【ミレッタside】看病、そして乙女の決意
サウナ対決が終わった、その日の夜。
「……もうっ! ほんっとに、無茶しやがって!」
ミレッタは、ベッドに横たわる大地を見下ろしながら、頬を膨らませていた。
サウナから出た後、十分に身体を冷まして水分を補給した二人だったが、大地はどうやら、まだ本調子ではなかったらしい。
休憩室でしばらく休んだ後、立ち上がろうとしたところで足元がふらつき、そのままミレッタに支えられることになったのだ。
「だ、大丈夫だって……。ちょっと疲れただけだから……」
「どこが大丈夫なんだよ! 顔、真っ赤だったじゃねえか!」
「いや、それはサウナだから……」
「言い訳するな!」
結局、大地はミレッタの家まで運ばれることになった。
もっとも、運んだといっても、実際には肩を貸して連れてきただけなのだが。
ベッドに寝かせたところ、大地は安心したように目を閉じ、そのまま眠ってしまった。
そして現在。
ミレッタは濡らしたタオルを絞り、そっと大地の額に乗せていた。
「……まったく。父上も父上だけど、ダイチもダイチだよ」
小さくため息をつく。
「何も、あんなになるまで付き合わなくたっていいのにさ……」
言いながら、ミレッタはベッドの脇に腰を下ろした。
大地は静かな寝息を立てている。
普段は何かと周囲に気を配り、困っている人がいれば放っておけない。
温泉宿の仕事だって、自分のことより従業員や客のことを優先してしまう。
そして今日も、そうだった。
『ミレッタのことを、大切に思っています』
サウナの中で、大地が口にした言葉。
思い出した瞬間――。
「~~~~っ!」
ミレッタの顔が、ぼんっと赤くなった。
「な、何なんだよ、あいつは……!」
思わず両手で顔を覆う。
「みんなの前で、あんなこと堂々と言いやがって……!」
しかも、大地はただ自分を大切に思っていると言っただけではない。
自分の仕事を尊敬していること。
これからも一緒にいたいと思っていること。
自分のやりたいことを応援し、困ったときには支えになりたいと思っていること。
その一つひとつを、父親であるタルコフに向かって、真剣な顔で伝えてくれた。
そして最後には――。
『一緒にいたいかどうかを決めるのは、ミレッタ自身です』
「……っ!」
ミレッタは、思わずベッドの上の大地を見た。
「……ずるいだろ、そんなの」
ぽつりと呟く。
自分のことを、誰かの所有物ではないと言ってくれた。
自分の意思を尊重してくれた。
父親に認めてもらうための勝負だったはずなのに、大地は最後まで、自分自身の気持ちを大切にしてくれたのだ。
「……あたし、ちゃんと大切にされてるんだな」
口にしてから、ミレッタははっとした。
「ち、違っ……! いや、違わないけど……!」
誰も聞いていないのに、一人で慌てる。
そして、ちらりと大地を見る。
当然ながら、大地は眠ったままだ。
「……寝てるよな?」
返事はない。
「……よし」
何がよしなのかは、自分でも分からなかった。
ミレッタはそっと身を乗り出し、大地の寝顔を覗き込んだ。
普段は、どこか頼りなく見えることもある。
料理をしているときなど、時々とんでもない失敗をすることもあるし、妙なところで抜けていることもある。
けれど――。
「……こうして見ると、結構いい顔してるんだよな」
すっと通った鼻筋。
穏やかな表情。
少し乱れた黒髪。
そして、眠っているときの無防備な顔。
「……」
ミレッタは、じっと大地を見つめた。
「……いや、待てよ」
何かに気づいたように、目を見開く。
