第23話
よろしくです!!!
歩き始めて既に3時間近く経過している。
疲れた……体力的にではなく精神的に…
さらに歩くこと2時間…
街道が見えてきた。
街道は一本道だ。
どちらに進もうかな?
こういう時は棒倒しで決めるか!
手を繋いだままのシルに告げる
「シル、どちらに行くか決めるからメイスになってくれ」
「うん!」
シルは元気な返事をすると同時に長めのメイスになった。
長めにするところを考えるとちょっとした気遣いをしてくれていることがわかる。
シルに「ありがとな」と一声かけてから柄の部分を地面に突き立て倒す。
倒れた方向は俺から見て右側を指している。
ということでシルを人型に戻し俺から見て右側に進む。
街道を進むとやがて森が見えてきた。
街道は森の中へと続いている。
森に入ったところで木に背中を預けてもたれかかると膝にシルの頭が乗ってきたのでシルを膝枕で寝かせながら休憩をする。
腹減った〜……亜神は何も食べなくても死ぬことはないが腹は減るのだ。流石の亜神でも三大欲求には勝てない。
休憩を始めて3分程で森の方に魔物の気配を感じる。
俺が魔物を退治するため仕方なくシルの頭をどかし立ち上がろうとした時シルに問いかけられた。
「マスター、あれはシルに殺らして貰える?」
ものすごい怒気を放ちながら言われたので「いいよ」と返すしかなかった。
魔物を退治しに行くシルの背中を見送る。
その間もシルはうつむきながらブツブツと何か呟いている。
「マスターとの幸せなひと時を潰しやがって八つ裂きにしてやる…惨たらしい死を与えてやる…絶対に殺す…逃げようとしても絶対に殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
偶然聞こえてしまった………シルさん怖いです…
シルが魔物と接触したのかわからないが熊の断末魔のような叫び声が森中に響きわたる。
10分……20分……
遅いな…幾ら何でも最後の叫び声が聞こえてから20分はないだろう…心配だ……もしかしてあの後、魔物の仲間が襲って来たとか?
シルが危ないと思うといてもたってもいられなくなり探しに出ることにした。
少し歩くと惨殺現場に到着した。
「お前のせいで…お前のせいでっ…マスターの膝の上から降りることになっただろっ……お前には楽に死なせるつもりはないから苦しみなが死ね」
シルが俺の背丈の倍くらいはあると思われる熊の魔物を魔術で拘束して殺している最中だ。
しかも、器用に治癒魔術を熊に施しながらだ。
何で熊に治癒魔術を施しながら殺すのかはわかるが…信じたくない……シルがこんな子だなんて…
いや、知ってたけどね〜
そんな光景を眺めていると俺に気づいたのかシルが水魔術で手を洗い熊の魔物を手に引きずりながらこちらに駆けてくる。
「マスター!今日の夜ご飯!新鮮だよ!」
そう言って皮のない熊の魔物を見せてくる。
…………そりゃ新鮮だよな……なんせ、まだ動いているんだからな…
俺は熊の魔物を受け取り時空魔術で作り出した無限収納に放り投げてからまた何事もなかったように街道を歩き続ける。
休憩するまでは何回か襲って来た魔物も熊魔物事件以来全く襲って来なくなった。
そんなこんなで夜まで歩き続け森を抜けた少ししたところで野営をする。
まずは森の中で拾ってきた薪を置き、そこに火を点ける。
亜空間からまだ生きている状態の熊の魔物を無属性魔術で火の上に浮かして焼く。
生きながら焼かれるってどんなんだろう……俺だったら絶対に嫌だな…
熊の魔物はシルと俺で全てではないが美味しくいただきました。
残った熊魔物の肉は時空魔術で時間を止めてから亜空間に放り投げる。
ちなみに、時間を止めることができるのは生きていないということが前提である。
腹を満たした俺たちは特にこの後何もすることがないので無属性魔術の強力な結界を張りそのまま地べたに寝る。
幾ら強力な結界を張っていても完全に安全とは言い切れないが見張りは付けないこちらに近づいてくるものや害意の視線を投げ掛ける者がいたならばすぐに気付ける程度には鍛えてある。
何せ、審問官時代には戦争に駆り出され紛争地のど真ん中で寝たこともあるほどだ。(結界は張っていたけどね)
起きてから朝食の準備をしようと材料を亜空間(無限収納)から取り出す。
そこらの地面には寝ているうちに何度か魔物に襲われたが結界に雷属性を後から付与して感電死させた魔物の死体が転がっていたので亜空間の扉を開いたついでに亜空間に放り投げる。
ちなみに、昨日の熊の魔物の名前はジャイアントベアーと言ってランクはCで、夜に襲ってきた奴は全てファイヤベアーというこちらもCランクの魔物だった。
朝食のメニューは昨日の残った肉をそのまま丸焼きにして食べる。(昨日の夜と食べ方は一緒だ)
朝から肉の丸焼きは流石に重かったが腹が減るよりはマシだ。
朝食を済ませたあとは昨日と同様にただひたすら街道を歩く。
なんかハプニング、起こらないかなぁ……




