第36話
あけましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願いします!!
俺は戦闘態勢を整えてリュカに命令を下す。
「リュカ!お前はシャル先輩を全力で守れ!俺らの戦闘に巻き込まれないようにな!」
「わかりました!!ですが、どうかご無事で!」
「負けるつもりはない!」
「どうかな…この配下を見ても負けるつもりはないとでも言えるのか?」
そう言って召喚した悪魔は……左右3対の歪な形をしたコウモリの羽に、羊の角、性別はないが外見は美女。
「サタナキアか……上位六体で来るとは本気度合いが伺える」
「よくわかりましたね。私はサタナキア。ルシファー様に仕える悪魔でございます。どうぞよろしく」
自己紹介されたので俺も名乗っとく
「この世界では、リュウト・トナティウ。別の世界では神崎龍人。誰にも従っていない亜神だ」
「まあ!亜神ですって!?悪魔の敵ではありませんか!ルシファー様、私めはどうすればよろしいでしょうか」
「お前はリュウトという亜神と戦って勝ってこい。それだけだ」
「了解致しました」
「話は終わったか?じゃあ、こっちから行くぞ!!」
そう言って俺は鬼目を発動し、脳内処理速度を1000倍まで上げる。
上げると同時に俺以外の時間が止まったように見えた。
「シル!ブースト解放!!」
俺の背中から白い粒子が放出され、リニア並の速さでサタナキアに突っ込んで行く。
さすがにサタナキアも不意打ちでしかも、秒速約139キロでつこっんで来られたら反応仕切れなかったようで俺の刀が人間の心臓部分に突き刺さり、貫通し後ろにいたルシファーの左腕にも刺さる。
「がはっ……卑怯…よ…不意打ちなんて……げほっ」
サタナキアが血を吐き出しながら言うが俺は感情を見せない表情でサタナキアに反論する。
「命の取り合いに卑怯もクソもない。殺されればそれで終わりだからな…」
それだけ言って古代魔術の禁術。世に存在する者全てを世界から消す魔術。例え本体が違う世界にいようと分身さえこの魔術で消してしまえば本体をも死に導く魔術。その名も『消滅』。一見、最強に聞こえるが欠点だってある。例えば、内側からかけないとダメだとか、魔力を必要としない代わりに生命力を必要とする。とか、1人の相手に集中しないと発動できないとか、他にもいろいろあるが注意すべきはこの3つだろう。
俺はその古代魔術『消滅』を使いサタナキアを消そうとするがルシファーに左から殴られ吹っ飛ぶが刀を話さなかったことでサタナキアの上半身が吹っ飛んだ。
肋骨が数本折れていたので治癒魔術を自分にかけながら空中で態勢を整え着地する。
俺が着地すると同時にやはりと言うべきか、サタナキアが回復していた。
「チッ……簡単には殺らせてくれないか…」
「僕が出るのはどうかと思ったけど、サタナキアだけじゃ危ないみたいだから僕も参戦するよ」
「すみません…私が弱いばかりにルシファー様のお手を煩わせてしまって…」
「気にすることないさ、あいつは強いからね」
俺はルシファー達が話している間に気配を極限まで消して近づき斬りかかるが流石に魔王と言うべきか躱される。
「チッ……」
「魔王をなめてもらっちゃ困るよ」
不意打ちがダメなら力押しで行く。
「シル、二刀流で行くぞ」
《了解!》
俺はシルが二刀流になるまでサタナキアとルシファーの攻撃を避け続け技を放つ。
「神崎二刀流『乱撃』!!」
俺に向かってされてくる攻撃を弾き返し、受け流し、その時に生まれた力に身体を乗せて速度を上げて行くことで攻勢にもで始める。
音速を超えて来たあたりでサタナキアに傷が入り始めた。俺はそれを確認すると刀に神気を纏わせることで悪魔に対する攻撃力を上げる。
サタナキアの身体が崩れ始めたことに気が付いたルシファーは物凄い形相で俺を睨みつける。
俺たちが睨み合っている間にもサタナキアの身体は3分の1以上が灰になってしまっていた。
「ルシファー様、私はもうダメみたいです。ルシファー様だけでもお逃げください!」
「僕に逃げるなんて言葉はないよ!」
「で、でも」
「うるせぇーー!お前ら戦う気あんのか!?」
俺は一旦ルシファーと距離をとる。
「お前が堕天した理由は知っている。お前は人間を憎んでいるだろ?」
「ああ!憎いさ!人間が生まれたせいで俺は堕天したんだからな!
