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異世界温泉宿経営♨️ 〜「戦闘スキルをください!とお願いした女神がくれたのは、まさかの“銭湯スキル”でした〜  作者: 回胴めぐり


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【第55話】エレナと新居と温泉と


その日の作業を終える頃には、すっかり日が暮れていた。


森を包んでいた夕暮れの光も消え、木々の隙間から見える空には、無数の星が浮かび始めている。


温泉宿の建設現場から離れ、自分たちの家へ戻ってくる。


玄関を開けると、昼間とは違う静けさが二人を包んだ。


「……ただいま」


大地が何気なく呟く。


「ふふっ」


隣にいたエレナが笑った。


「おかえりなさい、ダイチさん」


「……なんかいいな」


「何がですか?」


「こういうの憧れてたんだ」


大地は玄関で靴を脱ぎながら、家の中を見渡した。


数日前までは、ここには何もなかった。


それが今では、自分たちの生活をするための家がある。


仕事を終えて帰ってくる場所。


疲れた身体を休める場所。


そして――エレナと一緒に過ごす場所。


「ようやく、本当に家ができたって感じがする」


「私も同じことを考えていました」


エレナは穏やかに微笑んだ。


二人は居間へ向かった。


畳の上に腰を下ろす。


エレナは棚から茶葉を取り出すと、湯を沸かし始めた。


「お茶を淹れますね」


「ああ。頼む」


しばらくすると、湯気の立つ湯飲みが二人の前に置かれた。


「どうぞ」


「ありがとう」


大地は湯飲みを手に取る。


一口飲む。


「……うまい」


「本当ですか?」


「うん。なんか落ち着く」


緑茶のほのかな苦味と香りが、疲れた身体にゆっくりと染み込んでいく。


エレナも自分の湯飲みに口をつけた。


二人の間に、穏やかな沈黙が流れる。


外では夜の森が静かに息づいている。


風が木々を揺らす音。


遠くで鳴く夜鳥の声。


それ以外には、ほとんど何も聞こえない。


「……静かですね」


「ああ」


大地は畳に配置した座椅子に背を預けた。


「クレーベルにいた時とは大違いだな」


「そうですね」


「でも、嫌いじゃない」


「私もです」


エレナは微笑んだ。


その横顔を見ながら、大地も自然と笑みを浮かべる。


「なあ、エレナ」


「はい?」


「せっかくだし、風呂入らないか?」


「……温泉ですか?」


「ああ」


大地は立ち上がった。


「今日はかなり疲れたし、家に温泉があるんだから使わないともったいないだろ」


「ふふっ」


エレナも立ち上がる。


「そうですね」


二人は並んで浴場へ向かった。


◇


浴室の扉を開けると、温かな湯気が二人を迎えた。


小さな浴槽には、すでに湯が張られている。


「……やっぱりいいな」


大地は湯船を眺める。


「仕事が終わって、家に帰って、温泉に入る」


「ダイチさんの理想の生活ですね」


「ああ」


二人は身体を洗い、ゆっくりと湯船へ入った。


「……はぁ」


大地の口から、自然と息が漏れる。


温かな湯が身体を包み込む。


一日の疲れが少しずつ抜けていくようだった。


エレナも隣で目を閉じている。


「気持ちいいですね……」


「ああ」


その時だった。


――ピコン。


突然、大地の頭の中に聞き慣れた音が響いた。


「……ん?」


「どうしました?」


エレナが目を開ける。


「いや……今、スキルが」


大地は目を閉じ、意識を集中させる。


すると、視界に見慣れた文字が浮かんだ。


『条件達成』


『新しい温泉効能スキルが解放されました』


「……新しいスキル?」


大地は驚いた。


これまでにも温泉効能に関するスキルはいくつか獲得してきた。


だが、今回は今までとは違う。


【精力増強】


「……精力増強?」


大地が読み上げる。


エレナが首を傾げた。


「どのような効能なのでしょう?」


「えっと……」


大地は説明を読む。


