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小さな花の物語  作者: 燈華


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恋の悩みの花

何となく中庭にある秋海棠の花を眺めていた。

男友達が物憂げな溜め息をつく音が聞こえて振り向く。


「恋の悩み? よかったら話聞くよ?」

「そう? じゃあ聞いてくれるか?」

「え、あ、本当に? もちろんだよ。聞かせて」


まさか本当に恋の悩みだったとは。でも真剣に話を聞かなくちゃ。

私は傍に寄り、真剣な眼差しを彼に向ける。

彼は深刻な様子で口を開く。


「好きな子に気持ちがまったく伝わらないんだ」

「アピールが足りないんじゃない? 想っているだけじゃ何も伝わらないよ?」


エスパーか悟られでなければ伝わるはずがない。

彼は緩く首を振る。


「周りの人間みんな俺の気持ちを知ってるくらいアピールしてるんだけどな」

「え?」


私は知らないんだけど。


「うん、君は気づいてないだろうな」

「ん?」


つまり、私と彼の好きな子以外は知っているってこと?

それはそれで何だかもやもやする。


「俺、そんなに駄目かな? 女の子から見て眼中にない?」

「え、そんなことないと思うよ。かっこいいし、優しいし、よく気のつくし、頭いいし、それなのに一緒にいて楽しいし」


はっきり言えばモテ組だろう。

そんな彼に自信を喪失させる女の子は本当に誰なんだろう?

彼は嬉しそうに微笑(わら)った。


「ありがとう。俺何か好感触だな」

「当然だよ。私だったら告白されたら付き合っちゃうよ」


ついそんなことまで言ってしまう。

私なんかに言われても彼には意味はないのに。

好きな子以外に言われても仕方ないことだ。

誤魔化すように勢いよく訊いてしまう。


「それで貴方の好きな子って誰なの?」


彼はもうどうしてそこまで嬉しそうなんだろうっていうくらい満面の笑みだ。


「君だよ。ずっと好きだった。だから付き合ってくれる?」

「え? あ、うそ……」


予想もしていなかったことに私は思考が停止した。


「ホント。みんなに知れ渡っているくらい君が好きだ」


あわあわとパニックになる。

だけど顔は真っ赤で、もう声も出せない。


そのままうつむいて、ようやく「うん」と言えたのはそれからしばらくしてのことだった。




読んでいただき、ありがとうございました。

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