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第3話 魔力解放

マスタードラゴンからの最初の課題として図書室で借りたファンタジー小説を読むことになり、俺は数日かけてじっくりと読んだ。


今なら夏休みの宿題の読書感想文も余裕で書けるぐらいの気持ちでマスタードラゴンに読み終わったと告げた。


『よし!少しは君の空想力を取り戻せた……と言うことにして、早速魔法の授業を開始するぞ!』


「と言うことにして?」


魔法の授業がいよいよ始まることはいいのだが、マスタードラゴンよ……そんな曖昧な感じでいいのだろうか?


若干の不安を覚えながら自室で魔法の授業が始まる。


『さて、魔法を教える前にまず千歳の魔力を封印している七つの《封魔術式ふうまじゅつしき》の一つを解除する』


「七つの……何?」


魔法の専門用語だったのでうまく聞き取れず、マスタードラゴンは紙とペンを用意して器用に《封魔術式》と書く。


今更ながらマスタードラゴンは日本語を喋るのが上手いし、字も綺麗に書くなぁと感心する。


『封魔術式、文字通り魔力を封印する為の術式だ。その術式をお前の強大な魔力を封印する為にアルフレッドが七段階に重ねて施した』


「何で七つも封印を?」


『理由は複数ある。一つは《七》という数字は完成や完全などの色々意味のある特別な数字で、何より縁起がいいからな。ほら、よくラッキーセブンとか言うだろ?』


「なるほど……」


『もう一つは千歳が少しずつ魔力を扱う為の技術と器を鍛える為に魔力の解放を七段階に分けたんだ。いきなり全魔力を解放したら体が耐えきれなくてぶっ壊れる可能性も考えられるからな』


「魔力を解放するってそんなに危険なことなの……?」


『普通ならそれほど大きな危険はない。だが、強大な魔力の扱いを間違えればどれほど熟練の魔法使いでも破滅する』


「……魔法使いってそんなリスクを抱えて生きているの?」


『ああ。怖いか?』


「……怖いよ。でも、爺ちゃんが俺を守る為に色々な手を打ってくれていた。その想いに応える為にも頑張るよ」


俺の答えにマスタードラゴンは満足げに頷いた。


『ふっ……それでこそアルフレッドの孫で私の教え子だ。よし、千歳。封印を解く為に杖を出すんだ』


「分かった、アウェイキング!」


竜の指輪に向かって呪文を唱えると、指輪から魔法の杖へと変化し、それを右手で持つ。


ちなみに「アウェイキング」の意味は何かと聞いたら「目覚め」や「覚醒」と言う意味らしく、そのままだなと言う感想だった。


マスタードラゴンは静かに近づくと右手をそっと俺の心臓の辺りに手を置いた。


『……封魔術式、顕現』


突然、俺の全身から白い光が溢れ出し、何重にも重なる魔法陣が現れた。


見たことない文字や絵が複雑に絡み合うように広がっていて、これが生まれてから十年間も俺の魔力を封印していた封魔術式だと理解した。


「これが、俺が生まれてすぐに爺ちゃんが施した封魔術式……」


するとマスタードラゴンは信じられないようなものを目の当たりにした表情をして封魔術式を見る。


『まさか、ここまでとは……』


「マスター?」


『いや、なんでもない……封魔術式は千歳の言葉とその杖が解除の鍵となっている。後はイメージだが、解除の呪文を唱える時に頭の中で厳重に封鎖された扉を鍵で開ける……みたいなものを思い描くんだ』


「扉を鍵で開ける……分かった。あ、今更だけど呪文は英語とかじゃなくて、日本語でいいの?」


『問題ない。アルフレッドが日本語で発動するように設定したからな』


「爺ちゃん万能過ぎ」


予め日本語対応しておく爺ちゃんの手腕に大賢者の名は伊達じゃないと改めてそう思うのだった。


『それでは早速行くぞ。杖を両手で構えて』


「う、うん」


魔法の杖を両手で構えると足元に魔法陣が光り輝いて浮かび上がった。


大きな丸い円の中に無数の文字と七つの角を持つ星形の図形、その中心にはマスタードラゴンを模したドラゴンの絵が描かれていた。


「えっ!?何この魔法陣!?」


『それは千歳の魔法陣だ、気にしないで続けるんだ』


魔法陣は魔法使いが大掛かりな魔法など使う際に魔力や術式を安定させるための補助的な役割を持つ。


また、魔法陣の形や絵柄は使用する魔法使いによって大きく異なり、同じ形の魔法陣は無いと言われている。


これが俺自身の魔法陣と知り、驚く時間すら与えられずマスタードラゴンから解除の呪文を教わる。


『封魔術式、第一刻印、封解……千歳!』


頭にとても頑丈な扉を鍵で開けるイメージを浮かべながら解除の呪文を叫ぶように唱えた。


「封魔術式……第一刻印、封解!!!」


ガコン!!!


まるで鍵で扉を開いたかのような音が鳴り響いた瞬間、封魔術式の刻印の一部が霞のように消えていき、その直後に体から金色の光が溢れ出した。


まるで粒の細かい砂金のようにキラキラと輝いていた。


この金色の光が魔力だとすぐに分かると不思議と全身に力が湧いてくるような気分だった。


「これが、俺の魔力……」


『ようやく、スタートラインに立てたな』


「……なんか不思議な気分」


『そうか。それなら、早速その魔力を使ってみようか。最初は誰でも使える魔法から覚えていくぞ』


「うん!」


魔力を解放し、マスタードラゴンから早速魔法の授業を受けることになる。


しかし、俺が魔法を覚えることが今まで経験した事がないほどのとてつもない苦難な道のりになるとは……この時の俺とマスタードラゴンは思いも寄らなかった。




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