黒い瞳の花
黒い円らな瞳で私を見つめてくれる。
その黒い瞳に見つめられるときゅんきゅんしてしまう。
いつまでだって見つめ合っていたい。
この子は私の"推し"だ。
「本当に好きだねぇ」
「うん、大好き」
見つめ合ったまま彼に答える。
この瞳に夢中で目が離せない。
つんつんと袖を引かれる。
「ねぇ、僕とどっちが好き?」
そんなことを問わせるほどに不安にさせてしまったのだろうか?
彼に視線を向ける。
「嫉妬してる?」
「うん、してるよ。僕と一緒なのにずっとそいつに夢中なんだもん
」
即答されてしまった。
しかもそいつと来た。
「くまのぬいぐるみだよ?」
「だから何? 僕といる時くらいそいつより僕を優先して」
これは相当拗ねている。
でもそれもそうか。
せっかく会えたのに恋人がくまのぬいぐるみに夢中だなんて文句の一つや二つ言いたくもなるだろう。
これは私が悪かった。
「ごめん」
ジト目で見られる。
「ちょっと待って」
くまのぬいぐるみをツンベルギアの鉢の隣にそっと置く。
二人……二体は仲良しなのだ。
ああ、いつまでも見ていられる。
だけど、今は彼の相手をすることが先決だ。
ぐっと視線をそらして彼の傍に寄る。
彼はそっぽを向いている。
精一杯の拗ねているアピールだろう。
何か可愛くなってしまい、そっとその頬にキスをした。
「なっ……! そ、そんなことで誤魔化されないから!」
ばっと勢いよくこちらを向く。その頬が赤くなっている。
「えっと、誤魔化すつもりはないけど」
「じゃあどういうつもりなの!?」
「えっと、可愛いなぁって」
正直に言えば、彼が軽く跳ねた。
「可愛いって可愛いって!」
さすがに可愛いと言われるのは嫌だったのかもしれない。
つんと再び彼はそっぽを向く。
「まあ、別にいいけど」
あ、いいんだ。
ぱっと彼が私を見る。
その勢いに思わずのけぞった。
「とにかく! 今からは僕に付き合ってもらうから!」
「うん」
やっぱり可愛いなぁと思いながら私は頷いたのだった。
読んでいただき、ありがとうございました。