なぜ、神は愚かな人間を愛するのか…!
そして、なぜ人間を甘やかすのか…!
人間は、傲慢で自分勝手で我儘!
都合が良い時ばかり神や天使を頼る!
自分の欲を満たすために、簡単に殺し合う!
僕には理解できなかった…神のことが理解できなかった…人間より天使の方が教養と美しさを兼ね備えていた。しかし神は人間ばかりを愛す。それが理解できなかった…
そして僕は天使こそが教養と美しさを兼ね備えている生命体だと神に気付いて欲しかった…だから僕は天使の3分の1を味方につけ神に反抗し天界戦争が始まった……
結果はご覧の通り負けたさ…
神が人間を作ったから堕天した。
だから僕は堕天の原因となった人間を滅ぼすことに決めたんだ。
わかってくれたなら邪魔しないでくれ……もう、神と敵対するつもりはないからね…」
「俺はお前の邪魔をする」
「なんで!?」
「人間に滅んでもらっちゃ困るからだ。それとお前はもうちょっと考えてから行動した方がいい…もう、既に4つも国を滅ぼしてんだから気付き始めてんだろ?いくら人間を殺しても心が晴れず、逆に曇り始めてるって…心が闇に埋もれていくって……これ以上は俺が言うことじゃないが1つだけ言えることがある………お前の苦しみは復讐が足りないんじゃない」
「なんなんだよ!?クソッ!それくらい俺にだってわかってるんだよ!!だけど答えが見つからない……いつも自問自答を繰り返すばかりで何もわからない…」
「そこまで来てるんなら何も言わん…けどな、お前は今、危険だ。だから俺の亜空間で暫く考えとけ」
そう言って俺はルシファーとサタナキアの足元に亜空間の入り口をだすとルシファーとサタナキアの身体が徐々に亜空間に吸い込まれていく。
全く抵抗しない…
「そこでゆっくり考えてろ!次、会う時には良き友であることを切に願う!」
俺は満面の笑みでルシファー達を見送る。
ルシファーとサタナキアが完全に見えなくなったところで亜空間の門を閉じ、リュカ達の方に向かう。
「リュカ、大丈夫だったか?」
「これを見てもまだそれを言いますか……大丈夫です」
リュカは満身創痍で力尽きたのか床に崩れ落ちる
「はあ、絶対に大丈夫じゃないだろ…全く…『コピー』」
俺はリュカの治療をしてから、背負いルシファーを倒した?時に鍵が開いた扉を蹴破って外に出たが、また問題が発生する。
今度はなんだよ…
俺が背後に視線を向けると俺が亜空間を開く時に出来たエネルギー体が吹き荒れシャルを飲み込もうとしていた。
「シャル先輩!危ないです!!」
俺はリュカを地面に下ろしてからシャルの手を引き俺の後ろに下がらせる。
あっ、やっべ!俺が飲み込まれちゃうじゃん!
吹き荒れるエネルギー体を躱そうとするが一歩遅く俺だけが巻き込まれてしまう。俺だけじゃないな…シルを装備したままだから、シルも巻き込まれたのか…
リュカの叫ぶ声が聞こえる。シャルのリュカを落ち着かせる声がどんどん遠ざかっていく。
ああ、ここで死ぬのかな…
俺の意識は完全に闇に落ちた。
ピチャ
頬に水があたったことで意識が覚醒していく。
目を開けるとどんよりとした雨雲が見え、小雨の雨が降っている。
そのまま10分が経過しフリーズしていた脳が動きだす。
どこだ!?俺はさっきまでボス部屋にいたはずだが…どうなっている?
あ、そういえばエネルギーの嵐に巻き込まれたんだった…でも、エネルギーの嵐に巻き込まれたからってなんでこんなだだっ広い草原に寝転んでんだよ…
寝転んだままさらに数分がたった頃に雨が大粒の雨に変わって結構激しくなって来たので、起き上がりあたりを見渡す。
本当に何もない草原に俺と約4万人がいる。
なんだあれ?
