↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな花の物語  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

290/312

高潔の花3

曲がったことが大嫌い。

困っている人がいれば手を差し伸べずにはおれない。

そして口許にはいつも穏やかな微笑みを浮かべている。


彼はそんな人だ。

高潔な魂というのはきっと彼のようなことをいうのだろう。


そんな彼の傍にいるのは時々苦しい。

あまりにも自分が矮小な存在かと思い知らされるから。


それをついぽろりと彼に言ってしまった。

気まずくてぼんやりとベランダに視線を向ける。


ベランダにはポットマムの鉢が並べられている。

色々な色があるから見た目にも賑やかだ。


「僕は別にそんな高尚な存在じゃないよ」


その言葉に彼のほうに視線を向ける。


「そう?」

「うん。ただ融通が利かないだけだよ」

「そんなことはないと思う」


ふるりと彼が首を振る。


「自覚はあるよ」


そう言われれば何も言えない。

彼は頑固なところがあるのだ。


「だから、」


鋭い瞳で見据えられる。


「勝手に偶像化して遠ざけようとしないで」


にらんでいるのにすがられているような錯覚を覚える。


「……ごめん」


さすがにそれは勝手だった。

彼の顔がくしゃりと歪む。


「僕はきっと自分を変えられない。それでも君には傍にいてほしいんだ」


きっと人によってはそれこそ自分勝手だと言うだろう。

でも私はそうは.思わなかった。


「うん。きっと私も苦しくて逃げたくなることもあるかもしれないけど、傍にいたい」

「逃げたらたぶん追いかけるけど、いい?」

「今回もそうだったね」

「あー、そっか。そうだね。ほら、全然高潔じゃないでしょ」


それでも彼のしていることまで否定されることではない。

だけど、先程の彼の訴えが耳に残っている。


「そう、かもね」

「うん」


彼はほっとしたように微笑(わら)う。

余程彼にとってその言葉は負担だったのだろう。

偶像化していたのは間違いない。


ごめんなさい。


私は改めて心の中でそっと謝ったのだった。



読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。