので鳴かせないように口に手をやり静かにするよう指示してからリルルに話しかける。
「リルル、この子飼いたいんだがいいかな?」
「?別にいいんじゃないんですか?特に問題はありませんよ。それより、その子可愛いですね…ちょっと貸してください」
「ああ、別に構わないが角に刺されるなよ?死ぬから」
「え!?死んじゃうんですか?でも、私、亜神の眷属なんですよ?」
「その角に刺されるとどんな物でも死ぬからな…くれぐれも刺されるなよ?」
「わかりました。ですが、もし刺されたら何とかしてくださいね?」
「ああ、何とかしてやるさ」
そう言ってフェルをリルルに渡す。
「か、可愛いですね…これ、何ていう魔物なんですか?」
「俺が改良したから特にこれといった名前はないな…ちょっと待ってくれ、今考える…………(フェンリルと鬼の進化だから…デーモンフェンリル?フェンリルデーモン?いや、デリルがいいかもな…)デリルってのはどうだ?」
「理由を聞いても?」
「理由は鬼とフェンリルが混ざって進化したやつだからデリルにした」
「ネーミングセンス無さすぎですよ…まぁ、いいですけど。それより、この子の名前を聞いてもいいですか?それとも決まってませんか?」
「決まってるぞ。フェルって名前にした」
「キャン」
フェルは静かに吠えて俺の言葉に同意する。いや、したように見えた。
「フェルちゃんですか。それともフェル君ですかね……?」
「ちゃんだよ」
俺はそう言って荷造りを始める。
明日出発だからね!
翌日は予定通りみんなで集まり日が出る頃には出発していた。
「ねえ、あんた達。黒様が迷宮突破したの聞いた?今日から迷宮都市は迷宮突破を祝してお祭り騒ぎになるそうよ。お祭り行きたかったなぁ〜」
休憩の時間帯にいきなり同じクラブの女子が話しかけて来て、先生に流し目を送る。
「何だ?その目は。これ以上迷宮都市に滞在したら夏休みが終わってしまうぞ。ただでさえ一日遅れているというのに」
「いい男見つかったかもよ?」
「紹介してくれる約束は得ているのでそこらへんは問題ない」
そう言って先生は俺を睨み付ける。
なぜ睨むんですか!?
俺が視線で問うが先生は完全に俺の視線を無視して馬車に乗り込んでしまった。
なんか悪いことしたかな…
「まぁ、あれがいつもの態度だから気にすんなって」
クライクが俺の背中を叩きながら声をかけて来たので適当に返事を返して馬車に戻る。
休憩はもうすぐ終了なので丁度いい。
道中何回か魔物や盗賊に襲われたが返り討ちにして公都に辿り着く。
明後日から学校か……なんか早いようで長かった夏休みだったな…




