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小さな花の物語  作者: 燈華


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あなたをとらえるの花

「ねぇ、これかな? 錨草(いかりそう)


隣から彼が図鑑を覗き込む。

それからスマホの写真と見比べて頷いた。


スマホの写真は何の花かわからないから調べるために撮ってきただけで、普段は一眼レフのカメラを使っている。

ネットで検索してもよかったのだがそれでは面白くないと図鑑で調べることにしたのだ。


「たぶんそうだと思う」


ついでだとふんふんと解説を読む。


「花言葉は"あなたをとらえる"だって。写真家向きだね」

「何で?」


彼は訝しげだ。


「え、だって被写体であるあなたを捉えるってことでしょ?」

「いや、違うだろう。捕まえる、拘束するって意味だと思うぞ」


呆れたように言われる。


「え?」

「花言葉にそんなピンポイントな言葉があるはずがないだろう」

「そうかな?」

「そうだよ」

「ええー、そっか。残念」

「何で残念なんだよ?」

「んー。」

「んーって何だよ?」

「まあ、うまく撮れるようにお守りにしようかなって思っただけ」


何故か疑わしげに見られる。

眉を寄せて「何?」と訊けば緩く首を振られる。


本当に何なのか。

だけどまあいい。


「まあいいや。待ち受けにしとこ」


さっと設定する。

あなたを捉えて、捕らえる。

そんなお守りのように思いながら。


ちらりと彼を見る。

そんなことを考えていたなんて悟らせるわけにはいかない。


「何だ?」

「何でもない。ついでだから他の花も調べておこうよ」

「そうだな」


彼は図鑑をめくり始める。

その真剣な顔に心の中のカメラを向ける。

そしてそっと心の中で呟いた。


ーーあなたをとらえることができたら。




読んでいただき、ありがとうございました。

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