「そもそも、ダイチって結構すごい男なんじゃねえか?」
一度そう考え始めると、頭の中で次々と記憶が蘇ってきた。
温泉宿を作り上げたこと。
仲間たちのために奔走していること。
自分の技術を信頼し、魔道具の開発を任せてくれること。
そして、どんな相手にも真っすぐに向き合おうとすること。
「……うん。やっぱり、すごいよな」
ミレッタは何度も頷いた。
「しかも、あたしのことを尊敬してるって……。一緒にいたいって……」
頬が熱くなる。
「……えへへっ」
口元が、自然と緩んだ。
「そっかぁ……。ダイチは、あたしのことをそんなふうに……」
そこで、ふと想像が膨らみ始めた。
――もしも、これから先もずっと一緒にいられたら。
朝、目を覚ますと、隣には大地がいる。
二人で朝食を食べ、温泉宿へ向かう。
仕事が終わったら、一緒に帰ってきて、今日あったことを話す。
時には二人で温泉に入り、ゆっくりと疲れを癒やす。
そして、夜になれば――。
「~~~~っ!?」
ミレッタは、勢いよく頭を振った。
「な、何を想像してんだ、あたしはぁぁぁっ!」
両手で頬を押さえる。
熱い。
とにかく、顔が熱い。
サウナに入っていたときよりも、ずっと熱い気がする。
「お、落ち着け……! 落ち着くんだ、ミレッタ……!」
深呼吸をする。
吸って。
吐いて。
吸って。
吐いて。
「……よし」
ようやく落ち着いたところで、ミレッタは再び大地へ視線を戻した。
「……でも」
眠っている大地の顔を見つめる。
「……いつか、そうなれたらいいな」
今度は、誰にも聞こえないほど小さな声だった。
ミレッタは、そっと手を伸ばす。
大地の額に乗せていたタオルが、少し温かくなっていた。
「……あ、いけね」
タオルを取り替えようと立ち上がりかけた、そのとき。
「……ん」
大地が、小さく身じろぎした。
「っ!?」
ミレッタの動きが止まる。
「ダ、ダイチ!?」
しかし、大地は目を覚まさなかった。
ただ、寝返りを打とうとしただけらしい。
「……な、何だよ。びっくりさせんなよ……」
胸を押さえ、ほっと息を吐く。
そして、何気なく大地の様子を確かめたときだった。
「…………」
ミレッタの視線が止まった。
寝具の下で、大地の身体が思いがけない反応を示していることに気づいたのだ。
「…………」
数秒間、沈黙。
「…………え?」
ミレッタは、ゆっくりと自分の顔に手を当てた。
「……う、うそだろ……?」
もちろん、眠っている大地に悪気などあるはずもない。
生理的な反応なのかもしれないし、本人だって気づいていないのだろう。
それは分かる。
分かるのだが――。
大地の大地は天をめがけて雄々しく勃ち上がっていた。
「……っ、~~~~っ!」
ミレッタの顔が、再び真っ赤に染まった。
「な、何で今なんだよぉぉぉっ……!」
思わず小声で叫ぶ。
起こしてしまわないよう、慌てて自分の口を押さえた。
「……落ち着け。これは、その……男なら、あることなんだろ? うん、そうだ。別に変なことじゃない……!」
誰に向かって説明しているのか。
自分でも分からない。
しかし、いったん気づいてしまうと、どうしても意識してしまう。
「……ダイチ……」
そっと名前を呼んでみる。
返事はない。
穏やかな寝息だけが聞こえてくる。
ミレッタは、しばらく迷うように視線をさまよわせた。
そして――。
「……あたしだって」
小さく呟く。
「……ダイチのこと、好きなんだからな」
誰も聞いていない。
だからこそ、言えた言葉だった。
