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小さな花の物語  作者: 燈華


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しとやかな人の花

花壇では綺麗に花が咲いている。

どうやらこの花壇はプリムラシリーズでまとめてあるようだ。

その中で一際目立つ花がある。


背の低い花の中でそれだけは花茎が長く、いくつもの花がまとまって咲いている。

花の立ち姿が綺麗だ。

名前を確認するとプリムラ・オブコニカとある。


彼に話しかけようと振り向きかけた時に一人の女性に目が留まった。

一人だけ、そう身のこなしが違うのだ。

だから目を引いた。


それが分かれば興味も()せる。

だから彼に話しかけるために振り向き、動きが止まった。


彼が、その女性を見ていた。

じっと、瞬きもせずに、一心に。

その瞳に熱があるように見えるのは気のせい、であってほしい。


だから何気ない調子で声をかける。


「しとやかな人、ね」

「うん、あ、うん、そうだね」


彼は我に返ったようだ。

それから気まずげに私から視線を逸らす。


見惚れ、いえ、心惹かれた自覚があるのだろう。

私が傍にいることも忘れて。

だから後ろめたく感じた。


でも仕方ないことだ。

あれだけしとやかな人は一般人の中では目を引く。

他のプリムラシリーズの中にあって、すっと伸びた立ち姿で目を引くプリムラ・オブコニカのように。


「行こうか?」

「ええ」


もう花のことについて話す気は()せていた。

並んで歩き出す。

いつもなら手を繋ぐのに、今は手を伸ばされることもない。


一滴だけ心に黒い染みが落ち、じんわりと(にじ)んだ。


読んでいただき、ありがとうございました。

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