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小さな花の物語  作者: 燈華


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きまぐれな人の花

彼はきまぐれな人だ。


近寄ってきたと思ったら離れていく。

懐いたと手を伸ばせば、するりとその手を躱して笑う。


まるで猫のよう。

懐きそうで懐かない。


そんな彼に私は翻弄されている。






日当たりのいいベンチの上で丸まって眠る彼を見つけた。

ここは彼のお気に入りの場所だ。

そんなところも猫っぽい。


静かに眠る彼の横にそっと座る。

彼は目を覚まさない。

信用はされているのだろう。

そうでなければ飛び起きたはずだ。

彼は気配に(さと)い。

そのようなところも猫に似ている。


私は眠っている彼を眺めた。

近くでワックスフラワーの花が揺れている。

まるで猫じゃらしが猫を誘うように、彼を誘っているように見えるのは私の心のせいだろう。


「貴方にとって私ってどんな存在?」


彼が眠っているからこそこぼれた言葉だった。

だから当然返る言葉はないはずだった。

それなのにーー。


「俺の好きな人」


答えが返って驚く。


「え……?」


慌てて彼の顔を覗き込む。

彼は目を開けて微笑(わら)った。

寝起きという様子はない。


「な、寝てたんじゃあ……?」

「君の気配で目が覚めた」


まさか聞かれているとは思わず恥ずかしい。

乗り出していた身を引っ込めて小さくなる。

彼は身を起こして下から私の顔をのぞきこんできた。


「君こそ」

「え?」

「俺は君にとってどんな存在なの?」


その目がとても真剣で、誤魔化すことなんて考えられない。


「あ……えっと、」

「うん」

「私の、好きな人」


告げた途端、それはそれは嬉しそうに彼が微笑(わら)った。

私は恥ずかしさに顔を両手で隠した。


そんな私にお構い無しに彼は私を抱きしめてくる。

顔は見えなくとも上機嫌なことは伝わってくる。

私はもういっぱいいっぱいで顔を覆ったまま彼に抱きしめられていた。


きっとこの先も彼に振り回されるのだろう。

でも、それは、嫌ではない。


読んでいただき、ありがとうございました。

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