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応戦忍者 其の二

 こちら、本日2度目の投稿となります。

 まだ前話を読まれていない方はそちらからよろしくお願いします。

 大いなる力。強かなる姿。

 その竜は、勇者との死闘より千年以上もの間、その強大比類ない力を何も違えていなかった。

 見上げるような巨躯も、その肉体に纏う筋肉も、それら全てを包む鎧のような鱗も全て健在だ。


 後に魔王を討ち取る事となる勇者ですら、封印に甘んじなければならなかった存在。

 現存する中で、それに打ち勝つすべなど何一つ存在しない。



「お、おい! 何なんだよいったい!?」


「素晴らしい……!!」



 仲間の……仲間であったはずの男の声は、どうやら彼には届いていないようだった。


 彼はただ、雄々しき竜の姿をその目に焼き付けている。

 ただただ美しい。ただただ素晴らしい。

 その肉体が持つ熱によって曲げられた空気が、その逞しい肉体の像を歪めている。一見して皮膚が流動しているかのように見えるその様から、この竜の名は——



「——マグナドラゴ!! 素晴らしい! あの方もお喜びになる!!」



 輪郭がわずかに朧げであるその竜は、不可思議であり不気味であり、それと同時に美しかった。

 近くの建物は一つ残らず燃え上がり、中にいただろう人間は悲鳴を上げる事もできずに灰となる。


 圧巻。


 ただ近付くだけで命を奪われる圧倒的存在。


 これこそが竜である。

 これこそが力である。



「マグナドラゴよ! 貴様の封印を解いたのは私だ! さぁ従え! この私のために、その——!?」



 その言葉が、最後まで紡がれる事はなかった。

 竜が、煩わしそうに彼を踏みつけにしたからだ。



「ぁああぁぁあああああぁぁあぁあ!!!!!」



 彼の行動を見ていた冒険者は、それを目の当たりにしてたちまち逃げ出した。いかに勇猛果敢で名を馳せた男であろうとも、この現状を打破するすべなど何一つない。

 しかし、それすらも無意味な事だった。

 冒険者は、叫んだ瞬間に喉を焼かれ、呼吸がままならなくなり走っていられず、その場を離れられないために竜の熱に焼かれた。


 空気の熱が、彼の肉体を焼き払う。

 およそ人知の範疇を超えた力を前に、あらゆる抵抗は無意味となるのだ。


 これが竜。


 矮小なる人の身で御し得るはずもない偉大。

 ともすれば、世界の終焉はこの日となる。



 ◆



「なんだアレやっば……」



 竜の巨体は、どれほど遠くにいてもよく見えた。

 その巨体をよく見て、回り込むように走っている。あんなのと正面からやり合うのはゴメンだからだ。せめて、背後から不意打ちくらいから始めたい。



「兄さん! 俺は何しますか?」


「邪魔だから付いてくんな」


「辛辣ぅ!?」



 いや、実際やる事ないし……

 でもまあ、せっかくいるなら働いてもらった方がいいよなぁ。もったいないし。



「なんか俺の事物扱いしてません……?」


「気のせいだ、使い潰すつもりだっただけだよ」


「より悪い!?」


「でもそうだな……じゃあ、住民の避難でもさしといてくれ。邪魔がいたら戦い辛い」



 竜にとっては人間の群れなど踏み潰した時に足が滑るという程度だろうが、僕にとって人混みは大量の障害物に他ならない。

 倫理観という観点を差し引いても、逃げ遅れた人混みは必ず僕に対して不利に働く。



「了解っす!」



 単純な奴だ。しかしそこまで悪いやつじゃあない。

 つい何日か前まで山賊業で稼いでいたような男だが、今は人助けのために奮闘している。



「死なないようにね!」


「縁起でもねぇっすよ!?」



 別に、冗談のつもりはない。今から僕が対峙する相手は、それほどの脅威だという事だ。

 たかだか離れて避難を促す程度が、充分に命懸けとなるような相手。


 ただ、僕自身は死にに行くつもりなどない。

 この作戦の中で最も危険を冒すのは僕だが、それでも正気がないなどとは全く思っていなかった。



「……コイツは僕がやる」



 今度こそ、誰にも邪魔をされない宣言。

 一騎打ちだ。ちっぽけな僕と、偉大なる竜の。

 『謝罪』


 この度、同じ内容の話を2話分投稿してしまうミスがありました。


 読者様には大変な混乱を及ぼした事と思います。


 つきましては、誠に勝手ながら本日2度目の更新にてそのお詫びとさせて頂きたく思います。


 これからも作品をどうぞよしなに。

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