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小さな花の物語  作者: 燈華


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暗い悲しみと嘆きの花

目的地もなくただ歩いていく。

今は一人になりたかった。

足を止めてしまったら胸の中の悲しみに絡め取られて二度と立ち上がれなくなってしまいそうで、無心に足を動かす。


すれ違う人がさっと道を空けるように避けてゆくが気にならなかった。

そんな余裕はなかった。


不意に明るいオレンジ色の花が視界に飛び込んできた。

金盞花(きんせんか)だ。

こんな時に。


明るいオレンジ色なんて元気の象徴のような色だ。

今の私の心境と真逆の色。


花言葉まで思い出してしまう。

こんなに明るい色の花なのに花言葉が「暗い悲しみ、嘆き」だなんて信じられない。


こんなどうしようもなく辛くて悲しい時に元気を象徴するようなこんな花、見たくもない。

ふいっと顔を(そむ)ける。


不意に金盞花のような彼の笑顔が思い出された。

もう無理だった。

その場にしゃがみこむ。


明るい太陽な笑顔も。


「大嫌い」


私の名前を呼ぶ優しい声も。


「大嫌い」


私の我が儘を困った顔をして結局は聞いてくれるところも。


「大嫌い」


よく頑張ったってよしよしと頭を撫でてくれるところも。


「大嫌い」


何でも器用にこなせる癖に料理だけは何故か失敗続きで、焦がしては落ち込んでいた姿も。

何度注意してもソファで気持ちよく眠ってしまうところも。

私を愛していると言ったことも。

みんな、みんなーー


「……………………大好き」


膝に顔を埋める。

後から後から涙が溢れて止まらない。


ずっと一緒だと言っていたのに。

約束もしたのに。

それなのに。


「何で、私を、置いて、逝っちゃったの……」


返る言葉はない。

嗚咽を洩らしながら涙の流れるままにただただ泣き続けた。

読んでいただき、ありがとうございました。

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