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アイリスの事件簿  作者: 白雪刀花
探偵が進む道
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10/11

裏社会の目的

会場は静まり返っていた。

給仕の男は、アイリスの問いに何も答えない。

ただ俯き、拳を強く握りしめている。

アイリスはそんな男をじっと見つめていた。

「……では、続きを話しましょう」

「…………」

「あなたたち裏社会の目的は――」

アイリスは会場を見渡す。

そこには、親睦会へ参加している多くの生徒たち。

王子家の跡取りや、大企業の子息、名家の令嬢。

それぞれが将来、大きな組織や家を背負う可能性を持っている。

「この生徒たちです」

「……!」

リリアが息を呑む。

「まさか……」

「えぇ」

アイリスは頷いた。

「生徒を攫うこと。それがあなたたちの目的ですね」

会場から悲鳴が上がる。

「私たちを……?」

「攫うってどういうこと!?」

「落ち着いて!」

リリアが周囲へ呼びかける。

一方、アイリスは冷静だった。

「この親睦会は、あなたたちにとって非常に都合のいい場所です」

アイリスは続ける。

「王子家が主催しているため、多くの有力者の子供たちが集まる。さらに、普段とは違う環境で大勢が一つの場所に集まっている」

「そして飲み物や料理が自由に運ばれる」

アイリスは目の前の紅茶を見る。

「睡眠薬を混ぜるには、これ以上ない環境です」

男の顔が強張る。

「全員を眠らせ、その混乱に乗じて生徒たちを連れ出す」

「……違う」

男が小さく呟いた。

「違う?」

「俺は……そんな……」

「では、なぜ紅茶に薬を入れたのです?」

男は答えられない。

アイリスは静かに続ける。

「殺すことが目的なら、睡眠薬を使う必要はありません」

「金品を盗むことが目的なら、これほど大規模な準備も必要ない」

「ならば――」

アイリスの瞳が鋭くなる。

「目的は人間そのもの」

「そして、この親睦会に集められた生徒たちは、その条件に当てはまる」

その時だった。

「……アイリス」

リリアが小声で呼ぶ。

「どうしたのです?」

「王子くんがいない」

「…………」

アイリスの表情が変わった。

先ほどまで確かに近くにいた王子正樹。

しかし、会場を見渡しても、その姿が見当たらない。

アイリスは周囲を確認する。

「……まさか」

そして――。

会場の入口を見る。

「リリア」

「うん」

「この事件、既に始まっているのかもしれません」

アイリスは静かに立ち上がった。

「生徒を攫う計画なら――」

その視線の先には、閉じられた大きな扉。

「最初の標的は、すでに連れ出されている可能性があります」

「アイリス……!」

アイリスはドレスの裾を軽く持ち上げる。

「行きますよ、リリア」

「えぇ!」

「まだ事件は終わっていません」

そして二人は、王子邸の奥へと走り出した。

必要であれば、次のことができます。

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