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失われた愛の花
「俺たち、もう一度やり直さないか?」
白い花のチューリップの花束を差し出して元カレはそう告げた。
花束を見下ろして無言になる。
彼は何を考えて復縁の申し出に白いチューリップの花束を差し出したのだろう?
彼自身も気づいているのではないだろうか?
そんなことは有り得ないと。
だからこそ白いチューリップだけの花束をこうして差し出しているのではないだろうか?
白いチューリップの花言葉は「失われた愛」。
とっくに気づいているのではないの?
緊張した面持ちで私を見上げる彼にきっぱりと告げる。
「悪いけど、無理ね」
「何でだ? 俺たちあんなにうまくいってたじゃないか」
「そうね。あの頃は」
「だったら!」
「無理よ。あの時の気持ちは失われてしまったのよ」
「そんな」
がっくりと項垂れる彼を前にしてももう心が揺れることはない。
確かに付き合っていた頃は彼を愛していた。
だがその愛はもう失われてしまった。
今さら遅い。
失われた愛は二度と戻りはしないのだ。
読んでいただき、ありがとうございました。




