高貴の花
年齢が上がるに連れて遠巻きにされることが増えた。
いじめとかではない。たぶん。
「近寄りがたく思ってるんだよ」
「何で? 顔がきつい?」
思いつくのはそれくらいだ。
彼は緩く首を振る。
「なんか高貴な者の雰囲気を持っているんだよ」
「何それ。私はごく一般的な家庭で生まれ育った一般人よ?」
「それはわかってるけどな。何となく雰囲気が、な。近寄りがたい」
理解できない。
「それに親しくなればお前がごく一般的な思考を持つ一般人だとわかるが、その前はやっぱりどこかいいとこのお嬢様って思うんだよな」
思わず眉根を寄せる。
「誤解されているわ」
「仕方ないだろう。見た目や雰囲気での判断というのはどうしてもしてしまう」
その理屈はわかる。
だけど我が身のこととなると納得できない。
「まるで君子蘭のようね」
「君子蘭?」
「オレンジ色の花が集まるようにして咲く植物よ。蘭って名前についているけど本当はヒガンバナ科なのよ」
「へぇ、後で調べてみる」
「好きにするといいわ」
「そういうところが気位が高く見える要因でもあるんだぞ」
そんなことを言われてもこれが素だ。
そちらがそう言うのなら乗ってやろうじゃない。
「お腹が空いたわ。何か食べたいわ」
つんと顎を上げて言う。
苦笑した彼はすぐに真面目な顔になる。
「仰せのままにお姫様」
彼はわざとらしく胸に手を当てて頭を下げる。
エスコートするように差し出された手に手を重ねると優しく握られた。
顔を上げた彼が微笑む。
「行こうか」
「ええ」
そのまま手を引かれて歩き出した。
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