大地が自分を大切に思ってくれていることは、今日、十分すぎるほど伝わった。
ならば。
自分だって、大地のことを大切にしたい。
いつも自分を支えてくれる大地に、今度は自分が何かをしてあげたい。
その気持ちは、嘘ではなかった。
ただ――。
「……うぅ……」
ミレッタは、真っ赤な顔のまま、ぎゅっと拳を握った。
「……よし」
小さく頷く。
「……今日は、あたしがダイチを楽にしてやるんだ」
言い切った瞬間、心臓が大きく跳ねた。
「……っ!」
本当に、そんなことができるのだろうか。
いや、できるかどうかではない。
自分がそうしたいと思ったのだ。
それなら、あとは勇気を出すだけ――。
「……いや、待て待て待て!」
ミレッタは、ぶんぶんと首を振った。
「いきなり何をするつもりなんだ、あたしは! まずは、ダイチの体調が戻るのが先だろ!」
そうだ。
今は看病中なのだ。
大地が元気になることが、何よりも大切である。
「……でも…このままじゃ苦しい…よな…?」
自分に言い聞かせるように頷いた。
もぞもぞとシーツを捲り、大地の浴衣をはだけさせると、雄々しく屹立したものが顔を出す。
「……今日は…あたしに任せろ…」
ミレッタは熱っぽい瞳を向けて、艶めかしい舌で一生懸命に下から上に舐め上げる。粘質性のある唾液を少しずつ舌に乗せて、塗りたくってゆく。
「……ちゅ…ずずっ…んちゅ…んっ…」
頭頂にある入口に舌先を這わせて、ちろちろと刺激を与えると、大地の腰が浮いてくる。
「…らいひ…ひもひぃの?」
涎でてらてらと淫靡に濡れて聳え立つものは硬さを増してどくどくと脈打っている。
ミレッタは自分の浴衣を脱ぎ捨てて、大地の横に添寝し、大地の濡れそぼった秘部を右手で包み込んで優しく上下に扱く。
にちゅにちゅと淫猥な水音を立てながら、右手の中のものは硬くなり、頭頂部は肥大化してゆく。
ダイチの胸元に顔を埋め、恍惚の表情を浮かべながら、胸元で見つけた桜色の先端へと舌を這わせる。自分の唾液を舌で少しずつ掬って先端をマーキングする様に塗りたくる。
「……ちゅ…んはぁ…ちゅっ…んっ…」
控えめな双丘を押し付けながら、舌で桜色の先端を舐り、右手の上下運動の速度を少しずつ加速させると、大地の腰が浮いてくる。
「……らいひ…れほうらの…?」
ミレッタは大地の秘部の屹立さたものを小さな口一杯に咥え込んで、頭を上下に振り乱し始める。
「……んっ…んくっ…おおひぃ…ぢゅぽ…」
何度も喉奥に当たり、目元からは涙が浮かんでくるも、動きは緩めるどころか速くなってゆく。
「……んっ…ぢゅっ…んくっ…んはぁ…」
口内は暴れ回る大地に犯されて、悦んでしまう自分自身に背徳感を覚えながら、少しでも気持ちよくなってほしいという献身的な気持ちが上回る。
「……らひて……いっはぃ…」
「…んっーーーーーーーーーッ!」
口の中で痙攣を繰り返して暴れる大地を必死に押さえつけて、喉奥に叩きつけられる精を最後の一滴まで搾り出す。
「……んっ…はぁ…んくっ…んくっ…ん…」
喉奥に放たれた白濁とした精を溢さないように飲み干して、鼻に抜けるむせ返るような雄の香りに興奮を隠せない。
「……んっ…ぢゅる…ちゅっ…んくっ…ぢゅぽ…」
涎と精で汚れてしまった愛らしいものを綺麗に掃除するように献身的に舐め取っていると、鎮まるはずがまた精気を取り戻し始める。
「……あ…れ…?…まだ足りないのかな…?」
ミレッタはいけないと思いつつも秘部の疼きを感じる。恐る恐る手で触れてみると、見たこともない程に濡れそぼっていた。
「……あたし…どうしちゃったんだろ…」
