清浄無垢の花
茉莉花を使ったお茶を飲む。
まあジャスミンティーなんだけどね。
彼が茉莉花茶と言っていたから気づけばそちらが先に思い浮かぶようになっていた。
ジャスミンティーがポピュラーなのに。
まあ別にいいけど。他の人相手に気をつければいいだけのことだ。
ふぅと息を吐く。
ゆるゆると心がほどけていくようだ。
彼がやってきた。
「茉莉花茶? 僕ももらっていい?」
「どうぞ」
来るかと思って彼の分も用意してあった。
冷めてしまうかも、と注いでいないだけだ。
「ありがとう」
彼がティーポットから自分でカップに注ぐ。
それから向かいの席に座った。
「何か空気がいいね。清浄無垢って感じ」
首を傾げた。
「ごめん。よくわからない」
んーと彼も首を傾げる。
それからあっという顔になった。
「君がいるからかな?」
ますます意味がわからない。
ますます首を傾げた。
「うん、きっとそうだ」
私の反応など気にせずに彼はうんうんと頷いている。
彼はそう、こういうちょっと変わったところがあるのだ。
そういうところが敬遠されたりしてしまうのだけど、私はまあ、惚れた弱みだ。
彼は周りから浮いていたとしてもあまり気にした様子はなかった。
「僕は君の傍にいる時が一番落ち着くよ」
不意に彼がそんなことを言った。
「え?」
「うーん、だからそんなふうに感じるのかもしれない」
それは、何だか嬉しい。
だけど照れくさい。
「うん? どうかした?」
「な、何でもない」
私は慌ててうつむいてじわじわと赤くなる顔を隠した。
だから彼がどんな顔をして私を見ていたのか、知る由もなかった。
読んでいただき、ありがとうございました。




