愛らしさの花
雪柳の下に隠れてちょこんと顔だけ出した愛らしさ全開のうさぎのイラスト。
身悶えしてしまうほどに可愛い。
「どう?」
無言で身悶えていたわたしは彼に視線を向けて端的に言った。
「天才すぎるでしょ」
彼はくすぐったそうに微笑う。
「ふふ、ありがとう」
「どうしたらこんなイラストが描けるの?」
たくさん練習したから?
こういうものが好きだから?
たくさん可愛らしいイラストを見てきたから?
わたしに思いつくのはそれくらいだ。
彼は何と答えるだろう?
ちょっとだけわくわくしながら答えを待つ。
「君が喜んでくれる姿を想像して描いているんだ」
「へ?」
「君はこんなふうな絵が好きかな、って試行錯誤しているんだ、これでも」
「え? えぇぇぇっ!」
驚きのあまり声を上げてしまった。
そんなわたしに彼は微笑する。
「僕は君のために絵を描いているから」
ぽかんとしてしまう。
彼の絵がわたしのため?
「え、何で?」
素で訊いてしまう。
「好きな子の笑う顔が見たいと思うのは当然じゃない?」
「え、好き?」
「うん、気づいてなかった?」
「え、あ、まさか、ちっとも。だって、ずっとわたしの片想いだとばかり……」
彼が破顔する。
「僕の絵は全部君に捧げるからずっと一緒にいてくれる?」
「そんなことをしてくれなくても一緒にいるけど。一緒にいたいし」
「やった。でも僕の絵は全て君のものだよ」
それは確かに嬉しい。
でも。
「あなたの絵をわたしだけが独占するのは勿体ない」
「僕は別に気にしないけど、そうだね、じゃあSNSにでも上げようかな」
「うん」
それならたくさんの人が彼の絵を楽しむことができる。
ああ、でもーー
「でも、一番にわたしに見せてくれる?」
それくらいの独占欲なら、いいよね?
「もちろんそのつもりだよ」
当然のように言われてにまにましてしまう。
「約束だよ」
右手の小指を差し出せば。
「うん、約束」
彼は自身の右手の小指を絡めて、約束してくれた。
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