多忙の花
結婚を考える彼と同棲を始めてそろそろ半年が経つ。
お互いに多忙な日々を送っている。
私のほうはそろそろ落ち着きそうだけど彼はまだ当分忙しそうだ。
食事もなかなか一緒に取れない。
今日も夕飯はいらないと連絡が来ていた。
夕飯を一人で取り、リビングでくつろいでいると、玄関のほうで扉の開閉音がした。
「ただいま」
玄関から聞こえた声に言葉を返す。
「おかえりー」
彼がリビングに入ってきた。
「お疲れさま」
「君もね」
「ありがとう」
「着替えてくるね」
「ええ」
彼がリビングを出ていった。
着替えて戻ってきた彼に話を振る。
「そういえば、この写真なんだけど」
スマホを操作して写真を見せる。
風船唐綿の実をアップにした写真。
今日の昼休みに彼が送ってきた写真だった。
「その写真がどうかした?」
「ん、どうしたのかなって。急に送られてきたからびっくりしちゃって」
本当に写真だけ送られてきただけで何の文もなかったのだ。
「なんか可愛いな、って思って。俺が和んだから送ってみた」
「私も和んだわ。無意識に微笑っていたみたいで後輩ににやにやと微笑われてしまったのよ?」
何か勘違いされたような気がする。
私も敢えて訊かなかった。
からかわれるのはごめんだった。
彼は微笑む。
「君が和んでくれてよかった」
そのほんわかとした笑顔こそ私の癒やしだった。
私の顔にも自然と微笑みが浮かぶ。
「ええ、ありがとう」
「どういたしまして」
「お茶飲む?」
「うん、もらおうかな。君ともう少しお喋りがしたい」
その気持ちが嬉しい。
「私もよ。ちょっと待ってて」
私はお茶を淹れるために立ち上がりキッチンへと向かった。
読んでいただき、ありがとうございました。




