失望の花
ーー失望された。死にたい。
ずんと落ち込んで中庭の片隅でしゃがみ込んでいた。
その一帯には青紫色の小さなベルのような花をたくさんつけたようなムスカリが群生している。
この花を見ていると妙に落ち着くから何かあればここに来ていた。
つんとムスカリをつつく。
「君も可哀想にね。失望なんて花言葉つけられちゃって」
つんつん。
「でもこんなに可愛い花なのに何でそんな花言葉をつけられちゃったんだろうね」
悲しみ、とかならわかる。
どことなく悲しい色をしているから。
でも、失望なんて。どんな意地悪だろう。
失望なんてしんどい。
失望されるなんてもう立ち上がりたくないくらいにしんどい。
不意に後ろから抱きしめられた。
振り返らずともわかる。彼だ。
「泣いてる?」
「……泣いてはいないよ」
「よかった」
彼に離してもらって立ち上がる。
恐る恐る振り向いて彼の顔を見る。
彼は心配そうに私を見ていた。
その瞳のどこを探しても失望の色は見つけられなかった。
でもまだ信じられず、恐る恐る訊く。
「失望したんじゃあ……?」
「あれくらいで失望しないよ。落ち込んでるかと思って。はい」
渡されたのは私が好んで飲んでいるミルクティーだ。
「ありがとう」
「それ飲んだら戻ろう? 一から練り直しだ」
「……うん」
私は両手で包み込むように缶を握って頷いた。
彼の気遣いがただただ嬉しかった。
読んでいただき、ありがとうございました。
字面からペットボトルではなく缶にしました。




