餞別と旅立ち。
あの後、旅の準備や俺の前世の世界の話を夜遅くまでしてたから、今朝はまだ少し眠い。でも、天窓の明かりを見る限り旅立つには、いい天気だった。
荷物は、昨日のうちに影収納に、入れてたから忘れ物はない。影収納も里にいた頃に比べて50倍ぐらいひろくなった。だからどのぐらい入るのかわからない。
収納が拡がったってことは、魔力も同じくらい上がっている。今ならクソ妖精どもに復讐できるが、正直どうでも良い。そんな事をしているより、世界を見る方が楽しそうだからだ。
俺は、借りてた部屋を出て、ロトの所に向かった。
「ロト、おはよう。」
ロトはいつものソファーに座っている。
「護、おはようじゃ。」
「旅立つ護に、友達のワシから餞別があるんじゃ。」
ロトは、テーブルに3種類のものを置いた。
1つめは、ロトが着ているようなローブで、色は濃緑。
2つめは、指環、銀色だけど光っている。
最後は、お金の入った袋だ。
「説明するぞ。まずこれは、魔法のローブじゃ。ワシが現役の時に着ていたものじゃ。機能は、防刃に優れ防魔もしてくれるのじゃ。あと、装着者のサイズに自動調整してくれるのじゃ。」
「次にこの鑑定の指輪じゃ。鑑定したいものに触れると、触れたものが何か分かるものじゃ。これも自動調整がついてるので、大丈夫じゃ。」
「最後にこれは普通のお金じゃ。金貨、銀貨、銅貨が入っておるのじゃ。わしはもう使うことはないから、持って行くのじゃ。」
俺は早速ローブと指輪を、装着して、ロトに見てもらう。
「ありがとうロト。似合うか?」
それを見たロトは、笑顔で頷いてくれた。
「じゃあロト。行ってくるよ。帰ってきたら俺の冒険譚を聞かせてやるからな。」
「ホッホッホ。それはたのしみじゃのぅ。まだまだ成仏はできんのぅ。」
フワッフワな髭を撫でながら笑った。
護が旅立った後、ロトはいつも座っているソファーに戻った。
(行ってしもうたのぅ。この半年間は騒がしく、とても楽しかったのぅ。護はどんな冒険をしてくるのか楽しみじゃのぅ。それまではまた暫し、眠りに着くかのぅ。)
そう思いながら、空気に溶け込むように姿を消していった。