ーー頭が回らない。
ーー今度はこっちに欲しい。
横たわる大地に脚を開いて跨り、自分の秘部と大地の秘部を擦り合わせ、花弁の奥から分泌される甘美な蜜を塗りつける。
「……んはぁ…ぁん…はぁ…んっ…はぁ…」
卑猥な音が部屋に響き渡り、呼吸は荒くなり、潤ませた瞳は大地の秘部から目が離せない。
「……まだ…出したぃ…よ…ね?」
ミレッタは右手で硬く屹立した大地の秘部を掴み、自分の腰を浮かして、花弁の入口に充てがいーーーーー深く腰を落とした。
「ーーーーーーーーーーッ!!」
痙攣しながら上半身を反らせることで、急な快楽に踏み止まる。狭い恥肉を難なく貫いてくる逞しさに寒気と快感を覚える。
「……あっ…はぁあ……ぁん…はぁ…」
脚を広げたまま、ゆっくりと上下に腰をグラインドさせてゆく。中は色々な汁が合わさって潤滑油となり、次第にスムーズになる。
「……ぁあ…腰…とまら…なく…なっちゃ…」
視界には火花の様なものを散らし、頭の中は快楽のことしか考えられない。淫靡な水音が部屋に響き渡り、杭打ちをするように腰を激しく上下に振り乱し、淫魔に転生したかのように搾精を急ぐ。
「ーーーーーーーーーーッ!!」
ガクガクと身体を痙攣させて、大地の胸元に倒れ込んで、余韻を楽しんでいると、双臀を両手で掴まれて持ち上げ、大地の腰が上へと何度も突き上がり始める。
「ーーーーーッ!?…ダ、ダイチ…?待って!今動かれると……っ!」
ミレッタの秘部の花弁から勢いよく飛沫が上がる。
「あぁぁぁあんっ!!」
大地は築き上げる腰を一才緩めない。それどころか、快楽を求めて速度を増してゆく。
「待って!ら、らめ!い、今イッてるからぁっ!」
痙攣を繰り返しながら、花弁の恥肉以外の筋肉を弛緩させ、だらしなく大地の身体に倒れ込むも大地は止まらない。
「……んちゅ…んっ…ぢゅ…んっ…んはぁ」
ミレッタの艶めかしい矯声を唇で封じ、口内と花弁の中の口内を蹂躙してゆき、双臀を掴む手に力を込めて、思い切り奥まで貫いて、さらにその最奥に白濁の印を刻み込んだ。
「「ーーーーーーーーーーーーッ!!」」
力なく崩れ落ちるミレッタを優しく抱き留め、汗だくになった二人の身体は張り付いて離れない。
「……ミレッタ…大丈夫か?」
「……ダ、ダイチ…ごめん…起こしちゃったね」
「……看病してくれたんだな…ありがとう…」
「…当たり前じゃん……愛してるからな」
「俺も愛してるよ…ミレッタ…」
大地は吐き出して楽になったのか、再び深い眠りに落ちた。
◇
濡らしたタオルをもう一度絞り、そっと大地の額へ乗せ直す。
「……早く元気になれよ、ダイチ」
ミレッタは、優しく微笑んだ。
眠っている大地の手を、そっと握る。
その手は、いつもと変わらず温かかった。
ミレッタはしばらくその手を握り続けていたが、やがて、はっと我に返った。
「……って、あたし、何やってんだよ……!」
慌てて手を離す。
けれど、その口元には、どうしても笑みが浮かんでしまう。
大地が目を覚ましたら、どんな顔をすればいいのだろう。
いつもどおりに話せるだろうか。
それとも、顔を合わせただけで真っ赤になってしまうのだろうか。
「……ま、何とかなるか!」
ミレッタは、いつもの調子で胸を張った。
ただし、その顔はまだ赤いままだった。
そして――。
ベッドの上で眠り続ける大地の隣で、ミレッタは冷たいタオルを手に、もうしばらく看病を続けることにした。
今はまだ、ほんの少しの勇気しかない。
それでも。
大地への想いは、確かに一歩、前へと進んでいた。




