親切の花3
「どうした?」
不機嫌な顔をしていたからか彼が訊いてきた。
「親切の押し売りはやめろって言われた」
「は?」
彼の口から低い声が漏れた。
「誰に?」
彼の友人の名前を告げる。
告げ口だと言われても別に構わない。
彼に言われたくないことなど言わなければいいのだ。
何故私が彼に話さないと思うのか、理解に苦しむ。
彼の眉根が思いっきり寄せられる。
「あいつ本当に何様のつもりだ?」
不愉快そうに吐き捨てる。
「貴方のために言っているらしいよ。迷惑してるって」
「有り得ない。まさか信じてないよな?」
「貴方と彼なら間違いなく貴方の言葉を信じるよ」
彼はほっとした顔になった。
「俺は君の気遣いが嬉しい。いつも本当に助かっている。ありがとう」
「好きでやってることだから」
彼の手が伸びてきて、ぎゅっと抱きしめられる
「え、どうしたの?」
「ん。君が尊すぎて」
「ちょっと意味がわからないかな」
「うん。わからなくていい」
彼が肩口に顔を埋める。
ぽんぽんと背中を叩いてみるけど彼は顔を上げない。
どうしたものかな、と思っているとオレンジ色の花びらが降ってきた。
彼の背中越しに見上げればベランダの二階にいくつかのリーガスベゴニアの鉢があった。
風に揺れたリーガスベゴニアの花びらがひらひらと降ってきて、きれいだった。
まるで祝福されているようで自然と微笑んでいた。
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