表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/52

第21話 『同時突破という解答』

 薄暗い倉庫。


 床に描かれた簡易の図。


「……もう一回整理するぞ」


 俺は指で線をなぞる。


「結界は“固定じゃない”」


「うん」


 リゼが頷く。


「侵入しようとした場所に集まる」


「つまり」


 騎士が続ける。


「一点突破は不可能」


「そう」



「でも」


 俺は線をもう一本引く。


「“分散”させればいい」


「分散?」


「同時に複数箇所を狙う」


「……」


 看守長が口角を上げる。


「いい線いってるじゃない」



「結界は一箇所に集まる」


「うん」


「なら逆に——」


「分散させて薄くする」


「正解」


 看守長が頷く。



「でも」


 リゼが言う。


「それってどうやるの?」


「そこだ」


 俺は装置の図を指す。


「水流制御」


「……」


「これを使って」


「結界の“反応位置”をズラす」


「……!」


 騎士の目が少し見開いた。


「つまり」


「フェイント」


「先に別の場所に反応させて——」


「本命を通す」


「……なるほど」



「でもそれだけじゃ足りない」


 俺は続ける。


「時間が短すぎる」


「数秒」


 リゼが言う。


「四人は無理」


「だから」


 指を二本立てる。


「“二段階”にする」



「二段階?」


「まず第一段階」


 図に丸を描く。


「看守長が攪乱」


「任せなさい」


「その間に結界を一方向へ引き寄せる」


「うん」



「第二段階」


 別の位置に印をつける。


「俺とリゼで本命ポイントを開く」


「……」


「そこに」


「私とリゼが通る?」


 騎士が言う。


「いや」


 俺は首を振る。


「ここで“ズレ”を使う」



「ズレ?」


「人間は完全に同時に動けない」


「……」


「だから逆に」


「微妙にタイミングをずらす」


「……!」



「先に一人」


「次に一人」


「その“連続”で全員通る」


「でも」


 リゼが言う。


「結界戻るよ?」


「戻る」


「だから——」


 少しだけ間を置いて言う。


「“戻る前に押し切る”」



「……無茶です」


 騎士が即答。


「成功率は?」


「低い」


「どれくらい」


「体感で二割くらい」


「低すぎます」


「でもゼロじゃない」



 沈黙。


 そして——


「やる」


 リゼが言った。


 迷いなし。



「私も」


 騎士が続く。


「守るために」



「当然でしょ」


 看守長は笑う。


「ここまで来て引く気ないわよ」



「……全員バカだな」


 俺は呟く。


「今さらね」


「だな」



「役割を再確認する」


 俺は全員を見る。


「看守長」


「はいはい」


「攪乱+誘導」


「任せなさい」



「騎士」


「はい」


「見回り制御+突入サポート」


「了解」



「リゼ」


「うん」


「結界感知+タイミング指示」


「任せて」



「俺」


「はい」


「装置操作+突破」


「一番危ないやつだな」


「分かってる」



「……ねぇ」


 リゼが言う。


「今回、いけると思う?」


「……」


 少しだけ考える。


 正直に言うなら——


 厳しい。


 かなり厳しい。


 でも。



「いける」


 俺は言った。


「やるからにはな」



 リゼが笑う。


 少しだけ安心したように。


「うん」


「いける」



「……ほんと変なチーム」


 看守長が呟く。


「最高よ」


「自分で言うな」



 その時。


 騎士が小さく言った。


「……静かに」


「?」


「誰かいます」



 空気が張り詰める。


 外。


 気配。



 そして——


「ふふ」


 あの声。



「いい作戦だね」



 監獄長だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