シルのおかげで遠くまで見えるのでよく見て見たところ、軍隊だと言うことに判明した。
2つの勢力が今まさに衝突しているところだったので軍旗を見てみると、片方の勢力はメテラユ王国軍。もう片方の勢力は帝国軍だ。
数は帝国軍が約28000。メテラユ王国軍が約12000。
メテラユ王国軍が帝国軍にかなり押されている。
やばいな…このままだとメテラユ側が負けるな………手助けするか。
「シル、アンチマテリアルライフルを頼む」
《了解!射程は長い方がいいからNTW 14.5でいい?》
「ああ」
俺はシルがNTW 14.5になったのを確認してからその場でバイポッドを広げてプローンポジションになりスコープを右目で覗き込む。
距離は約1200メートル、風向きや湿度、雨が降っていることなどを計算して相手の胴体を狙い………撃つ。
見事ヒットし、相手の上半身が吹っ飛ぶ。
うぇ……グロすぎだろ…
周りの奴らはいきなり上半身が吹っ飛んだことでパニックに陥りつつある。
俺は続けざまに2発撃つ。
今度は2発ともヘッドショット。
脳みそをぶち撒けながら崩れ落ちる。
俺は常にマガジンの中へ弾を作り出しているので弾切れになることはないので連射する。連射って言ってもボルトアクションだからね…
次々と帝国側の人間だけが死んでいくのを見て帝国側は士気が下がり、王国側は士気が上がる。
そのまま10分が経過し俺が攻撃していた場所は壊滅したが他の場所は変わらず帝国側に押されている。
俺は一旦、シルをフル装備形態にして王国側の陣地に向かう。
陣地に向かう途中で奇襲をしかけようとしていた帝国軍を文字通りの全滅に追いやってから陣地に到着する。
騎士に通して貰うように頼み込む。
「ここを通してもらえないだろうか?いい作戦があるのでお伝えしたいんだ」
「ここは通せない。他を当たれ」
「これでもダメか?」
俺はそう言って陣地を守っている騎士に王国の爵位持ちを証明するプレートを見せる。
ちなみに俺のは金色だ。
上級貴族は金色で下級貴族は銀色らしい。
「す、すみませんでした!今すぐ報告してまいりますので少々お待ちください」
そう言ってテント内に走っていく。
貴族とわかった途端にこれか……
やがて騎士がテントから出てくると案内役をしてくれると言うので案内してもらいテント内に入る。
「よくぞ参ってくれた。早速だがそなたの作戦とやらを聴きたいのだが…いいかの?」
話しかけて来たのは初老の男性で、俺に貴族の云々を教えてくれた結構仲のいい侯爵さんだ。
「ツペェリ侯爵じゃないですか!お久しぶりです!元気にしてましたか?それより若くなってません?」
「? そなたは儂のことを知っているようじゃが儂はそなたのことは知りませんぞ?」
え!?忘れちゃったの?………ってまてよ…俺があったツペェリ侯爵さんはもっと老けていたような…確か長生きしていて…80歳だったっけ?
「失礼ですが年齢を聞いても?」
「儂か?儂はだな今年50になったばっかりじゃ」
は?50?なんで?………もしかして30年前の過去に飛ばされたのか?
「それより早く作戦とやらを聞きたいのだが」
「ああ、すみません…考え事をしていたもので……それで作戦なんですが一旦、全軍撤退してもらえますか?それで体制を整え、戦闘を再開するときに俺が戦略級魔術を放ちますのでその時に出来た隙をついて精鋭騎馬部隊だけを突撃させて中から相手を崩します。崩したら俺の魔術で叩き潰します」
「戦略級魔術など人間にできるものなどではない!馬鹿にしておるのか!?」
取り巻きの貴族どもが何やら騒ぎ始めるが俺はツペェリ侯爵に目を向けたまま微動だにしない。
「はぁ、わかった。そなたにかけてみようと思う」
「ありがとうございます」
取り巻きどもはさらに声を大きくして騒ぎ始めるがツペェリ侯爵が一喝すると誰も口を開かなくなった。
すっげ…
俺は用事を済ませたのでテントから出て1番見渡しのいい場所にいく。
戦場を見渡すとメテラユ王国軍が撤退を始めているのを見て思わず笑みがこぼれる。
自分の指示で人が動いていることに楽しくなったのだ。
俺ってほんと性格悪いよな…
撤退が完了した頃に俺は最前線に出る。
「あ、あ、あー、テステス。聞こえてますかー?メテラユ王国軍の皆さーん!騎馬隊だけここに集まって下さ〜い!」
俺は風魔術で自分の声を飛ばして騎馬隊に集まってもらい、集まった騎馬に一体ずつ炎の耐性を付与していく。
最終的に集まった騎馬の数は約2000騎。
これだけいれば楽勝だろ!
