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小さな花の物語  作者: 燈華


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誠実の花2

彼は今ひとり旅をしている。

定期連絡だけはして、とそれだけ約束させて送り出した。


約束通り行った先々で彼は写真を送ってくる。

元々文章を書くのは苦手なのでほとんど文章など書いてこない。

生存確認のための儀式だった。

それを欠かさずにしてくれることこそが彼の誠実さを表している。


疲れたりいろいろあったりしてすぐに送ってこなくなると正直思っていた。

だけど律儀に二、三日に一度はこうやってきちんと送ってくる。


今回送られてきたのはノースポールの花の写真。

写真だけだ。


「これじゃあどこにいるかわからないじゃない」


とりあえず写真が送れる状況にいるということだけは確かだ。


「せめて元気だとかくらい書いてきてほしい」


あるいは、元気か? と訊くのでもいい。

いくら文章を書くのが苦手でもそれくらいは書けるだろうに。


はぁと溜め息をついて文字を打ち込む。


『綺麗ね。

私は元気よ』


そう返事を返しておく。

それだけでもきっと彼は安心するだろうから。


余計な心配はかけたくない。

律儀に連絡だけはくれるからこそ憂いなく旅を続けてもらいたかった。


本当は。

願うことは一つだけだ。


写真を送ってくれなくてもいい。

言葉なんてなくてもいい。

ただーー


「無事に帰ってきてね」


祈るように写真の向こうにいる相手に告げた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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