ひかえめな人の花
最初の印象はひかえめな人、というものだった。
たとえるなら秋の野芥子のような。
付き合っていけばその実面白い人だということもわかってくる。
そのギャップに私は完全に落ちてしまった。
彼を知れば知るほど深みにはまっていく。
気持ちはどんどん膨らんで、とうとう溢れた。
「好き」
「え、僕?」
心底驚いている。
まるで自分が人から選ばれるとは思っていないような。
「うん。あなたが好き」
彼は驚き固まっている。
思わず彼の顔の前で手を振る。
「え、あ、ごめん。びっくりしちゃって」
「まあ唐突だったし」
「あ、まあ、それもあるけど、でも、僕でいいの?」
「あなたがいいの」
ぽんっと彼の顔が赤くなる。
これは、脈あり、だろうか?
ちらちらと彼が私を見る。
何だか私も緊張してきた。
意を決したのか、彼が赤い顔のまま、私を真っ直ぐに見た。
「あ、あの、僕も、君が好きだよ。こんな僕でよければ、恋人になってください!」
何故か頭を下げて片手を差し出された。
「はい、喜んで」
そっと手を取る。
ぎゅっと握られて、彼が顔を上げる。
嬉しそうな笑顔だ。
その笑顔に、今度は私のほうが照れて顔を赤くしてうつむいた。
足元では彼のようだと思っている秋の野芥子が風に揺らめいていた。
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