俺は約500メートル先にいる帝国軍を睨みつけながら使う魔術?いや、魔法をイメージする。
イメージはナパーム弾の性質を持った焼夷弾。
簡単に言うと上空で焼夷弾が分裂し、ナパーム弾がばら撒かれる感じだ。
俺のイメージが固まっていくと帝国軍上空に炎の玉が出現する。
イメージが固まった時には帝国軍上空を埋め尽くす程の炎の玉が出現していて帝国軍はこの炎の玉をあまり危険とみなしていないのかよくわからないがめっちゃ落ち着いている。
俺はその炎の玉を帝国軍に落とす。
3、2、1、着弾。
炎の玉は上空100メートルから降り注ぎ上空20メートルの位置で1つの玉が10個に分かれて帝国軍に降り注ぐ。
着弾と同時に炎の玉が爆発し直径5メートルの中に炎の海を作り出す。
まさに地獄…その熱さは優に1000度を超えている。
俺にとってこれはまだ序の口だ。さっきのナパームで1万は死んだがまだ1万8000は生きているし、後方にはそこまで被害が多くない。
そこで俺は風魔法を使い竜巻を起こす。
もうお分かりだろう。火災旋風を起こすのだ。
俺が発生させた竜巻に徐々に炎がまとわりついていく。
約3分が経過しただろうか…竜巻はもうすでに火災旋風になって後方を荒らしまくっている。
俺は楽しくなって来たので火災旋風のど真ん中に地魔術で鉄屑を出現させる。
火災旋風の温度は通常1000度〜1200度となっているので鉄を溶かしてしまう。
鉄を溶かしてしまうと言うことは鉄屑を入れることによって、鉄屑が溶けて竜巻の力で周りに飛び散らせる。
溶けた鉄は物凄い脅威になり、かなり有効な攻撃手段とされる。
また、かなり高いところで飛び散った溶けた鉄は上空で冷まされ弾丸のようなスピードで遠方の敵を貫く。
火災旋風がなくなった頃に、帝国軍が撤退を開始したので騎馬隊に指示を出す。
「黄薔薇騎士団、白薔薇騎士団、清光騎士団、雷光騎士団の騎馬500騎は左翼。青薔薇騎士団、赤薔薇騎士団、黒灰騎士団、光灰騎士団の騎馬500騎は右翼。最後の王国聖騎士団の騎馬1000騎は後方。今指示された持ち場に速やかに急行し半包囲陣を組み、撤退をさせるな。お前ら死ぬなよ?」
『『『おっす!!!(はい!)』』』
「よっしゃ!!行くぞおめぇーら!これより殲滅戦を開始する!!」
騎馬隊が全力で走って行くのを見送り半包囲陣が完成するのを待っていると誰かに話しかけられた。
「よっ、突然だがこの作戦に加えてくれないか?俺、結構強いぞ?」
俺は話しかけた人物を見てちょっとだけフリーズした。
「【真紅】……」
「ん?なんか言ったか?」
かなり若い【真紅】だ。
まあ、多分この時期だと現役のSランク冒険者だから使えるだろう。
「いいよ」
俺は2つ返事で【真紅】を仲間に加えた。
騎馬隊を見送ってから5分程たった頃に合図の魔術が上がる。
「準備が出来たみたいだ。行くぞ」
「たぎるぜ!」
こうして虐殺とも呼べる一方的な戦いが幕を開けた。