温泉に浸かることで、血行が促進し、精力が増強される。滋養強壮効果・催淫効果がある


そして――。


「……これ、ちょっと待て」


大地の表情が変わった。


「どうしました?」


「説明の最後に……」


大地はもう一度確認する。


「一時的に、身体の感覚を過敏にする効果があるみたいだ」


「感覚を……?」


エレナが不思議そうに尋ねる。


その瞬間。


「……あれ?」


エレナの頬が赤くなった。


「エレナ?」


「なんでしょう……」


エレナは胸元に手を当てる。


「身体が……少し熱いです」


「え?」


「温泉のせいでしょうか……」


大地も湯の温度を確認する。


普段と変わらない。


それなのに――。


エレナの頬は見る見るうちに赤くなり、太腿の辺りを擦り合わせて、もぞもぞとしている。


「……ダイチさん」


「うん?」


エレナがじっと大地を見る。


「なんだか……体が変です」


「……」


「おかしいですね」


エレナは恥ずかしそうに視線を逸らした。


「さっきまで普通にお茶を飲んでいただけなのに……」


大地はそこでようやく気づいた。


「……エレナもしかして興奮してる?」


「……ぁ、はぁ…はぁ…はぁ」


エレナの目は焦点が合っていないながらも大地の体から目を離さない。


「大丈夫か?」


エレナの肩に触れたその瞬間ーー。


「ーーーーーーーーーーッ!」


エレナの細い体はビクビクと痙攣して、艶のある表情をこちらに向ける。


「……!」


二人の間に、妙な沈黙が流れた。


「……ダ、ダイチさん」


「…あ、あぁ」


「……我慢できません」


エレナは大地の目と鼻の先に立ち、上から覆い被さる様に温泉の中で、抱きついてくる。


エレナの豊かな双丘が大地の胸筋に押し潰され、耳元からは発情した雌の吐息が聞こえる。


ーーピコン。


『温泉効能強化LV:EXを発動します』


『対象者ユモリダイチの精力を大幅に増強します』


「………うおっ!」


大地の下腹部が痛みを覚えるほど凶悪化していることに気づく。


それを見たエレナは、口元がだらしなく開き、大地の耳元で妖しく囁く。


「……ダイチさんも我慢しないでください」


「………ッ!」


ーーぷちんっ!


頭が働いていないのか、それから先の記憶が曖昧になり、次第に視界は暗く、そして、何も見えなくなった。


◇


「………ん…」


大地は朝目覚めると、不思議と自身の体が心地よい倦怠感に包まれていることに気づく。


目を擦り上げながら、周囲を見渡す。


意識がはっきりすると、寝室の布団にエレナと裸で抱き合っており、少し手狭な寝室はなんとも言えない淫靡な香りに満ちていた。


布団はどちらのかもわからない体液で湿り、嵐の過ぎ去った後のように乱れている。


昨日の記憶を整理しようと試みるも、温泉に浸かってからの記憶が曖昧であった。


「………」


「……おはようございます」


「おはよ」


隣のエレナが目覚めて、起き上がろうと試みるも、足腰が立たず起き上がるのにもう少し時間がかかるようだ。


「………えー…昨日……大丈夫だった?」


「………はぃ……とても男らしくて……その……素敵でした」


エレナは薄い掛け布団で目の下まで隠し、赤くなっている。


催淫効果が大地より低かった為、鮮明に覚えているようだ。


「大地さんが覚えていらっしゃらないのなら、使い方をちゃんと調整したほうがいいかもしれませんね」


「……そ、そうだな」


「……ただ……あんな獣のようなダイチさんにまためちゃくちゃにされたいという気持ちもあります」


「………」


エレナは掛布団で顔を隠しながらチラチラとこちらを覗き込んでくる。


「……う、うん……ま、また今度ね」


(うちのエレナがどんどんエロくなってしまっている!誰のせいだ!けしからん!)


エレナについていけるか瑣末な心配を覚えるも、ようやく動けるようになったエレナと部屋の片付けを始めるのだった。


今度ミレッタにも使ってみようと思ったことはもちろん内緒だ。

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