秘密の愛の花
その家の庭にはミモザアカシアが植えられており黄色の花を咲かせていた。
その家に私は月に何度か顔を出す。
ここは姉夫婦の家だ。
ただ姉は五年程前に病気で亡くなっている。
仲のいい夫婦だった。
羨ましいくらい。
だから姉が亡くなって気落ちしているのではないか、後を追おうとするのではかいかと心配になって義兄の元を訪れるようになった。
二人の間には子供もいなかったから。
ちゃんと食べているか心配で、と食料の入ったエコバッグを見せれば義兄は苦笑して中に入れてくれる。
私は必ず姉の位牌に線香を上げてから料理に取りかかる。
それを向かい合わせに座って食べるまでがいつもの流れだ。
義兄は姉が亡くなってから無口になった。
ほとんど会話のない食卓でただ黙々と食事をする。
まるで長年連れ添った夫婦のようだ。
そんな思いが込み上げては苦い気持ちになる。
私は義兄のことが好きだった。
姉が生きている時から。
私は独り身だからこれは不倫ではない。
だからといって告げるつもりはない。
そんなことをしたら二度と会ってはくれないだろう。
義妹だからこそこうして食卓を共にしてくれているのだ。
それでいい。
それだけでいい。
それ以上は望まない。
会えなくなるより、ずっといい。
義兄は亡くなった姉を今でも深く愛している。
だからこの気持ちは絶対に知られてはならない。
秘密の愛だ。
読んでいただき、ありがとうございました。




