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小さな花の物語  作者: 燈華


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熱望の花

スマホでネットニュースをだらだらと見ていた。

大した興味もないのに次々と見ていく。

楽しくもないのに指が止まらない。


その指がぴたりと止まった。

突然のアイドルの休養宣言の記事だった。

思わずその記事を真剣に読んでしまう。


精神的に参ってしまっての休養宣言。

それは実質の引退宣言ではないだろうか。

本人が望もうが望むまいが。


『復活を熱望される』


その一文に「嘘ばっかり」と呟く。

本当に望んでいるのは何人いるのか。

凄い深いファンくらいじゃない?


そりゃあ今は望んでいるファンは多いだろう。

休養宣言したばかりなのだし。


でも月日が経ったら?

いつまで経っても復帰してこなかったら?

それでも待つファンはどれくらいいるのだろう?


待つファンも、覚えているファンもだんだんと減っていき、いずれは忘れ去られていく。

ーー私のように。


最近事務所から連絡が来ない。

事務所にも見放されたのだろう。


棚の上に置いたレナンセラの鉢を見る。

あの鉢をくれた人がいた。

事務所に届けられたものだけど、邪魔になるから持って帰るか処分するか、と言われて持ち帰ってきた。

初めの頃からのファンの男性からだったから。


きっと彼も私のことなど忘れているだろう。


何となくスマホを向けて写真を撮った。

写真を確認する。なかなかうまく撮れた気がする。


ふと魔が差した。

事務所に言われて始めたSNSに久しぶりに接続し、レナンセラの写真をアップした。


『いただいたレナンセラは今日も元気です』


特定のファンに向けるようなメッセージは避けるように言われていたのに。

アップしてから思い出したがまあいい。

どうせ誰も見ていない。

事務所だってチェックなどしていないだろう。


ぽいっとスマホを投げ出そうとした時、ぴこんと軽快な音がした。

スマホを見ればコメントがついている。

SNSに繋げたままだった。


見るのが怖いと思う間もなくコメントが目に入る。


『育ててくださってありがとうございます。

貴女が元気そうでよかった。

いつまでもお待ちしています。


永遠のファンより』


いいね、も押されている。


ぽろりと涙がこぼれた。

そのまま膝に顔を埋めて泣き続けた。



読んでいただき、ありがとうございました。

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